乗鞍を自転車で登って撮ってきた Part4 畳平~スカイライン~宿
前回は乗鞍高原(長野側)から乗鞍エコーラインを通り、日本最高舗装路である乗鞍岳畳平まで登る行程のレポートでした。
今回は乗鞍岳畳平から岐阜に下る乗鞍スカイラインと、今回の旅で宿泊した宿についてレポートします。
この絵でいうと①の行程が終わったところですね。
岐阜側のスカイラインを少し下ってつづら折りを観に行きます。
乗鞍スカイライン
スカイラインから望む山々。超絶景です。
エコーラインの最後の方で雲が出てきた時はどうしたものかと思いましたが、見事に晴れましたね。
少し残っている雲が作る空の表情がとてもいいです。山々の神々しさを引き立ててくれていると思います。
にしてもこの開放感。スカイラインの名のごとく、まさに空を走る道なのでないかと。
ここでも雲がいい仕事をしてくれています。モデルのSK君が向いている方向に雲が放射状に伸びている。
特に意識したわけでもないのですが、いい感じに視線誘導する構図になっています。
道の先には空しかない。
そして…
圧巻の九十九折。
もはや語彙力が足りず、最高とか素晴らしいとかそういうことしか言えないような世界。
訪れた時間が午後ということもあり半分くらい陰ってしまっているのですが、むしろいいコントラストになっているのではないかなと。
ダイナミックな風景の片隅に自転車に乗った小さな人間がいる。文明の利器が発達した時代になお人力で圧倒的な自然に挑んでいく姿。圧倒的孤独。しかしその中で感じる生。
そのギャップが撮りたかった。僕が自転車に乗っている時に感じることはまさにそれであり、これこそが撮りたいサイクリングフォトなのです。
逆光もまた美しく。
もう少し降りるとまたもう一つづつら折りがあるそうなのですが、既に時間は16時半。
このままいくと宿のチェックイン時間に間に合わなくなりそうなので名残を惜しみつつ引き上げることに。
きっとここでは素晴らしい夕焼けが観れるのでしょう。
人間いつ死ぬかわからないしいつだって今日死ぬなんて思わない。 でももう少し先だと思うから、またの機会にとっておきます。
さて、遅れるとわかっていても絶景を目にしたら撮ることを抑えられないのがフォトグラファーとしての性。 畳平に戻るまでもとにかく光が最高で絶景祭りでした。
抜けるような青空と赤いウインドブレーカーのコントラストが美しいですね。
夏の峠の色は空の青と木々の緑がメインだと思うので、被写体であるサイクリストはその補色である赤~オレンジあたりのウェアを着てもらうと映えますね。
赤のウインドブレーカーは大正解でした。
畳平に戻ると、エコーライン側から登ってきたときとは打って変わってガスが晴れ神々しい景色に。
急いでいたので55mmで撮影したのですが、山も湖も中途半端に切れていて何を見せたいのかわからない写真になってしいましたね。。
さて、宿に向かって畳平からエコーラインを下ります。ここで松本駅で会ったサイクリストと再会したので軽く会釈。
そういえば畳平に泊まると言っていたような。明日の朝は晴れだから凄まじい朝焼けが観れるだろうな。。カメラ持ってたし羨ましかったです。
ここからはチェックイン時間とのタイムアタックかと思ったのですが、普通に間に合わなさそうだったので宿に電話でチェックインが遅れる旨を伝えました^^;
安全に下って宿に到着。
宿
今回宿泊したのは山水館信濃様
Part1の記事で言ったように、僕らは前日の夜まで宿を決めていませんでした。
少しぐらいお金かかってもいいから良いとこ泊まろうぜという話になり。
最終的に「囲炉裏」という素敵な文字列に惹かれて予約。
囲炉裏を囲んで焼き魚と鍋を食べる、そんな旅にかねてから憧れていました。
我々は早速温泉へと向かいました。 そう、温泉にね。
さすが長野、険しい山岳地帯なだけあってどこに行っても(さすがに言いすぎだけど)温泉が湧いているイメージ。
無論この宿でも温泉が入れるわけです。
そして自転車に一日乗った後の温泉は最高と決まっているわけです。
おかげでゆっくり浸かっていたら夕飯に遅れる時間になってしまいました^^;
そしてこれも決定事項ですが、自転車に一日乗った後の飯は最高。
夕食
お待ちかねの囲炉裏!!
囲炉裏と言えばこれでしょう。一本串に刺さった岩魚の塩焼き。
汗をかきすぎて塩分が足りない身体に染みます。
続いて鴨鍋。ジューシーな鴨肉がたまらない。
野菜の天ぷら。素材の味が生きる天ぷらは大好きなので嬉しかったです。
信州サーモンの刺身。これまた肉厚で美味しい。
どうやら割と歴史の浅い鮭らしい。
やはり長野といえば蕎麦ですよね。
デザートは西瓜。こんなに甘くて美味しい西瓜は初めて食べたかもってレベル。正直言って西瓜は種取るのが面倒な割に当たり外れがあるのであまり食べないのですが、これは何個でもいける。。!
というわけで大満足な夕食でした。
夕飯食べたら温泉ラウンド2行こうかなんて話をしていたのですが、激しい眠気に襲われそのまま寝てしまいました。
前日実質3時間しか寝てねーからな。。
朝食
熟睡すること8-9時間、翌朝起きると窓から光が漏れていました。
天気予報通り晴れているようですね。外を見ると雲ひとつない青空が広がっていました。これから台風が来るとは信じられないですね。
朝食と言えば焼き鮭。これまた信州サーモンです。濃すぎず薄すぎずな味付けが素晴らしいですな。白米が進みます。
冷奴には生わさびが乗っていました。わさびということですが、全然辛くなく、シャキシャキとした歯ごたえが心地よい。
名前を忘れてしまった乗鞍高原名物料理。見た目焼いた漬物のような雰囲気ですが、期待を裏切ることなく味も漬物です。新感覚。
朝食を食べて玄関前を通るといい感じの光が差し込んで影を作っていました。
せっかくなので宿の外に散歩に出ることに。
木々の間から光が差し込み、一点だけが明るくなっています。こういう光を沢山見つけていきたい。
寒すぎない涼しいひんやりとしたきれいな空気がとてもいいですね。1年中この気候ならいいのにね。
きれいな緑と山々、そして空気。温泉。食べ物。長野はどれを取っても本当に素晴らしいと思います。
きっとこれからも何度も訪れてしまうだろうなぁ。
帰路
最後にもう一度だけ温泉に浸かってから、宿の女将さんに挨拶して帰路につきました。
帰りは来た道を戻るだけ。行きは登りだけだったので帰りは下りのみ。時たま止まっては撮影しつつ…
松本駅まではあっという間でした。
駅に着く頃には昼飯時になっていたので、何か良い食事処はないかと色々探して結局ラーメン屋へ。
麺匠佐蔵。信州味噌を使った濃厚な味噌ラーメンが推し。
実はここには3年ほど前に美ヶ原を登りにきたときに入ったことがありました。「味噌」ということ以外何を注文したのか忘れてしまいましたが美味かったのは覚えてる。
今回僕が注文したのは濃厚魚介味噌ラーメン。間違いのない美味さ。
魔が差して大盛りにしたのですが、思ったより多くて汗びっしょりになりながら完食。
ここから先は普通に篠ノ井線と新幹線を乗り継いで帰りました。
特筆すべきことはないのですが(笑)、帰りも篠ノ井線の姥捨駅からの景色は素晴らしかったです。一度ちゃんと時間を取って来てみたいですね。。
旅の最後に
正直言って乗鞍は想像以上でした。
今まで渋峠、浄土平、美ヶ原と名だたる聖地を走ってきて、もうこれ以上の絶景ないでしょ…思っていたのですが、乗鞍でまた度肝を抜かれました。
正直に言うと、あまり乗鞍の素晴らしい写真を観たことがなかった(能動的に探してなかったのもあるけど)ので、ただ標高が高いだけでそうでもないのでは?と内心思っていました。
でも実際に走ってその絶景を目の当たりにして、僕はなんて愚かだったんだろうと今は自戒しています。
今回の旅の記憶と写真がすべてを物語っています。
やはり自分の目で見て、走って、感じないと何もわからないですね。 今更何を言ってんだという感じですが。。でもそれを強く実感する旅でした。
7年前に渋峠を初めて自転車で登った時あまりの美しさに自転車の価値観が変わり、その絶景を綺麗に残したいと思って写真を始めました。
故に森林限界は僕の自転車と写真の原点、そして原動力でもあると思うのです。
一体これからどんな景色に出会うことができるのか。
それはきっと能動的に動き続けることで変わってくるのでしょう。
これからも貪欲に、自転車と写真という日本の柱を持って色々な場所に足を運んでいきたいと思います。
最後に、今回乗鞍を推してくれて、かつ僕の面倒くさい注文に答えて素晴らしい被写体になってくれたSK君に感謝して締めくくりたいと思います。
ありがとうございました!