【写真撮影講座 番外編】ロードバイクを真横から撮る方法について語ってみた その①
vol.2の最後に次回はシャッタースピードについて説明すると言ったな。あれは嘘だ。
…はい。すみません。 シャッタースピードについて語ろうと思ったのですが、まだまだ自分の中での練度が足りないと思ったのでそちらは延期させてください。 代わりに今回は番外編でロードバイクの撮り方について複数回に分けて語ってみようと思います。
真横はロードバイクが最も映える向き
特に今回は真横から撮る方法について説明します。 なぜ真横から撮るかというと、最もロードバイクが映える向きだからです(これについては賛否両論あると思いますが)。。 その理由は、ロードバイクのほぼ全てのパーツを一度に映すことができるため。
例えば人間を頭の上から見た場合、得られる情報ってかなり少ないと思います。髪の広がり方で女性か男性かはなんとなくわかるけど、 身長や全体的な雰囲気はよくわからない。
それは自転車にも言えます。自転車は自動車など四輪と比べると前・後ろから見たときの横幅が狭く、全容を把握するのが難しいです。 (一方でパーツ萌えという世界も存在しているため、前からハンドルの細部にクローズアップするみたいな撮影方はありですが、今回はそれは置いておきます。)
逆に横から見ると、ハンドルやクランクの形状、メーカー、フレームの形、フロントおよびリアディレイラーの形、ホイールの形状などなど 自転車のほとんどのパーツを目にすることができます。
ゆえに、側面はロードバイクの顔と言ってもいいぐらい情報量を持っていると言えるでしょう。
まずは基本の真横をおさえる
人間の写真を撮るときも、特定の部分を映すことは少ないのではないでしょうか。 例えば敢えて顔を省いて首から下だけを写す、先ほど言ったように頭の上から写すことは、何らかの意図がない限りはやることはないと思います。 記念写真やモデル写真を撮るときもそうですよね。
(一方で部分フェティシズムという文化もあり。。。まぁこれはまたの機会に)
同様にロードバイクにも同じことが言えるわけです。 まずはしっかりと基本の”顔”の撮り方を覚えて、そこから徐々に自分の味を加えていく。 そうすることで自分らしさのある写真を作っていく。
例えばこのように単に横向きになっている写真を基本として、
そこに背景を加えることで一枚の作品とする。
そのための最初のステップとして、「ロードバイクを真横から撮る方法」について説明していきます(次回に続く)。
【写真撮影講座 vol.2】 F値について説明してみた
前回はカメラで写真が撮れる仕組みについて説明しました。 重要なのは、撮像素子(センサー)に光をあてることで写真が撮影されるということ。 撮影の世界ではこれを単に「露出」とか「露光」と言います。
このセンサーに光を当てる「露出」という行為は単純なようで実に奥深く、 光を当てる時間をほんの一秒変える、光の量をほんの少し変えるだけでも出来上がってくる写真の見た目は変わるため、とてもシビアな世界でもあります。
逆に「露出」を手なづけて、光を思いのままにコントロールすることさえできれば、 自分の思い通りの写真が撮れるようになるというわけです。
露出を司る三要素
では思いのままに露出をコントロールするにはどうすればいいのか。 カメラには露出をコントロールするための三つのパラメータが存在します。
それは、「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」と呼ばれる3つのパラメータ。 本講座ではこれらのパラメータはどういったものなのか、どのように設定すべきなのか、 なるべくユーザーフレンドリーな形で一つずつ解説していきたいと思います。
2回めの今回は「F値」について説明します。
F値とは
F値とは、簡単に言うと「ボケの度合いを調整する数値」です。
カメラのなんたるかを知っている人から見たら今すぐ殴りたくなる説明だと思いますが、 個人的にはこれぐらいがわかりやすいのかなと笑
正確には「ピントの合う範囲を決める数値」になります。
ピントとボケについて
ここで「ピント」と「ボケ」について確認しておきます。 これらは対になる概念で、
- ピントが合っている→被写体に焦点が合っており、輪郭がくっきりと見える
- ボケている→被写体に焦点が合っておらず、輪郭がぼやけている
ということ。 以下は両方共ぬいぐるみを撮影した写真ですが、
こちらは盾の文字がくっきり見えるので被写体であるぬいぐるみには「ピントが合っている」が、一方で背景は「ボケている」写真
こちらはぬいぐるみと背景が全体的に輪郭がぼやけているため全てが「ボケている」写真
になります。
たまに聞く「ピンぼけ」という言葉は、「”ピン”トが合っていないために”ぼけ”ている」状態を指します。
ピントは面で合う
ピントは面で合います。 これはどういうことかというと、カメラで被写体を撮影したとき、ピントのあう部分(輪郭がくっきり見える部分)は カメラから一定の距離にある平面になるということです。
例えばカメラを使って目の前に立っている鳥の目にピントを合わせて撮影したケースを考えます。 スマホのカメラ機能を起動し、画面で鳥の目をタップしてフォーカスをあわせてから撮影ボタンを押すイメージ(スマホのカメラはタップしたところにピントが合う)。
この撮影シーンを横から見ると以下のようになります。
鳥の目を上下に横切る点線がひかれていると思いますが、これがピントの合う平面です。 したがって、平面より前と後ろはボケることになるので、 このまま撮影すると鳥の嘴や背景はボケた写真が撮れます。
このピントの合う平面の位置を前後させること行為が「ピント合わせ」になります。
AFとMF
カメラでピントを合わせる方法には大きく分けて2つの方法があります。
- AF(Auto Focus): オートフォーカス。面の位置の決定をカメラに委ねる方式。多くのカメラはシャッターボタンを半押し(半分だけ押す)することで合焦(焦点合わせ)する。
- MF (Manual Focus): マニュアルフォーカス。面の位置の決定を撮影者が決める方式。レンズに付いているピントリング(回せる部分)を回すことで合焦する。
AFでは、シャッターボタンを半押しするとカメラ自身がエッジ検出(明暗が鋭敏に変化している部分を検出する箇所を特定するアルゴリズム)を実施しピントの合う面を決めてくれます。スマホの場合は、タップした箇所の付近でエッジ検出してピントを合わせる方式になっています。
逆にMFでは撮影者がカメラに付いたリングを回して、ピントが合う面を自分で選びます。
AFとMFの使い分け
ではどのようにAFとMFを使い分けるのか?
AFは時間がないときやこだわらないときに使います。 というのも、AFはシャッターボタンを半押しするだけでピントが合うのでピント合わせに時間がかからない。
一方で細かい調整はできなかったり、どこに合うのかわからないというデメリットがあるので、例えば人物のポートレート撮影で瞳にしっかりとピントを合わせたい、というようなシーンには不向きです。 逆にストリートスナップや瞬間を捉えたいときには向いていると言えるでしょう。
MFはピント合わせに時間がかかる一方、細かい調整ができます。 なので動かないもの(静物や風景)の撮影や、しっかりと時間を取ってこだわったピント撮影をしたいとき(前述のモデル撮影など)に向いてます。
ピント合わせを肌で感じてもらうためにも、今回の講義の復習ではぜひ手持ちのカメラをMFに設定してみてください。
F値によるピントの合う範囲の変化
冒頭でF値は「ピントの合う範囲を決める数値」であると言いました。 F値を変更すると何が起こるかというと、ピントの合う面が伸び縮みします。
例えば、F値を大きくすると、以下の図のようにピントが合う面(点線)を中心にピントが合う範囲が前後に伸びます。 先程の図では鳥の目がある平面でしかくっきり写っていなかったのが、くちばしや背景までくっきり映るような写真が撮れるようになります。
逆にこの状態からF値を小さくすると、以下の図のようにピントが合う面(点線)を中心にピントが合う範囲が前後に縮みます。
したがって、最初に説明したピントが薄い平面で合っていたような図はF値が最小の状態を表します。 このピントが合う範囲のことを「被写界深度」と呼びます。 なのでF値は「被写界深度を調整する値」というのが最も正しい表現になります。
面からの距離によりボケの度合いの変化について
F値によって決まる「ボケている範囲」のボケ度合いが全て一律かというと実はそうではありません。
実際は以下の図のように、最もピントの合う面(点線)から前後に離れるほどボケが強くなっていくようになっています。
背景がめちゃくちゃボケた写真を撮るには?
では、よく見る背景がめちゃくちゃボケたような写真を撮るにはどうすればいいのか。 これまでのテキストをしっかり読み込んできたならわかるはずです。
ヒントは以下。
- ピントが合う面から遠くなればなるほどボケるが強くなる
- F値が小さくなるほどボケの範囲が広くなる
正解は、「F値を最小にし、被写体から背景をなるべく遠ざけて撮影する」です。
正確にはレンズやカメラによってボケの強さが異なるのですが、 少なくとも全てのレンズにおいて共通する事項であるため、自分が持っているカメラ・レンズで最も強いボケを生み出す場合は上記のような設定で撮影してみてください。
F値による表現
F値を調整することで、写真に様々な表現を加えることができます。 ここでは私がよく使う表現をいくつか紹介します。
表現①: とろける後ろボケ
図のように凄まじいボケにより背景が溶け合い、もはや何が後ろにあるのかわからないレベルで渾然一体となり、被写体を際立たせる素晴らしい背景を作り出すというもの。
被写体に焦点を合わせ、先程「背景がめちゃくちゃボケた写真を撮るには?」で紹介したように F値を最小にし、被写体から背景をなるべく遠ざけて撮影するようにします。
このときにボカす背景は色が多すぎないことがポイントです。 一番シンプルなのは蓮の写真のように一色でまとめる。多くても二~三色がよいでしょう。 あくまで主役は被写体である花なので、後ろがごちゃごちゃしすぎていると目移りしていします。
一色にする場合は被写体の補色を背景に選ぶ、複数色使う場合はボケた状態できれいな模様になるように意識するところから初めて、 自分の色を出していくのが良いと思います。
表現②: 前ボケ
ピントが合う前後がボケることを利用し、図のように被写体の手前に敢えて別のもの配置することでボケさせ、 それによって被写体に霞がかかったかのような効果を作り出し、全体の雰囲気に暖かさやミステリアスさをプラスするというもの。 こちらもボケを薄くする(手前に何があるのかわからないほどボケさせる必要がある)ためにF値は最小付近で撮影してください。
以下の例では、被写体の手前側に黄色の葉の茂みを配置することで薄い黄色のボケを作り出し、暖かい雰囲気を作り出しています。
一方で、こちらは生い茂った葉を手前に置き、ボケの少ない部分にあじさいを配置してシャッターを切ることで、隙間から覗いているようなミステリアス感を演出しています。
表現③: 玉ボケ
点光源(街灯やイルミネーションの光など)を背景に配置し、ボケさせることで玉状のボケを作り出し、背景に綺羅びやかさや鮮やかさを加える撮り方です。 前の2つと同様に、こちらもF値を最小付近に設定して撮影してください。玉はF値を小さくするほど大きくなる(光のボケた結果のため)ので、玉が大きすぎると思ったときは一度構図を決めたあとでF値を調整することで大きさを自分のイメージと合わせてください。
表現④: パンフォーカス
F値の調節による表現はボカすだけではありません。むしろ全くボカさないような写真を撮影する機会のが多いかと思います。 例えば風景写真などは手前から遠くまでしっかりとピントが合わせるのが基本です。 それにより遠近感が強調されるため、自然風景であれば視聴者に自然が持つダイナミックさを感じさせることができます。 また人工構造物であれば建物の持つ立体構造の輪郭がしっかり残るため、よりシャープで人工的な印象を与えることができます。
これまでとは真逆でF値を大きめに設定し、構図の最も奥にピントを合わせて撮影します。 感覚的にコンデジであればF3.5, 一眼なら最低F9.0くらいのF値を設定したいところです。 撮影モードをオートにしておくと、周りの明るさに合わせてカメラ側が勝手にF値を小さく設定してしまうことがあるので、 必ず自分で設定するようにしてください。
5月の残雪の浄土平。雄大な自然をダイナミックに残すには被写界深度を深めにして奥にピントを合わせる。
ヴェネツィアの大運河をリアルト橋からコンパクトデジタルカメラで撮影。奥の建物までしっかりと輪郭が残っており、人工物の存在感が強調される。
本節ではF値による写真表現の変化について説明しました。 F値を変えることで写真の雰囲気が大きく変わることがわかったと思います。 これが自分の手でF値を調整することの醍醐味ですので、ぜひ皆さんも自分の心の中にあるイメージを写真に投影できるよういろいろな設定で試してみてください。
絞り優先オート
これまでの講義を踏まえ、ぜひともF値とピントを調節しながら色々な写真を撮影していただきたいですが、 その前に、カメラのモードを「絞り優先オート」、フォーカスモードを「MF」に変更してみてください。
冒頭で「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」という三つの露出パラメータについて説明しましたが、 これらを全てカメラ側が自動で決めてくれるのが「プログラムオート」というモード。
一方で絞り優先オートとは、F値以外のパラメータをカメラがよきにはからって決めてくれるモード。 代わりにF値は撮影者が決めることになります。
したがって、このモードとMFを合わせて利用するとF値を変更した場合の写真の変化を簡単に知ることができます。 プロもこの設定を使うことが多いそうです。というのも、やはりF値を変えることによる写真への影響のはかなり大きく(前節の通り)、まずはF値をしっかり決めるところから始める、ということなのかもしれません。
長くなりましたが今日はここまで。 次回は「シャッタースピード」について説明します。
【写真撮影講座 vol.1】 カメラで写真が撮れる仕組みについてざっくり語ってみた
つい先日会社の元同期が主催する勉強会(なんでもあり)にて写真の撮影技術について説明してきました。 その資料がこちらになります。
これが思った以上に反応が良く、「デジタルカメラを持っているけどどうすればうまく撮れるかわからない」参加者から、 「今まで疑問に思っていたことが腑に落ちた」「どうすればどう撮れるかわかった」 という意見を頂き、どうやら自分がこれまでわからないなりにわかろうとして蓄積されてきた知識がどうも役に立ったらしいことがわかりました。
そこで「これもっと色んな人に知ってもらったほうがいいんじゃない?」と言われたので、 自分の勉強としてもいい機会かなと思い、「デジタルカメラを持っているけどどうすればうまく撮れるかわからない」方々にとって 有用となるかもしれない記事を連載していこうと思いたち今に至ります。
第一回目の今回は、カメラで写真が撮れる仕組みについてざっくりと語ってみたいと思います。 早速ですが下の図を見てほしいです。
これは、一眼レフカメラのレンズの先にある被写体(図では蓮ですが)が、撮影されて写真データとして残る一連の流れを一枚の図で表現したものになります。
わけがわからないと思うので、ひとつずつ説明していきます。
まずカメラを語るにおいて、「光」は欠かせない要素です。 皆さんはなぜ道端にあるポストが「赤く」見えるのかご存知でしょうか?
答えは、ポストの表面が赤色の光を反射するから。 光は様々な色が混ざっていますが、ポストの表面は赤色の光だけを反射し、他の色を吸収してしまう。 なので反射された赤い光が目に入り、ポストは赤色に見えるというわけです。 高校で物理を習った方にとっては当たり前な話ですね。
それは人間の目だけではなくカメラにも同じことが言えます。 カメラはレンズを通して入ってきた光をRGBのデータに変換するという仕組みになっています。 その変換をするのが図にある「撮像素子」という部品です。
撮像素子は網目状の構造をしており、表面にはびっしりと1マス1マスに受光素子が並んでいます。 受光素子とは、受けた光をRGBに分解、電気信号に変換する電子部品です。 これによって各マスの受けた光がRGBでいうとどの色になるかというのが決定するというわけです。
勘の良い方は気づいたと思うのですが、この1マス1マスが1画素にあたるため、例えば2470万画素というと 大体タテ×ヨコで4000×6000個の受光素子がびっしりと整列している撮像素子を使っているんだなということがわかります。
で、この一画素一画素が一つの色を表現し、それらが無数に集まることで一つの絵、写真データを表現できるということになります。
そして当然マスの数が多い(集積度が高い)ほうがよりきめ細かい色の表現ができることになるため、 高画素、つまりマス目数の多い撮像素子を持つカメラで撮影した写真の画質はよい、となるわけです。
さて、光を撮像素子に当てることで写真データができることはわかったと思います。 ですが図を見ると、レンズと撮像素子の間に邪魔者がいますよね。
そう、鏡です。
鏡がレンズと撮像素子の間にあるせいで、光が撮像素子に当たりません。 ちなみにこの鏡はなんのためにあるかというと、ずばりファインダーです。
ファインダーは構図やピント合わせを決めるために覗く小窓です。よくカメラマンがカメラに目をくっつけているのを見ますよね。
このファインダーに映像を映すために、入ってきた光をまず鏡で反射させ、 さらにペンタプリズム(もしくはペンタミラー)という五角形のプリズム(または鏡) で反射させ、ファインダーに映す、といったことをしています。
ミラーレス一眼やコンデジ、スマホの多くにはファインダーが付いていないことを知っている皆さんは、 モニターに映像を出せばいいじゃないかと思われるのではないでしょうか。
しかしファインダーにはファインダーのメリットがあるのです。
- カメラを顔に近づけて固定することで写真のブレを低減できる
- 電子処理による映像遅延が存在しないため、動きの早い被写体を追いながら撮影できる
などなど。
というわけで、この鏡の存在は偉大ですが、撮影する瞬間は邪魔であることには変わりありません。 ではどうしているのか。非常に簡単です。
シャッターボタンを押した瞬間に上がり、撮影が終わると下がる。 ただそれだけ。簡単ですよね。 ちなみにシャッター音がこの鏡が上がって下がる音だったりします。
ちなみに反射作用を英語で言うとReflex(レフレックス)となりますが、 実は一眼レフのレフはReflexの略なんですね。 英語だとSingle-lens reflex camera(略してSLR)とか言ったりします。
ここで勘の良い方は気づいたかもしれません。 そう、ミラーレス一眼とは、ミラーレス、つまり鏡がない一眼カメラという意味なのです。 故にファインダーがついていない機種が多い。
最近はファインダーが付いているミラーレスも多いですね。 これはEVF(電子ビューファインダー、Electronic View Finderの略)というもので、 レンズから撮像素子に入った光を電気信号に都度動画に変換し小窓から見せているというものになります。
したがって、ファインダーのないカメラやスマホがモニターに映像を表示するのとほぼ同じ仕組みです。 なので若干の映像遅延があります。
一方で光学ファインダー(一眼レフのファインダー)にはないメリットがあり、それは映像を拡大できたりすること。 それによって細かなピント合わせができたりします。
だいぶざっくりでしたが、以上がカメラで写真データが生成される仕組みになります。 簡単に言うと、撮像素子を露出させることで写真が撮れる。 ということは、撮像素子をどう露出させるか(どのくらいの時間?どれくらいの光の量を取り込む?間に何を挟む?レンズ?フィルタ?)で、 撮れる写真が変わってくるということになります。
次回からは露出の表現方法について説明していきたいと思います。
ちなみに余談ですが、カメラを初めてまだ間もない頃、いまや師匠と仰ぐ方の講習会に参加し、 カメラの仕組みを教わったときはミラーレスのミラーレスってそういう意味だったのか…!と驚いたものでした。
今自分が教える側となってこのような記事を書いていることはなかなかに感慨深いものがあります。
こうやって技術伝承がされていくわけですねw
ではまた。
スニーカーをオールソール修理に出してみた
購入から3年ほど経つSPINGLE MOVE(以下スピングル)のカンガルーレザーのスニーカーです。
汚いまま出してしまったので、全面ブラシがけ&気になるところのクリーニング&栄養補給まで完了してから写真を撮っています。
今回の修理はソール全面(オールソール)とライニングの張替え。
踵のみ張り替えた(ハーフソール)ときの記事はこちら。
あれからもう一度踵を張り替えたのですが、さすがに3年も履いていると全体的に削れてきたので全面張り替え。
ちょうど修理に出したタイミングが西日本豪雨の直後だったため、戻ってくるまでにに2ヶ月を要しました(SPINGLE MOVEの工場は広島)。
通常は1ヶ月程度だと思います。
一見全面綺麗になっているように見えますが、先端だけは削れたまま残る仕様になっています。
上や側面から見るとほとんど目立たないです。 つま先を削らないように気をつけていればスピングルの顔たる巻き上げソール感は十分維持できます。
踵のライニングも新品同様に。
ちなみに買ってから結構修理しているので20,000円くらいかかっていることが判明しました。
- ハーフソール修理×2 4000円×2=8,000円
- ライニング修理×2 3,000円×2=6,000円
- オールソール修理×1 6,000円
ほとんど定価に達しそうですが、同じ靴をずっと長く履くというのは愛着がわいて良いものです。
特に革靴(このスニーカーも革製)は定期的にメンテナンスすることで味がでてきます。
戻ってきてから気づいたのですが、ゴア部分が結構やられちゃってます。
店員さんに尋ねたところ、ここも1箇所から修理できるようになっているみたいです。
ちなみに、最近買った同じくスピングルのこのスニーカーなのですが、この靴のように一部分だけ特殊な彩色がある場合(トリコロール部分)は修理によって消えてしまうそう(要は全面ホワイトのソールになる)。注意されたし。
自転車で残雪の浄土平・磐梯吾妻スカイラインを走ってきた
朦朧とする意識の中、静寂を切り裂く騒音の主の息の根を止めにかかる。
目覚まし時計の液晶に表示された時刻は午前3時半、布団に入ったのが0時ちょっと前くらいだったから、3時間半くらい眠ったことになる。
頭と歯が痛い…前日の50kmほどのポタリングの最中に休息を怠ったせいか寝る前から体調が芳しくなく、寝たら治るだろうと思っていたが全く回復していなかった。
今日は待ちに待った残雪の浄土平を自転車で登る日だというのに。。
最後に浄土平を自転車で登ったのは2年前だった。天候がベストと言える状態ではなかったにもかかわらずその圧倒的に美しい景色に衝撃を受け、ベストな状態でリベンジしたいとずっと願っていた。
1週間ほど前からSNSで浄土平に行くことを告知していたこともあり、これで「いけませんでした^^;」では格好が悪いというのと、
何より天気予報により降水確率0%、かつ十分な残雪があるという前情報があったためこの機会を絶対に逃したくなかった。
ということで、回復のためにダメ押しでもう1時間寝ることにした。始発は逃してしまうが、致し方ない。(朝早ければ早いほど空は霞のない澄んだ綺麗な青空となるため、始発で行くのが最も良い)
もう一度目覚めると頭痛と歯痛も多少はマシになっていた。 重い体を起こして出発の準備をしていると、少しずつ体に活力が湧いてくる。プラス1時間の睡眠はなかなか重要であると実感。
最寄り駅で自転車を輪行袋に詰め、東京駅へ向かい、券売機で最後尾の席を確保し、いざ搭乗。
新幹線の中では安心して休みたかったので、座席の後ろにスペースが有り荷物を置くことができる最後尾の座席をいつも選んでいる。
と、ここでちょっとしたトラブルが。
自分の席の後ろのスペースを見ると、すでにゴルフバッグが2つ置いてあり置くことができない。。
やれやれだ。一体何のためにこの席を取ったと思っているのか。。
とりあえず近くの持ち主っぽいおじさんに話しかけて交渉し、場所を開けてもらう。
これでなんとか自転車を自分の近くに、かつ固定して置けたのであとはスマホで目覚ましをセットして寝るだけである。
1時間半くらい乗っていると福島駅に到着。この頃には体調もだいぶ回復していた。
浄土平は普通に登ってもかなりキツい峠なので、いけるか不安であった(自分の場合はさらに一眼を背負わなければならない)が、
これならなんとかいけるだろうな、というくらいまでは回復。
約2年振りの福島駅は特に変わったところも見当たらず。コインロッカーもがら空き。
ひとまず輪行袋や着替えなど走る際には必要のないものをロッカーに突っ込み、自転車を組立てる。 前回と同じく駅前のモニュメントの前で撮影。このバイクも譲り受けてからもう5年経ち、色々なところに行ったなとしみじみ。。
走り出してまずはコンビニに行く。飲み物を買うというのもあるが、今回最も重要なポイントがここにある。
そう。。。
で、でたーwwwSDカードを忘れ奴www
いやー危ない危ない。なんとなく忘れた気がして、福島駅前でカメラのスロットを確認していたおかげで気づくことができた。なおモニュメントの写真はスマホで撮影している。
それにしても、いざ絶景に出くわしたときにSDカード無いとか、笑える…またこのキツい坂登るのかと。
そして下って登ったあとも絶景がある保証はない。時間は残酷である。
ゾッとしつつも何枚か試し撮りして問題ないことを確認し、磐梯吾妻スカイラインに向けて走り出す。
今回も、2年前と同様に SONY α7 II ILCE-7M2 + SONY Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS SEL1635Z + Kenko PLフィルター Zeta で臨む。浄土平の雄大な自然を撮るには、やはり超広角域が相応しい。 また快晴が予想されることから、空をより青く撮ることのできるPLフィルターを持っていく。
ソニー SONY ミラーレス一眼 α7 II ボディ ILCE-7M2
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今回はこれらの機材をリュックで持っていく。
ロードバイクとリュックは最悪の組み合わせということは自転車乗り誰もが知るところだろう。
荷物を背負った状態で前傾姿勢を取ることにより、重さが上半身にかかり続けることになり、一言で言うと腰が死ぬ。
そこに更に坂が加わることによって腰が死ぬ。つまり腰が死ぬということである。
それなのにリュックを選んだ理由は、機材を振動や転倒による破損から守るためである。
今回のライドのように高々50kmであれば、トレーニングと割り切れば何ら問題ないと自分は考える。
また、今回は初めてこいつを使うことになる。
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リュックの肩紐にカメラを固定するためのアイテムである。 旅先でシャッターチャンスを逃さないためにも、重視したいのが速射性。 驚くべき光景を目にしてからカメラを構えるまでの時間はなるべく短くしたい。
そういった理由で、これまでの撮影では絶景ポイントに突入したらリュックからカメラを出し、カメラを身体の前にたすきがけにして走行する、という方法を取っていたのだが、如何せん具合が悪い。 というのも、ストラップをきつく締めてもカメラが揺れてしまいモーメントが発生し非常に走り辛く、カメラが前側に垂れ下がる形になるため膝にベチベチあたって非常に鬱陶しい。 またこれらに煩わしさを感じ集中力が低下し、事故が発生しやすくなるというリスクがあると感じていた。
そういった経緯からカメラをすぐ手に取れる位置に固定できる方法があれば…ということで見つけたのがこのアイテムである。
固定方式はビンディングペダルとクリートと似たようなシステムになっている。 リュックの肩ベルトにビンディングにあたる部分をセット、カメラ側にクリートにあたる部分をセット。
こいつを使うと、肩ベルトにこのような形でカメラを固定できる。
ガッチリと固定されるためブレることもないし、落ちる心配もほぼない。 落ちるとしたら撮影中なので、ストラップを首にかけた状態で固定しておくのが望ましい。
一見完全無欠のように見えるこのアイテムだが、実はちょっとした問題が。
レンズが下向きになるので、前傾がきついセッティングで乗っていたり長いレンズを使っていると膝にレンズが当たる。
かく言う自分も前者で、150mmのステムを使うことでフォームが前傾気味になっているため、上記の16-35 F4が膝にあたりまくっていた(とは言えちょっと擦るレベル)。
しかしアップライトで乗っている分には全く問題ないし、そもそも自転車でバズーカ級のレンズを持っていくことなんかあるのだろうか…いや持っていきたいと思ったことはあるけど^^;
ともあれ、自分は問題ないと感じている。
福島駅をスタートすると、峠の入口までは緩やかな2%程度の傾斜が続き、峠に入ると一気に10%超えの坂が襲い掛かってくる。
その傾斜はときには15%にも達し、涙なしには登れない。
道の途中にある温度計を見ると27℃と出ていて驚き。確かに暑いがここまでとは。
頬を伝う汗が冷たく感じる。今日は辛い戦いになりそうだ。
だんだんと一眼を入れたリュックの重みが増すような錯覚に陥り、腰が悲鳴を上げ始める。
高湯温泉(唯一の補給ポイント)まであと3kmの看板が。歯を食いしばって踏む。
今年はブルベであれだけ坂登ったのに、全く踏めない。やはり激坂トレーニングは別にしないとダメか。。
そんなことを考えながらも一心不乱にペダルを踏んでいると高湯温泉に到着。
標高だとちょうど700mくらい、全行程の半分まできた。
磐梯吾妻スカイラインはここを逃すと水分補給&トイレが無いので注意。
絶景ポイントで撮影に集中するため、今のうちにしっかりと用を足しておく。これ重要。景色と尿意は待ってくれない。
消耗していたせいもあるが、自転車の置き方が雑すぎる。。 そして休憩所に入る前にBCAAを1パック飲んでおく。これで出る頃には多少マシになっているはず。
中でトイレを済ませてスポーツドリンクを購入。冷たいものが全身を駆け巡って染み渡り、生き返るような感覚。
10分くらい椅子に座って休憩して出発。だいぶ楽になった。
高湯温泉をすぎると激坂祭りは鳴りを潜め…といっても時折現れるつづら折りでいきなり15%とか出てきてビビる。
走りながら道端で休んでいる自転車乗りと会釈したり、車の中から幼児に激励の言葉を頂いたりしながらペダルを回していく。
うーん、腰にきてる。カメラの持ち方はもう少し考えたほうがいいかもしれない。
1000m地点を通過。 あと500mほど登ると森林限界に到達できる。
1200m地点あたりの路肩が広くなっているところで2人組の自転車乗りが休んでいたので、会釈して自分も自転車を路肩に寄せ補給食を食べる。 そろそろ食べないと最後の最後でスタミナ切れそうだなという気配がしていた。 スタミナが切れた状態では絶景の撮影に集中できないので、ここでしっかりと入れておく。
山の天気はすぐに変わる。休みすぎてはいけないという想いが再び自分の脚を動かした。 リュックは段々と重くなっていく。
そうしていくつかの角を曲がるとついに森林限界に到達。 この辺からカメラをクリップにセットして、走っては止まって撮影の繰り返し。
ここからは絶景のオンパレード。カメラをリュックから取り出し、クリップに固定して走っては止まって撮影、を繰り返していく。
尚レンズキャップは外した状態で固定。いちいち外すのは面倒だし、レンズフードをつけていればフィルターが何かに触れて傷つく恐れもない。膝に当たるのもレンズフード。 (CPLが回しにくいという難点はあれど…)
クリップの性能にはかなり満足している。速射性が高い割には煩わしさがなく、非常に快適に「撮影withサイクリング」が実施できている。
それにしても素晴らしい景色。 以前は違って今回は完璧に晴れていて、ただただ圧倒される。速射性を活かしてどんどんシャッターを切っていく。
おそらく浄土平で最も美しいと自分が感じているスポットにて。山肌の残雪と青空のコントラストが実に美しい。
更に進むと有害なガスが噴出し続ける区間に突入する。道端の標識に「窓を開けないこと!」「停車しないこと!」という注意書きがあるが、窓もクソもない自転車はどうしようもないので口に手を当てて騙し騙し進む。
先程の2人組が後ろから登ってきた。雄大な自然の中に自転車がひっそりと走っているというこの構図が自分はとても気に入っている。
人間という小さな存在が、自転車を駆り仲間とともに自然が持つ圧倒的な力に抗っていく。
人間が生まれる遥か昔から存在している自然。ただ何も言わずそこに在るもの。
電気を発明し、自動車や飛行機、新幹線といった文明の利器が出現してもなお、自らその中に身を置き辛さを享受しようとするのはなぜなのか。
そうして初めてこの大地に生きている、生かされていることを感じるのからではないだろうか。
そんなメッセージが込められているように感じる。
標高1500m近くにもかかわらず、広大な湿原が横たわっている。その雄大さはまさに高所の楽園、極楽浄土、浄土平。 日本とは到底思えない風景が広がっている。
絶景撮影も終了し旅の終着点である浄土平ビジターセンターに到着。 看板が新しくなっており若干の虚しさを感じる。随分すっきりしてしまったなぁ。
ここで休憩して豚汁をいただく。汗をかきまくった体に実に塩分が染みる! ベンチに座りながら写真を見ていると思わず笑みが溢れた。
その後、登りよりハードなんじゃないかと思える激しいダウンヒル(急&道悪い)をこなしてから新幹線で帰路につく。
弾丸自転車写真撮影は毎回行く行かないの葛藤があるものの総じて後悔はなく、それは今回も同じ。
今回は予想を遥かに超えて理想的な写真が撮れたと感じた。
走ったルートを貼っておく。
この浄土平は絶景すぎる割には公共交通機関からのアクセスがとても良いため、ぜひともおすすめしたいルート。
最後の一枚は、帰り際に撮ったものを。
この記事を読んでくださった方へ。 自転車でとは言わないが、この絶景を体全身で(自転車の人は坂の辛さも含めて)実感していただくことを願ってやまない。
美味しく見える料理写真の撮り方についてまとめてみた 【構図編】
社会人になって金銭的な余裕が生まれ、一眼やミラーレス一眼などのちょっと良いデジタルカメラに手を出してみた方々も多いのではないでしょうか。
しかしいざ撮影してみるとイメージと違ったり、プロが撮った写真のようにうまくいかない。。
そんな方々の助けになればということで、カメラ講座を連載していきたいと思っています。
(自分がこれまで経験した知識・技術のアウトプットをすることも目的の一つ)
中でも今回取り上げるのは「料理」です。
食べログなどが火付け役になり、日々グルメを探求する方々が増えてきたように感じます。
というわけで今回はデジタルカメラを使って料理を美味しそうに撮る方法、
特に「構図」について自分の経験をもとに語っていきたいと思います。
ちなみに今回の記事はデジタルカメラに限らず、スマートフォンで写真を撮られる方でも活用できる内容となっております。
ぜひ読んでいただいて、普段のグルメレビュー等々に活用していただけたら幸いです。
0. 店員さんに撮影の許可を取る(飲食店で撮影する場合)
写真を撮る前の大前提についてまずは言及しておく必要があります。
飲食店で撮影する場合は、まず店員さんに撮影してもOKかどうか聞きましょう。
響くシャッター音が食事中の周りの方々に不快感を与えるかもしれません。
過去にチャペルの結婚式などでスマートフォン特有の甲高いシャッター音"カシャア!!"が響きまくっている光景を目の当たりにしたことがあります。
一生に一度、写真に収めたい気持ちはわかりますが、それは新郎新婦にとっても同じこと。
シャッター音が鳴り響く中での誓いの言葉は気持ちが良いものとは思えません。
レストランでもそれは同じで、今まさにプロポーズをしようとしている男性が隣の席にいたらどうでしょうか。
そもそもカメラを取り出すことがマナー違反になる可能性もあります。
飲食店によっては撮影自体を許可していないケースもあります。
自分一人がマナーを守らないことにより他のカメラマンにまで迷惑が及ぶケースもあります。
くどいですが、撮影前には必ず店員さんに許可をもらうようにしましょう。
1. 主役の一皿を決める
写真の主役を決めます。料理の場合は、テーブルに並んだ料理のうちから一皿選ぶのが良いでしょう。
例えば、こちらはテーブルからデザートを主役として選んだ写真になります。
なんとなく美味しそうな感じがしませんか?(そう思っていただかないと話が進まないので、とりあえずわぁ美味しそう!と思うようにしてください)
2. 真上もしくは斜め上から撮影する
低い位置や真横から撮影すると、写真の構図殆どがお皿になってしまって味気なくなります。
そこで、真上もしくは斜め上から撮影すると、お皿に乗っている料理がしっかり見えるので美味しそうに見えます。
特に真上から撮影すると、料理の全体像が見えて、彩りや料理のデザインがよくわかる「かわいい」「おしゃれ」な写真が撮れます。
斜め上から撮影すると、「立体感」が出るためダイナミックさ・美味しさが強く感じられる写真が撮れます。
飲食店では斜め上から撮ることが多いです。
というのも、真上から撮影するのは少し恥ずかしいのと、料理に自分の影が落ちてしまうことが多いため。
このように斜め上から撮影すると、スープカレーのゴロゴロとした具材の立体感を強く感じられると思います。
3. 皿を切り取る
構図を作るとき、お皿の端っこを切り取ることで、料理がよりクローズアップされてダイナミックな写真になります。
切り取るときは、撮る料理「一番注目させたい部分」を必ず残すようにします。
例えば、このスープカレー写真では、カラフルな野菜が集まった場所が見どころなので、そこを全面に押し出すために大胆に切り取っています。
4. 縦位置で撮る
縦位置とは、カメラを縦にして撮ることを言います。
これにより構図にスペースができるので、
主役の料理以外の料理や風景を「目立たないように」脇役として配置することで、
撮影した場所の雰囲気や空気感が伝わる写真が撮れます。
この画像をご覧いただきたいのですが、
こちらはこれまでの集大成のようになっており
- スープカレーを主役にし
- 斜め上から撮影して立体感を出し
- 皿の一部を切り取って具材のカラフルさを目立たせ
- カメラを縦にして構図の上部にスペースを作り、そこにボカしてトッピングのブロッコリーの乗った皿や背景を配置することで、撮影場所の雰囲気・奥行き感が出ている
というようになります。
以上です。
やり方は他にも色々あると思いますが、今回は自分がよく利用する手法についてまとめてみました。
自転車で吾妻磐梯スカイライン・浄土平を走ってきた
ロードバイク乗りなら一度は訪れてみたい自転車の聖地、浄土平。
自分がこの浄土平を知ったキッカケは、カメラと自転車の師匠でもあるspacewalker氏のブログ。
再びの福島`浄土平`へ。 | spacewalker.bicycle
このエントリの素晴らしい写真を目にしてからというもの、
いつの日か絶対に自転車で浄土平を走ってやる!と機会を伺っていた。
しかし週末の天気がいまいちだったり、今度こそいける!と思ったら被災箇所の復旧工事なんかが開始され、
その工事が終わったと思ったら今度は仕事が忙しくなり…となかなか行けない日々が続いていた。
そのせいか、いつの間にやら何と無しに福島の天気を確認する癖がついてしまった。
そんな仕事も佳境を過ぎ、金曜の夜。
今週末は晴れやかな気持ちで過ごせそうだな~と思い、いつものように福島の天気を確認すると、浄土平は12:00-18:00が晴れ。
それ以外の時間帯は曇りであることから、晴れとはいえ快晴は期待できないし、山の天気は変わりやすい。
ベストコンディションとは言えないだろう。
しかし、少しでも可能性があるなら懸けてみたい。
どちらにしろ週末は自転車を乗り回すつもりだったが、貯めに貯めた自転車乗りたい欲は近場を乗り回すだけでは到底解消できないように思えた。
ならば行くかと。
こういう選択に迫られた時、いつも頭に思い浮かべるのは「やった後悔より やらなかった後悔のほうが大きい」という、いつだったかのCMの言葉。
そんなわけで決意も固まり、その日は早めに就寝して明日に備えることにした。
翌日は東京駅8時半発の東北新幹線で福島駅へ。
ちょいと遅めだが、晴れるのは昼からなので問題はないだろう。
自転車の組み立てが終わったのは10:30くらい。
毎度のことながら輪行というのは本当に面倒くさい。というか嫌い。
だから普段のツーリングではなるべく輪行しないように敢えて全て自走したりするわけだが、
今回はさすがにそうもいかない。自走したら日が暮れてしまうというか、夜が明けてしまう。
大学の卒業旅行で行ったイタリアでは、マダムが自転車に乗ったまま駅のホームに入り、
そして自転車を担いで電車に乗っていた。
あれは20ウン年日本で暮らして電車に乗ってきた自分にとってはかなり衝撃的だったのを覚えている。
輪行のために自転車をバラす度にそれが日本でも実現すれば良いのに…と思うが、
その土地にはその土地のどうしようもない理由というものがある。
だから文句を言っても仕方がない。
自分に出来るのはいかにストレスなく輪行をこなすかだ。
最近はそれも随分慣れてきたようにも思える…
福島駅のモニュメントで一枚。
微妙に水平が取れていなかったので現像で修正…傾きを変えても違和感が消えない場合は被写体に正対できないことが多い。
師匠にも浄土平行ってきます!とメッセージを送ったところ、高湯温泉が最後の補給地点なので気をつけて!とのこと。
いつもながらのエクストリーム自転車旅行のため殆ど下調べもしていなかったこともあり、非常に助かる情報をいただけたと思う。
浄土平を走るだけではなく、その絶景を写真に収めることも旅の目的の一つなので一眼を持参した。
風景と言えば超広角ズームレンズが出番。
www.sony.jp
それに加えて、今回はPLフィルターも持っていく。
www.kenko-tokina.co.jp
PLフィルターは被写体の横方向からの反射を除去できるため、角度がバッチリ決まれば被写体が持っている本来の色を綺麗に出した写真を撮影できる。
今回のコースは往復60km少々と短いが、獲得標高は1600mと最近鈍っていた自分にはそこそこのキツさ。
一眼を入れるための大きめのリュックを背負っての登坂になるが、久しぶりに峠を攻めることとまだ見ぬ絶景との出会いへの高揚感からくる武者震いが止まらない。
この程度でへこたれるぐらいであれば、自分もまだまだである。
そうは言いつつも、漕ぎ始めると尻が痛み出す。いつもより重い荷物を背負っているのだから、こればっかりは仕方がない。
まずは最初のチェックポイントである高湯温泉を目指す。
適度に給水しながら進むが、やたらとボトルの水が甘い。
おかしい。ポカリをミネラルウォーターで割ったはずなのにヨーグルトみたいな味がする…もしかして腐ってた?
とか考えながら走っているうちの合点がいった。あれだ、ヨーグリーナだこれ。
コンビニでよく見もせずに買ったミネラルウォーターが実はヨーグルトフレーバーの水だったというオチ。
昔は味を付けたミネラルウォーターなんて全く売っていなかったが、最近はよく見かけるようになった。
普段飲む分にはいいが、スポーツのときは逆に喉が乾いて仕方がない。
そして高湯までの道のりはなかなかにキツい。
鈍っているとはいえ、全体重をかけて踏まないと自転車が進まない。
斜度はどれくらいなんだろうと思ってサイコンを観ると、そこには16%の表示が…そりゃキツいわ。
福島の洗礼を受けつつヒーコラ漕ぐと高湯温泉に到着。
この時点で標高は775m、全体の半分くらいである。
ボトルの水は半分くらい残っていたが、これから先なにがあるかわからないので一応補充しておく。
今度こそ正真正銘のミネラルウォーター、口の中が甘ったるいだけに実に美味い。
そこからまたしばらく進んでいくと、霧が出始めた。
うーむ、これは晴れ無さそう?と思いながらもペダルを回す。
しばらく無心で漕ぎ続けると、いよいよ木が一切生えていない山肌にぶつかった。
所謂森林限界という、高木が生育できなくなる限界高度というやつである。
浄土平、というか磐梯吾妻スカイラインの森林限界は標高は1400mくらいらしい。
この森林限界、峠によって標高はまちまちだったりする。
長野の渋峠は1800mくらいまで木が生い茂っていたと記憶している。
おそらく気候が大きく関係しているのだろう。
なんにせよ、この森林限界というのは自転車乗りとしての心を惹きつけてやまない。
ある一定の高度を境に風景が一変し、別世界となる瞬間は、そこまで懸命に脚を動かして登ってきた過程も含め、一度見たら忘れられないものなのだ。
立ち込める霧もその神秘さに一役買っている。
ここからは全てがシャッターチャンスになるため、一眼をたすきがけにしてペダルを漕ぐ。
レンズが膝にペチペチ当たるが、そんなものは知ったことか。
これまでにカメラを出すのが面倒だから…と出さずに逃してきたチャンスは少なくない。
そんな自分の気持ちに答えてくれたのか、徐々に霧が晴れ始めた。
ここからはもうシャッターチャンスの嵐である。
更に登ると緑豊かな湿原が広がっていた。所謂これが浄土平というものの正体で、その名の通り、”浄土”な”平”というわけ。
ここらへんは火山地帯ということもあり硫黄の臭い(有毒ガスによるもの)が酷く、停車したり窓を開けないようにと書かれた看板が立っている。
しかし生身でロードバイクに乗っている身としては、窓も何も無いわけだが…
レストハウスに到着。
今回はビンディングシューズのため登らないが、いずれ登ってみたい吾妻小富士。遠目にも沢山の人が登っているように見える。
看板の前で一枚撮っておく。
微妙にパーツが変わっていることに気づく人はいるだろうか。
昼食は会津若松の名物ソースカツ丼で。甘さとしょっぱさが沁みる。
レストランはレストハウスの2階にあるので、自転車の安否が気になって仕方なかったという(笑)
レストランはから出てくるとあたりは霧に包まれてしまっていた。
先ほどの晴れ間はまさに間一髪というわけか…
これ以上いると危なくなりそうなので、引き返すことに。
20kmにも及ぶ恐怖の下りをなんとかこなし(実を言うと今までの下りで一番の危険を感じたのだが…)、福島駅へ戻った。
帰りの新幹線の中では、4年前に湯田中温泉から渋峠を超えた時のことを思い出していた。
あのときも霧の中きつい坂を登り、頂上に到達する直前で霧が晴れたのである。
そういったある意味こちらの予想を覆してくれるような出来事は、忘れられない経験になると思うし、
それこそ自分が自転車と旅を愛してやまない理由なのかもしれない。
ちなみに浄土平は初春の残雪も美しく。
よろしければこちらの記事も御覧ください。