Weekendcycler

Cycling, taking photographs, and drinking a cup of tea on the weekend

自転車で吾妻磐梯スカイライン・浄土平を走ってきた

ロードバイク乗りなら一度は訪れてみたい自転車の聖地、浄土平。
自分がこの浄土平を知ったキッカケは、カメラと自転車の師匠でもあるspacewalker氏のブログ。
再びの福島`浄土平`へ。 | spacewalker.bicycle


このエントリの素晴らしい写真を目にしてからというもの、
いつの日か絶対に自転車で浄土平を走ってやる!と機会を伺っていた。
しかし週末の天気がいまいちだったり、今度こそいける!と思ったら被災箇所の復旧工事なんかが開始され、
その工事が終わったと思ったら今度は仕事が忙しくなり…となかなか行けない日々が続いていた。
そのせいか、いつの間にやら何と無しに福島の天気を確認する癖がついてしまった。


そんな仕事も佳境を過ぎ、金曜の夜。
今週末は晴れやかな気持ちで過ごせそうだな~と思い、いつものように福島の天気を確認すると、浄土平は12:00-18:00が晴れ。
それ以外の時間帯は曇りであることから、晴れとはいえ快晴は期待できないし、山の天気は変わりやすい。
ベストコンディションとは言えないだろう。


しかし、少しでも可能性があるなら懸けてみたい。
どちらにしろ週末は自転車を乗り回すつもりだったが、貯めに貯めた自転車乗りたい欲は近場を乗り回すだけでは到底解消できないように思えた。
ならば行くかと。
こういう選択に迫られた時、いつも頭に思い浮かべるのは「やった後悔より やらなかった後悔のほうが大きい」という、いつだったかのCMの言葉。
そんなわけで決意も固まり、その日は早めに就寝して明日に備えることにした。


翌日は東京駅8時半発の東北新幹線で福島駅へ。
ちょいと遅めだが、晴れるのは昼からなので問題はないだろう。


自転車の組み立てが終わったのは10:30くらい。
毎度のことながら輪行というのは本当に面倒くさい。というか嫌い。
だから普段のツーリングではなるべく輪行しないように敢えて全て自走したりするわけだが、
今回はさすがにそうもいかない。自走したら日が暮れてしまうというか、夜が明けてしまう。


大学の卒業旅行で行ったイタリアでは、マダムが自転車に乗ったまま駅のホームに入り、
そして自転車を担いで電車に乗っていた。
あれは20ウン年日本で暮らして電車に乗ってきた自分にとってはかなり衝撃的だったのを覚えている。
輪行のために自転車をバラす度にそれが日本でも実現すれば良いのに…と思うが、
その土地にはその土地のどうしようもない理由というものがある。


だから文句を言っても仕方がない。
自分に出来るのはいかにストレスなく輪行をこなすかだ。
最近はそれも随分慣れてきたようにも思える…


福島駅のモニュメントで一枚。
DSC08773
微妙に水平が取れていなかったので現像で修正…傾きを変えても違和感が消えない場合は被写体に正対できないことが多い。


師匠にも浄土平行ってきます!とメッセージを送ったところ、高湯温泉が最後の補給地点なので気をつけて!とのこと。
いつもながらのエクストリーム自転車旅行のため殆ど下調べもしていなかったこともあり、非常に助かる情報をいただけたと思う。


浄土平を走るだけではなく、その絶景を写真に収めることも旅の目的の一つなので一眼を持参した。
風景と言えば超広角ズームレンズが出番。
www.sony.jp
それに加えて、今回はPLフィルターも持っていく。
www.kenko-tokina.co.jp
PLフィルターは被写体の横方向からの反射を除去できるため、角度がバッチリ決まれば被写体が持っている本来の色を綺麗に出した写真を撮影できる。


今回のコースは往復60km少々と短いが、獲得標高は1600mと最近鈍っていた自分にはそこそこのキツさ。


一眼を入れるための大きめのリュックを背負っての登坂になるが、久しぶりに峠を攻めることとまだ見ぬ絶景との出会いへの高揚感からくる武者震いが止まらない。
この程度でへこたれるぐらいであれば、自分もまだまだである。


そうは言いつつも、漕ぎ始めると尻が痛み出す。いつもより重い荷物を背負っているのだから、こればっかりは仕方がない。
まずは最初のチェックポイントである高湯温泉を目指す。


適度に給水しながら進むが、やたらとボトルの水が甘い。
おかしい。ポカリをミネラルウォーターで割ったはずなのにヨーグルトみたいな味がする…もしかして腐ってた?
とか考えながら走っているうちの合点がいった。あれだ、ヨーグリーナだこれ。
コンビニでよく見もせずに買ったミネラルウォーターが実はヨーグルトフレーバーの水だったというオチ。
昔は味を付けたミネラルウォーターなんて全く売っていなかったが、最近はよく見かけるようになった。
普段飲む分にはいいが、スポーツのときは逆に喉が乾いて仕方がない。


そして高湯までの道のりはなかなかにキツい。
鈍っているとはいえ、全体重をかけて踏まないと自転車が進まない。
斜度はどれくらいなんだろうと思ってサイコンを観ると、そこには16%の表示が…そりゃキツいわ。


福島の洗礼を受けつつヒーコラ漕ぐと高湯温泉に到着。
f:id:weekendcycler:20160904204531j:plain
この時点で標高は775m、全体の半分くらいである。
ボトルの水は半分くらい残っていたが、これから先なにがあるかわからないので一応補充しておく。
今度こそ正真正銘のミネラルウォーター、口の中が甘ったるいだけに実に美味い。


そこからまたしばらく進んでいくと、霧が出始めた。
うーむ、これは晴れ無さそう?と思いながらもペダルを回す。


しばらく無心で漕ぎ続けると、いよいよ木が一切生えていない山肌にぶつかった。
DSC08782
所謂森林限界という、高木が生育できなくなる限界高度というやつである。
浄土平、というか磐梯吾妻スカイライン森林限界は標高は1400mくらいらしい。
この森林限界、峠によって標高はまちまちだったりする。
長野の渋峠は1800mくらいまで木が生い茂っていたと記憶している。
おそらく気候が大きく関係しているのだろう。


なんにせよ、この森林限界というのは自転車乗りとしての心を惹きつけてやまない。
ある一定の高度を境に風景が一変し、別世界となる瞬間は、そこまで懸命に脚を動かして登ってきた過程も含め、一度見たら忘れられないものなのだ。
立ち込める霧もその神秘さに一役買っている。


ここからは全てがシャッターチャンスになるため、一眼をたすきがけにしてペダルを漕ぐ。
レンズが膝にペチペチ当たるが、そんなものは知ったことか。
これまでにカメラを出すのが面倒だから…と出さずに逃してきたチャンスは少なくない。


そんな自分の気持ちに答えてくれたのか、徐々に霧が晴れ始めた。
ここからはもうシャッターチャンスの嵐である。

DSC08785

DSC08809 (2)

DSC08793

DSC08812

更に登ると緑豊かな湿原が広がっていた。所謂これが浄土平というものの正体で、その名の通り、”浄土”な”平”というわけ。

DSC08811

DSC08817

DSC08815

ここらへんは火山地帯ということもあり硫黄の臭い(有毒ガスによるもの)が酷く、停車したり窓を開けないようにと書かれた看板が立っている。
しかし生身でロードバイクに乗っている身としては、窓も何も無いわけだが…


レストハウスに到着。
DSC08821
今回はビンディングシューズのため登らないが、いずれ登ってみたい吾妻小富士。遠目にも沢山の人が登っているように見える。
DSC08824
看板の前で一枚撮っておく。
DSC08822
微妙にパーツが変わっていることに気づく人はいるだろうか。


昼食は会津若松の名物ソースカツ丼で。甘さとしょっぱさが沁みる。
f:id:weekendcycler:20160904205234j:plain
レストランはレストハウスの2階にあるので、自転車の安否が気になって仕方なかったという(笑)


レストランはから出てくるとあたりは霧に包まれてしまっていた。
先ほどの晴れ間はまさに間一髪というわけか…
これ以上いると危なくなりそうなので、引き返すことに。
20kmにも及ぶ恐怖の下りをなんとかこなし(実を言うと今までの下りで一番の危険を感じたのだが…)、福島駅へ戻った。


帰りの新幹線の中では、4年前に湯田中温泉から渋峠を超えた時のことを思い出していた。
あのときも霧の中きつい坂を登り、頂上に到達する直前で霧が晴れたのである。
そういったある意味こちらの予想を覆してくれるような出来事は、忘れられない経験になると思うし、
それこそ自分が自転車と旅を愛してやまない理由なのかもしれない。