Weekendcycler

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スニーカーを修理に出してみた

靴集めが趣味というわけでは全くないのだが、靴はそれなりに気に入ったものを選んで履いてきた。
特に華奢で細身なタイプが好きで、浪人だった予備校生~社会人一年目まではずっとAdmiralというメーカーのスニーカーを履いていた。
www.admiralfootwear.com
Admiralは値段の割にはデザインが小奇麗にまとまっており、ごちゃごちゃしていないシンプルさにちょっとした主張が入っているところが自分の好みにピッタリだった。
…ただある一点を除いては。


そう、脆すぎるのだ。


特にWATFORDというシリーズが好きだったのだが、これが特に弱い。
華奢スニーカーの宿命なのか、買って三ヶ月もしないうちに底がベロンと剥がれ、アッパーとソールは分離し、つま先の皮はボロボロに…
そもそも一足目のWATFORDを履いていた時はメンテナンスを全くしていなかったり、思いっきり走ったり、踵の削れを気にしなかったり、雨の日も履いたりとそもそも履き方がまずかったというのもあるが、
二足目を買って細心の注意を払って履いていても三ヶ月でダメになるのが半年に伸びたくらいだったので、これはもうダメだと。。
いくら気に入った靴でも、常に細心の注意を払わないと履けないのではちょっと…

そもそも同じ靴を履きすぎだという問題もある。
靴集めが趣味かどうかに限らず、靴というものは何足か所持して適材適所で履き替えることで各々の劣化を防ぐ、というのが本来の運用方法だろう。
雨の日はゴム製のレインブーツや防水または撥水スプレーをかけた革靴を履くべきだろうし、
写真を撮りに行くときは長く歩くことや足場の悪さを想定して運動靴や登山靴を履いたほうが疲れずにすむ。

それはそうするとしても、単に遊びに出かけるときのための靴として、もう少し丈夫なもの欲しい…ということで、8年間履いてきたAdmiralから文字通り?足を洗い、新しいメーカーに手を出すことにした。
そこで目をつけたのがSPINGLE MOVE(以下スピングル)である。
spingle.jp
スニーカー好きの人にはおそらく有名なメーカー。
アッパーまで巻き上げられたソールが目を引く、広島発のメイド・イン・ジャパン・シューズだ。


この特徴的な形状は「バルカナイズ製法」という製法で作られているらしい。
ゴム底と靴本体を接着し、硫黄を加えた釜で熱と圧力をかけることによって、ソールとアッパーの結び付きを強くすることができるそう。
他にどんな製法があるのかわからないが、おそらく単に縫い合わせているか、一体型(そんなのあるのかな?)だろう。
バルカナイズのような所謂熱で「はじけてまざれっ!!」な製法は、単に縫い合わせる方法よりも強度を保てそうだし、写真を見た感じだとちょっとやそっとじゃ剥がれないように見える。
以前履いていたAdmiralはアッパーとソールが剥がれるところから崩壊が始まっていたので、両者の結びつきが強くなるのは心強い話である。


そして結びつきだけではなく、巻き上げられたソールも見た目かなり厚く、耐久性やグリップ力に期待できそうだ。
デザインに関しても、すっきりとしたアッパーに、目を引くソールという、まさに”シンプル+ちょっとした主張”を兼ね備えた形であり、自分の理想に合っている。


そんなこんなで選んだのがこの一足。
DSC00224
アッパーにカンガルーレザーを採用していて面白そうだなと思ったのと、当時ネイビーにハマっていたのが選出理由。
カンガルーレザーは軽く・柔らかくよく伸びる・タフと三拍子揃った皮らしく(本当にそんな調子のいい皮があるのか?)、
調べてみるとサッカースパイクの半数はカンガルー皮が利用されているらしい。


実際に履いてみると、まるで長いこと履いてきた靴のように足に馴染む。
そしてソールのグリップがめちゃめちゃ効いてものすごく歩きやすい。
足を地面についた時のブレがこれまで履いていた靴よりもかなり少ない。
これはもしやと思い試しに走ってみると、驚くほど走りやすい(華奢スニーカーではまずご法度だが)。
値は張るが、良い買い物をした。


…と、これが去年の2月。


そんな素晴らしい靴も1年履けばさすが劣化してくる。
気づいたらソールの踵部分が残念な状態になってしまっていた。ついでに言うと踵のライニングにも穴が空いた。
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履いていないときはシューレースを入れる、雨の日は絶対に履かない、そしてバス!バス!バス!(靴を引き摺る音)とならないように注意を払い、なるべく垂直に足を地面につけるように歩いていたはずなのにこれである。
とはいえ1年も保ってくれたのだから、これまで履いていた靴とは雲泥の差である。


ちなみにアッパーは全くの無傷。
DSC03273
(左は試着中の自転車用シューズ、右がスニーカー。つま先あたり汚れているのはメンテナンスをサボっているからであり、油分を補給した後は回復している)
加えて未だアッパーとソールが剥がれる気配が微塵もないのはさすがバルカナイズ製法といったところか。


これ以上履き続けると間違いなく踵のソールに穴が空いて…という残念な未来が見える。
お高いスニーカー、しかもアッパーは無事なのだから修理してなんとか履きたい…
幸いスピングルはメーカーの方で修理(補修)サービスを提供している。
spingle.jp
そもそもこんな特徴的なソールは他に無いので、公式で修理してくれないとどうしようもないというのはあるが。
ともかく、修理を出す先を悩まなくて良いし、公式サイトの写真から仕上がりもなんとなく予想がつくという点ではありがたい。
ちゃんとした補修サービスがあるというのもスピングルを選んだ理由の一つである。


というわけで、やっとタイトルの「スニーカーを修理に出してみた」の本題に入る。
会社帰りにスピングルの店に立ち寄り、靴の状態から見積もりを出してもらう。
修理内容は踵のソールとライニングの張り替えで、修理費は値段の1/3くらいで修理出来るとのこと。
これは値段にして以前履いていたスニーカーと同じくらいである。


そう考えると安いスニーカーを使い捨てしたほうがいいような気もするが、
そもそも自分が好きになるようなモデルは3ヶ月~半年でオシャカになっていたので修理に出した方が得である。
何よりも、まだまだ履ける靴を捨ててしまうのは悲しいし、とにかく良い靴で愛着も沸いているのでできるかぎり履き続けたい。
そういうわけで迷いもなく修理をお願いした。


それから一ヶ月が経過し、今月頭に修理が完了した靴が戻ってきた。

修理前の写真がないのでわかりにくいが、踵のライニングは綺麗に修理されている。ほぼほぼ購入時と遜色ないと思って問題ないだろう。
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ライニングが削れて穴が空くのは靴の中で踵とライニングが擦れることが原因だろう。
サイズが合っていなかったり、しっかりと靴紐を締めずに緩い状態で履いてしまうと踵が動いてしまう。
これからは踵がずれないように気をつけていきたい。


ソールは継ぎ足しするように補修される。
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継ぎ足したソールと元々の一枚ソールの継ぎ目が非常にわかりやすくなってしまっている。
これはもうなんというかしょうがないのだが、先ほど説明したバルカナイズ製法ではアッパーとソールを熱で(おそらく)固着させるので、
後からソールをまるごと外して交換することが難しいのだと思う。
したがって、補修では中途半端に削れたソールを削り、土台を作ってから継ぎ足すという方法しかないのだろう。
とはいえ、裏返さないとわからないレベルなので特に問題なし。


肝心の歩き心地はどうかというと、やはり購入当初のようにはいかない。
踵のみ補修したせいで、踵高になってしまい歩いた時に踵に少し違和感を感じる。
というのも、靴のソールというのものは履いていると全体的に削れていき、特に踵の削れが酷くなる、というのが通常の劣化だと思う(違う人いたら教えて欲しい)。
このとき踵だけではなくつま先~土踏まず手前までも少しながら削れるということを考えると、踵だけ補修すると踵高になってしまうというわけ。
ものすごく気になるというわけではないのでこちらも許容範囲か。


踵の方が削れやすいので、修理後の状態からちょっと削れたら調度良くなるのでは?とも思う。
それで次は全ソール張替えかな。


と、スニーカーの修理はプラマイ色々あるものの、良いスニーカーもしくは気に入ったものを長く履きたい、という人にはスピングルはぴったりなメーカーではないかと。