Weekendcycler

Cycling, taking photographs, and drinking a cup of coffee on the weekend

京都に写真を撮りにいった part2 (1日目)

翌朝、起きがけにひねった蛇口から出た水はとても冷たかった。
というか、冷たすぎて危うく声が出そうになったまである。
お陰で一気に目がさめた。

宿の食堂で朝食を済ませる。
そう、実はこのプラン朝食が付いている。それでいて京都駅から徒歩5分、3泊16000円は正直めちゃくちゃ安い。
23時の門限があるが、1人旅かつ体力勝負のカメラ修行なので、遅くまで外を出歩いたりすることもないため問題ない。
館内もちゃんと綺麗にされていて、ちゃんと乾くドライヤーが置いてあるのがポイント。
僕は毛が多いので、風量が多いドライヤーじゃないと乾かないのだ…


ちなみに朝食の内容はいたって普通だったが、ご飯が茶碗三杯分くらいあって、今日一日動き続けなければいけない身としては非常に助かった。
そして冷えた身体に湯豆腐と味噌汁が染みる。


支度をして外に出ると、芯から冷えるような寒さを感じた。
今年は暖冬ということで、最近になってやっと寒くなってきた感があるが、
京都は関東に比べると何割か増しで寒いような気がする。
京都イコール盆地イコール寒いという式によるプラシーボ効果である。


天気は晴れ。こうでなくては困る。
多少雲があるのが気がかり。予報は晴れ時々くもりということだが、夜までもってくれるだろうか…
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さて、まずは円通寺に向かう。
まず烏丸線北山駅まで行ってから、徒歩。所要時間は約40分である。
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ちなみに電車とバスを乗り継いでいくルートもあるが、今回は徒歩も積極的に取り入れていくことにした。
理由は、最近自分の歩行力に衰えを感じ、鍛える必要があると感じたからである。
単に入院していたからというのもあるかもしれないが、1日歩くと足腰がめちゃくちゃ痛くなる。全く情けない話である。
何故こんなことになっているのかとよくよく考えてみると、普段はデスクでサブマリンスタイル(あの行儀の悪い、腰を沈める座り方)か、
自転車のサドルに座っているかどっちかである。つまり殆ど歩いてない。


え、自転車乗ってるはずなのになんでなん?と思うかもしれない。
確かに足の筋肉を酷使するスポーツではあるが、サドルに座っている分あれは腰から上を脚で支える必要が無い。
その分脚への負担は軽減されているといえるのだ。
ペダルだって四六時中回しているわけじゃないしね。


機材を入れたカメラリュックは4,5kgぐらいあるので、これを一日背負って歩き続ければなかなかのトレーニングになるはず。
というかそれぐらい出来ないとこの先やってられないですし…


旅館から地下鉄乗り場までのアクセスは容易だ。
20分弱電車に揺られて北山駅に到着、これから徒歩で円通寺に向かう。
歩いていると、割と規模の大きな雑貨屋やインテリア用品店が散見される。
しかもなかなか良い雰囲気だ。
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こういった雑貨やインテリアには、元々そこまで興味がなかった。
しかし写真を始めるようになってから興味が強くなってきたように思える。
被写体そのものとしてというのもあるが、まず背景としての部屋がいい感じじゃないと雰囲気が出ないからだ。
しかし今日は予定が詰まっているので、ひとまずはスルー。
人が少ない時間帯に寺に到達するのが目的だ。


しばらく歩くと、道が軽く傾斜していた。
徒歩でいく!と決心したものの、坂を見るとどうしても自転車に乗りたくなってしまう…というか、めっちゃ傾いてないかこれ?
自転車で登ったら相当キツいはず…と思ってふと顔を上げると、そこには斜度25%の標識が…
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超激坂ですやん。
なおさら自転車で登りたくなるも、今日は歩くために来てる!と言い聞かせて少しずつ登っていく。
ここまでの斜度になると自転車より歩くほうがまだ楽だ。


そうして少し下ると、円通寺の入り口が見えてきた。
拝観は10:00から、現在9:45なので良い時間だ。
駐車場を見やると既に車が一台。僕と同じ考えだろうか…
門前で写真を取りながら拝観時間を待つ。
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そもそも何故この円通寺に来たのかというと、借景の枯山水庭を写真に納めるためである。
枯山水は水を使わずに山水の風景を表現した庭園のこと。
さて、借景は景を借りると書くが、そもそも何なのか。僕も今回の旅行を計画するまでは知らなかった。

しゃっけい
【借景】
遠くの山などのけしきを、その庭の一部であるかのように利用してあること。そういう造園法。 「叡山(えいざん)を―とした庭」

ということで、読んで字の如くである。
この借景という技法を用い、庭園に背景をとり込むことにより、通常限られたスペースだけの表現にとどまっていたものが、非常に奥行きのある表現に変わる。
つまり、庭園×背景=無限の可能性 ということ。


この円通寺枯山水庭は比叡山を借景として取り入れており、その雄大さが魅力の1つ。
国の名勝にも指定されているとか。


10:00になり開門、拝観料を支払い借景と対面する。
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ちなみにこの庭園を撮影するまでには、拝観開始からちょっとだけ時間がかかっている。
というのも、庭園を一望できる部屋に入ると、まずは住職さんによるテープ?説明が始まる。
ちなみに説明を聞いている間は撮影は禁止。

ふんふんなるほど…と聞いていたのだが、この説明がやけに長い…時間にして15分くらいはあったのではないだろうか。
話が終わったのかと思ったら、一拍置いて次のネタがくる。フェイントかよ!
妙に芝居がかった語り口といい狙っているようにしか思えないぞこれェ…などと非常に失礼なことを考えていたのだが、この説明を受けたのは非常に良かったと思っている。
円通寺に来る前の僕は、さぁ撮ってやるぞ!と鼻息を荒げて(坂を登ってきたのもあるけど)おり、決して落ち着いているとはいえない状態だった。
そこで一旦腰を落ち着けて、円通寺とこの借景の歴史について学びつつ、庭園をゆっくりと見渡してどう撮っていくかを冷静に考える時間を持つことが出来たのはありがたいことである。

ちなみに、最初に部屋に入った時は雲で比叡山が隠れていたのだが、説明が終わると同時に雲が晴れて良いコンディションに。
住職さんGJ。


撮影を終え円通寺を出て、次の目的地である下鴨神社に向かう。
下鴨神社を目的地に入れた理由は、所謂聖地巡礼というやつである。
part1でも少し書いたが、森見智彦氏の『有頂天家族』という小説を知っているだろうか。

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

京都を舞台に、人間に化けて暮らすたぬきの家族がドタバタコメディを繰り広げるお話である。
単にコメディコメディしているだけではなく、シリアスあり、家族愛、兄弟愛あり笑えてしかもほっこりとあたたかい気持ちになることができる。
小説が苦手な人はアニメを観てもいいだろう。どちらにしても森見氏特有の登場人物同士の掛け合いが非常にテンポよく気持ちがいい。オススメの作品だ。
uchoten-anime.com

ちなみに、この有頂天家族の主役であるところのたぬき家族が住んでいるのが下鴨神社の境内に広がる糺の森
京都に来たらぜひ行ってみたいと思っていた。


ちなみに下鴨神社までは徒歩で向かうことにした。
距離にして約4kmとそこそこのトレーニングである。
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電車を使っても良かったのだが、結局殆ど時間が変わらないようだったので徒歩を選択。
京都の町並みを観たいというのもあったしね。精神的・時間的な余裕がある時に知らない場所を歩くのは結構楽しい。


登ってきた坂を下っていると電柱に目に付く張り紙が…
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「夜ごみを出’さ’ないこと」と言いたいのだろうけど、これではなんだか逆効果になっているような気が…w


下鴨神社まで半分くらいまで来たところで、ふとそこまで肩が疲れていないことに気付く。
肩パッドの違いなのか、内部構造の問題なのか、新しいカメラリュックはなかなかいい仕事をしてくれているようだ。


さらに歩いて行くと空が曇ってきた…なんてこった。
この曇りというやつは写真にとっては最大の天敵であると僕は考えている。
雨のがまだマシだと思っているまである。
何故かと言うと、被写体の色がきちんと出ないからだ。
本来、色というのは物体に光が反射し、その反射光が目に入ることによって確認される。
曇りだと光の量が足りないため、晴れている時に比べて反射する光の量も減ってしまい、鮮やかさが激減してしまう。
現像する際にある程度補正することはできるが、どうも現実味に欠ける写真になってしまう。
そもそも曇り空が入っていること自体微妙である。

もちろん、敢えて曇りを活かした写真を撮影する(極力曇り空を入れないとか、白黒にするとかその他色々)方法もあるが…
そもそもスタンダードな写真を撮りたい、それも鮮やかに撮りたいと思っていたので、気持ちはかなり萎えてきた。


そんな萎えた状態で糺の森の入り口に到着。
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この糺の森というやつはかなり大規模で、森の奥にちょこんと下鴨神社があるような具合である。
気分が萎えていたので写真撮影を怠ってしまったが、確かにたぬきが生活しそうな雰囲気だ。


しばらく歩くと下鴨神社の顔こと重要文化財の楼門が見えてきた。
そしてその前に大量の観光客が。どうやらツアーの途中のようである。
先ほどの円通寺には片手で数える程しか人がいなかったので、随分雰囲気が違う。
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なんというか、ザ・観光地になってしまっているんだなぁ…
んでもって何か行事をやっているのか、右にチラッとテントが写ってしまっている…
しかしこれ以上近づくといまいちな構図になってしまうのでこれが限界。


ひとまず中へ。有頂天家族の劇中ではたぬき家族が座って駄弁っていた社だが、脇に車停まってるな…正月に向けての準備かな?
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なんか人も多いし、天気も良くないしもういっかな…という気分になってしまい、下鴨神社を後にする。
後で正月に実家に帰ったときにこの話を親にしたら、「えー!もったいない!あそこには○○とか××とか色々あるのに!」
と言われ、え、そんなのがあったのか…うーむ確かにちょっとあっさりしすぎたかな…と思うと同時に、
そもそも自分は写真を撮れるとか撮れないとかそういう観点でしか物を見ていなかったのかもしれないということを強く実感するのだった。


良い写真を撮るには、もちろんカメラの使い方や構図の作り方、光を読むといった技術的なことは重要だ。
しかしそれ以前に、被写体に対する知識が欠けていても良い写真は撮れないのかもしれないということ。
例えば自分の飼っている犬を写真に撮ろうと思ったら、その愛犬が一番可愛いしぐさをしている瞬間を撮ろうと思うんじゃないだろうか。
この場合知識があるとは、「どうすればその愛犬の一番可愛いしぐさを引き出せるかを知っている」ということである。
飼い主にはそれが出来る。何故なら、自分が愛犬と過ごしてきた長い時間に積み重ねた記憶からその答えを容易に引き出すことが出来るから。
その知識とカメラの技術が合わさったとき、本当に良い写真が撮れるというわけ。


少し話が飛躍するが、愛犬を下鴨神社に置き換えてみよう。
下鴨神社はアニメで少し観ただけで、訪れるのは初めてだ。
もちろん鳥居に首輪を付けて散歩させたことなんかあるはずない。
であれば尚更、知らなければいけない。もしくは観察しなければいけなかったのだ。
つまり、良い写真を撮るには興味を持ち続け探求すること、それを怠ってはいけないということ。
そんなことを今更ながら実感するのだった。


さて、話がそれてしまったが…もう14時を回ったのに昼食を取っていなかったので飯屋を探すことに…
したものの、これだ!というのがない。
さすが京都というべきか、食べログの☆が多いところはどこもお高いぜ…かと言ってファーストフードとかも見当たらない。
仕方ないので適当にコンビニで軽食を買って飢えを凌ぐ。


次に向かうのは三十三間堂
この三十三という数字は、柱間(柱と柱の間のこと)が33もあるという建築的な特徴や、観音菩薩が33種の姿に変じて衆生を救う、と説かれたことに由来している(おそらく後者が先?)らしい。
ちなみに中には驚くべきことに1000体の菩薩像があり、一人一人が33種の姿に変じるため、三十三間堂には三万三千三十三体の菩薩様がいる!ということになるらしい。すごい。

三十三間堂には徒歩と電車で向かった。
そろそろ疲れてきたので歩く距離が短いのは助かる…
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にしても1000体の像とかすごいな!広角にしろマクロにしろものすごい面白い画が撮れそう…!そう思って意気込んで拝観料を払ったのだが…
なんと中は撮影禁止。マジか…


とはいえ、鎮座する1000体の像(いくつか改修中だったけど)の迫力はすごい。
今やオートメーションな時代になってしまったが、当時よくこれだけの数の同じ木像を手で彫ったなと…しかも全て同じ形。
前述した通り写真に収めることはできなかったが、公式サイトでちょろっと観れるので確認してほしい。


そして、1000体の像を内包する建築物ということもありめちゃくちゃ横に長い(こちらは撮影OK)。
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持ってて良かった超広角レンズ。


昔はこの非常に長い軒下(121.7m)を利用し、手前の左端から矢を射、奥の右端の標的に当てる「通し矢」という競技が行われていたそうな。
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中には一昼夜灯りも無い中ひたすら矢を射続けるという種目もあったようで、想像してみればかなり過酷な競技。
さすがに重要文化財に傷を付けるわけにはいかないのか、現在は行われていないみたい?

ひとしきり歩いて長さを堪能した後、三十三間堂を後にした。


それにしても腹が減った。半日重い機材を背負って歩き回っているだけあって代謝がかなりよくなっている。
三十三間堂に行く前にコンビニで買って食べた肉まんとおにぎりはもうどこかに行ってしまったらしい。
そういえば大分京都駅近くまで戻ってきたな…というところで思い当たる店があった。
M1の時に学会で京都に来た時に先輩たちと行ったラーメン屋2軒、新福菜館 本店と、本家 第一旭 たかばし本店だ。
tabelog.com
tabelog.com
この二軒、ちょうど隣り合った状態で建っているから面白い。
コンビニが道路挟んで反対側にある、というのはよく見かけるけど一体どういう考えなのか…

いざ2軒のある場所に行ってみると、どちらも並んでいるが新福菜館の方が早く入れそう。
というか旅先で一人で並ぶのむなしすぎる…
ということで、新福菜館にIN。


ここラーメンの特徴は、丼になみなみと入れられた真っ黒な醤油ベースのスープ。
そのなみなみっぷりと言えば、丼からこぼれまくって店員さんが持ってくるお盆がスープ入れたスープ皿みたいになるレベル。
ちなみに、前回先輩方と来たときは2階席(調理場は1階)ということもあり、揺られに揺られて運ばれたせいか、Yさんのラーメンのみスープどころか生卵まで盆にこぼれており、唖然としたのを覚えている。
店員さんは盆に載せたまま帰っていってしまい、その後Y先輩が生卵を見ることはなかったのだった…生卵盆から返らず。


そんなことが続いてさすがに店側もまずいと思ったのか、今回運ばれてきたラーメンには二郎のマシマシを頼んだ時のような受け皿がついてきた。
これで生卵が犠牲になることも無くなったわけだ。


ところで、店のワイルドさばかり語っていて肝心のラーメンについて書くのを忘れていた。
真っ黒なスープは醤油の香ばしさがたまらない…疲れていることもありしょっぱさが身にしみる。
やはり飯はちゃんと暖かいところで温かいものを食べないといかんね。



さて、腹も膨れたところで後半戦がスタート、次は「あじき路地」だ。


あじき路地は、明治時代末期に建てられた長屋が連なる路地。
大家さんの「ものづくりなどを頑張っている若者に使って欲しい」という想いから、現在は若い職人の住居・工房として使われているそうだ。
ここには徒歩で向かう。1.8km、食後のちょうどいい運動だ。
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自分は元々歩くのは好きではないが、京都の街を歩くのは苦ではない。
それは多分旅の高揚感と、普段暮らしている街とはどこか違うこの街並みにわくわくしているからだろう。
後でそんな感じのことをブログに書こうなどと考えながら歩いていると、危うく路地の入り口を通り過ぎそうになる。

路地の入り口の立て看板にはアーティスト達の名前や店名が並ぶ。
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長屋自体は明治時代当時の佇まいを保っていると思われるが、ところどころに配置された植物がどこかモダンな雰囲気を醸し出している。
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長屋の窓から漏れる灯りからかろうじて人がいる雰囲気が感じられるものの、皆気配を消しているかのように路地はひっそりとしていた。
アーティスト達は中で黙々と作業をしているのだろうか。若き芸術家の魂が潜んでいる、そんな感じだ。
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写真は手を繋いで歩く西洋人の父娘と、計算されたかのように無造作に配置された自転車。


あまりにひっそりとしていたので入るのを躊躇ってしまったのだが、ハンドメイド革製品やらシルバージュエリー等、見てるだけでも面白そうなものを取り扱う店がたくさんあったようだ。次来た時の楽しみにとっておこう。
ajikiroji.com


お次は「花見小路通」に向かう。
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花見小路通祇園の中心地にある南北を貫く、京都らしい風情のある石畳の通り。
といっても、石畳が整備され、電線が地中に埋められたの2001年と割と最近のことらしい。
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年末だというのに、着物を来た観光客や地元の人で溢れている。
今回は観ることが出来なかったが、どうやら出勤する舞妓さんに会える確率が高い場所らしい。
少し脇道に逸れてみるのも良い。情緒あふれる町家や石畳の路地を堪能できる。
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ここに来た目的はただ一つ、「ライカ京都店」を写真に収めるためである。
ライカ(LEICA)という名前を一度は耳にしたことある人もいるのではないだろうか。
ライカはドイツのカメラメーカーである。
自分がカメラを始めたのはここ3年くらいであるが、小さい頃からフィルムカメラ使いだった父に「ライカのカメラはとにかく高い。買えたもんじゃない。」等と言われて育ってきたので名前とそのすごさだけはなんとなく知っていた。
そして実際にカメラにハマり、程度知識がついてきた頃にライカの「ノクティルックス」という開放F値0.95というわけのわからないレンズの存在を知ることになり、ライカへの憧憬を増すこととなった。
[PY] フォトヨドバシ "RANGEFINDER" | LEICA NOCTILUX-M f0.95/50mm ASPH.
ちなみにノクティルックスは100万円なり。自分の持っているF1.4 55mmを10本買ってもお釣りが来てしまう恐ろしいレンズ…

さて、そんな魅力あふれるライカの「世界で最も美しい」と呼称されるストアが京都にあるということで、これはカメラを趣味とする人間なら行かない手はないぞ!
となった運びである。

そんなわけで期待に胸を踊らせて花見小路通のライカ京都店を目指したわけなのだが、、、


なんと当日は定休日…


なんてこった…ノリだけで旅行を決めた結果がこれだよ。
しかし、今日はまだ1日目。
年末休みの記述は無いし、今日を含めて京都にはあと三日間滞在する予定…まだまだチャンスはある。
明日リベンジすることを決意し、花見小路を後にした(写真はライカストア京都の看板)。
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なんだか拍子抜けしてしまったが、今日はまだ楽しみが残っている。石塀小路だ。
石塀小路は、敷き詰められた石畳の両側に町家が立ち並ぶ狭い路地。
町家はどれも「一見さんお断り」な空気を漂わせているが、小路を歩いて京都らしい雰囲気を楽しむのには金はかからない。
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歩きで石塀小路に向かっていると、段々と日が暮れてきた。
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ちなみにこれは計画通り。
カメラの師匠であるところのM氏のブログで見かけた夜の石塀小路の写真がとても綺麗で、もしここに行くなら絶対に夕暮れ時~夜にしようと決めていた。


ちょうど石塀小路の入り口に差し掛かった時には、灯籠に灯りが点っていた。
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小路に入ってみてわかったことだが、とても雰囲気の良い路地ということもあり外国人観光客や着物を着たカップル、家族連れなどがひっきりなしに通る。
そんな色々な意味で寒い中一人カメラを設置してシャッターを切るのはなんとも虚しい…いったい自分はなにをやっているのか…しかしそれも悪く無い、そんな気がする写真が撮れた。


暮れかけの青を残した空と、路地の灯によってオレンジ色に照らし出された町家のコントラストが美しい。
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やはりここを訪れるなら夜だろう。灯りが濡れた石畳を照らし、一層風情を感じさせる趣になる。
そういえば、今日は特に雨が降ったりはしなかったはずだ。季節を考えても、水をまいて路面の温度を下げる必要もない。
この雰囲気を作り出すために敢えて水をまいているとかそういうことなのだろうか…?

小一時間はいただろうか。シャッタースピードは長めに取るにせよ、前述の通り人通りも多いのでゴーストが写ってしまう。
満足いく写真を撮るには結構な時間がかかった。
おかげで大分身体が冷えてきた…自販機でほっとレモンを買い、石塀小路を後にした。


そして1日目の最後を締めくくるのは京都駅。
京都駅と言えば、他の駅には類を見ない、というかなんでこんなすごいの作ったん?と思わせるぐらい巨大な吹き抜け空間と大階段。
特に冬の大階段は大規模なイルミネーションが特徴的。
以前学会で京都駅に来た時は一眼どころかコンデジすらを持っていなかったためスマホで撮影したわけだが、その膨大さをスマホのカメラに納めきることは不可能だった。
自分の目で観た景色を人に伝えたいのに写真が思うように撮れないので伝わらないというよくあるアレである。
だが今回の自分には超広角ズームがあるのだ。こいつなら十二分に京都駅のすごさを伝えることが出来る。

というわけで満を持して吹き抜け空間。
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大階段のイルミネーションも。
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見れば見るほど何のために作ったのかわからない空間だ。全く駅には必要が無い。
スーパーマリオ64のステージかよと。
だが、東京国際フォーラムしかり、こういう膨大な空間というのにはどうしても惹かれるものがある。
声に出すことはないが、「うひょー!」と心の中で叫んでおく。


せっかく京都に来たし京都タワーも撮っておく。
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でもなんか普通に撮ってもあまりおもしろくないな…


さて、時計を観ると既に21時…まだ夕飯を食べていない。
しかし店を探す気力もない。1日中歩き回ったのがかなり堪えている。
どうせ一人旅だしなんでもいいや…ということで、京都まで来てコンビニ夕飯。
でもコンビニ飯って英世一枚くらい使えばかなり豪勢で優雅な食事ができるんだぜ…孤独のグルメでもコンビニ回あったやん?


宿の自室でコンビニ飯を満喫した後に風呂、そしてちょっとだけ写真を編集して布団へ。
冷たい布団が心地よい…あっと言う前に眠りに落ちていった(と思う)。

part3(2日目)に続きます。

オーディンスフィア レイヴスラシル ~屋根裏図書館への招待~ に行ってきた

ついに待ちに待ったゲーム、オーディンスフィア レイヴスラシルが発売された。
atlus-vanillaware.jp

オーディンスフィアは、ひとつ前のエントリで紹介した朧村正ヴァニラウェアが開発、2007年にアトラスから発売されたロールプレイングゲーム
開発はヴァニラウェア、サウンドはベイシスケイプということで、もちろんこのゲームでも美麗で幻想的な2Dグラフィックとサウンドを堪能できる。

紡がれるのは、世界終焉の叙事詩

エリオン大陸において絶大な力を誇っていた魔法大国バレンタイン。
魔力の結晶炉「コルドロン」をその力の源とし、
栄華を極めたが、一夜にして滅び去ってしまう。

やがて主のいない「コルドロン」をめぐり国々の争いが勃発し、
その戦火は日増しに激しくなっていく。

エリオン大陸に伝わる予言の通り、
世界は終焉へと進んでいくのか。

公式サイトより


オーディンスフィア レイヴスラシル PV#01


北欧神話、歌劇ニーベルングの指輪をベースにした世界観のもと、「世界の終焉」という運命に立ち向かう5人の主人公の姿が描かれる。
オーディンスフィアの魅力は、綿密に張り巡らされた伏線や練りこまれた重厚なストーリー、そして舞台演劇を思わせる演出や詩的な台詞回し。


特にこの詩的な台詞回しに関しては、「クサいw」「ポエムw」「かゆいw」等と揶揄されることも多いのだが、
6年前、大学生にも関わらず中二病を発症していた(というか今も発症しているかもしれない)自分にとってはクリーンヒットだった。


このゲームを知ったのは、当時ハマっていたモンスターハンターの情報を集めるためにちょくちょく訪れていたブログ「ウホッ!いい赤メット!」に書かれたオーディンスフィアの感想記事を観たのがきっかけ。
お、なんだか面白そう…と思い、その後すぐに公式サイトでPVを観ただけで泣きそうになり、これはもう買うしか無いと中古版をすぐさまポチったのを今でも覚えている。
そうしていざプレイしてすさまじい熱量のカタルシスを味わい、自分は見事にこの作品の虜になってしまった。

それは単に交友関係が少なかっただけなのか、それとも若者のゲーム離れのせいなのか、当時自分の周りでこのゲームをプレイしている人は居なかったと思う。
まさに「世界の果てに一人」である。
こんなに素晴らしいゲームなのに、どうして誰もプレイしていないんだろう…プレイしている人と熱く語りたい…
そんな想いを抱きつつインターネットで検索をかけると、オーディンスフィアを愛する人達は実は沢山いるということがわかり、かなり驚いた。


それからずーっと、ネットの仲間とオーディンスフィアの新作やリメイクに期待を膨らませる日々を過ごしてきた。
そしてついにその時が来たのである。


突如、「アトラス×ヴァニラウェアが挑む“新本格HDプロジェクト”特設サイト」が出現したのだ。
サイトにポツンと存在する種と芽のイラスト。この種と芽が何を意味するのか…もしかして…?
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オーディンスフィアファン達は期待と不安が入り混じった目で来る日も来る日もそのサイトを訪れた。
やがてその芽がクリックできるようになり、あの聴き慣れた懐かしい音が耳に入った瞬間、期待と不安は確信へと変わった。

そして生放送当日…ボストンからの生中継であの美しい旋律、「オーディンスフィア メインテーマ」の出だしが聴こえた瞬間。
こう思ったのでは無いだろうか?


今まで生きてきて良かった…と。

オーディンスフィア レイヴスラシル メインテーマ from Boston

少なくとも自分は、出張先のレオパレスで最高潮の興奮に包まれていた。


かくして不朽の名作、オーディンスフィアがこの度リ・クリエイトされ、オーディンスフィア レイヴスラシルとして8年の時を経て生まれ変わった。
リマスターではなく敢えて「リ・クリエイト」なのは、ヴァニラウェア社長の神谷盛治氏曰く、「当初はただの移植の予定が大改造になってしまった」かららしい。
実際その通りで、単にグラフィックが綺麗になっただけでなく、より快適に遊べるような大幅なシステム変更がなされている。
より軽快になったアクション、スキルの導入により広がる戦闘の幅、新しいステージやモンスター、キャラクターの追加。
それでいて、前作のストーリーは据え置き、一切の改変はなし。
これは、オーディンスフィアが好きで好きでたまらなくてヴァニラウェアに入った人たちの、「オーディンスフィアという素晴らしい作品を壊したくない」という強い想いの現れであるという記事をどこかで読んだ。
オーディンスフィアがリメイクされるかも?という段階になったとき、期待はもちろんだが不安もあった。
あまりにも期待が強すぎるために、リメイクは自分たちが思い描くオーディンスフィアとは似て非なるものになってしまうのではないかと。
何かに期待しすぎた結果、落胆するのというのは、考え方としては残念というか失礼というか誠に勝手でおこがましいのだが、期待せざるをえないのがファンとしての性。
もちろん、どんな結末を迎えたとしても、「受け入れた運命」として、殉ずる他ないのだが。


ただこうして発売されたレイヴスラシルを改めて見てみると、そういった想いを抱いていたのはスタッフの方々も同じだったのかもしれない。
ファンとしてはただただ頭が下がる想いである。本当に、素晴らしい作品をありがとうございました。


さて、ソフト自体の発売日は1/14だったので、もうとっくに自分も購入&絶賛プレイ中である。
よく訓練されたヴァニラ信者なので、もちろん全てのハードで購入済みだ。
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予約特典がただでさえ狭い部屋を圧迫してヤバい。


プレイした雑感としては、とにかくアクションが軽快で気持ちいい。
朧村正に近いテイストになっているが、朧村正のそれとは決定的に違うところもいくつかあり、
それは前作から引き継がれる「オーディンスフィアらしさ」にも通じる部分だと思う。
性懲りもなくアイテム使用無しという縛りプレイをしているので、そのうちまた感想をダラダラと書くつもりだ。


さて、ここまで書いてきてやっと本題に入ることができる。
レイヴスラシルの発売を記念し、なんと東京でオーディンスフィアの展示会が開かれることになったのだ。
www.gallerycomplex.com


しかもそれだけではなく、展示会では大量のグッズも先行発売されることになり、
今まであまりのグッズの無さに「悲しみに沈み」、「緩やかに死に逝く」状態だったオーディンスフィアファンにとっては嬉しいと同時に金足りないマンな事態となった。
豊富な予約特典に驚き、負けじとお金を注ぎ込んだいうのに、ここに来てまさかの伏兵である。
www.4gamer.net
おま…銀食器…ごまんえん…度し難い…思うにならぬ…こんな「巻き返せ」、誰が予想できただろうか…


しかし、誉むべきかな。いまのいままで人知れずこっそりと愛され続けてきたオーディンスフィアは、こうやって展示会が開催されたり沢山のグッズが発売されるぐらい大きな存在になったのだ。
「!…ああ クロイツ先生… 私の役割がようやくわかりました 今までたくさん残業して貯めてきたバレンタイン記念硬貨はこの時のためにあったのですね!!」

まるで新世界の幕開けのようだ…こんな奇跡を目の当たりにしてしまっては、行かないわけにはいかないじゃないか…この展示会に…


ファンたちのこんな声が聞こえてきそうである。


てなわけで、先週末に四ツ谷まで展示会に行って参りました(今度こそ本題)。


東京メトロ丸の内線「四谷三丁目」駅で下車し、歩くこと10分弱。
なんかものすごいいい雰囲気の建物きたー!
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さすがのチョイスというか、これは招待されざるを得ない…


中に入って階段を登ると会場の入口が見えてきた。既に興奮が抑えられない。
入ると、全面に広がるオーディンスフィアのキャンバスアート。
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右にはサイファーの模型も!
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これ、手にとってぶんぶん振り回したい…
レイヴスラシル的には槍と魔剣なのでは?と思ったけど魔剣は作るのが難しいのかな~


そして特に目を引くのが、こちらの新旧パッケージイラストが描かれた人の背丈程もある巨大なキャンバス。
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ああ…いいぞ…すごくいいぞこれ…
左の旧パッケージ、屋根裏部屋のソファに座って空想するアリス。
屋根裏部屋ってきっと子供にとっては自分だけの世界なんだよね。
外の広い世界とは違って、自分だけでどうにでもできる世界。想像し放題な世界。
大人になったら狭く低く感じてしまう場所でも、子供にとってはきっとすごく広く感じるんだろうな…
子供の頃に秘密基地作ったりしてたのは、自分だけの世界が欲しいからだったのかな…


そして三者三様の表情を浮かべる新パッケージ。
これが公開されたときは、これまでとのタッチの違いから「あれ、今度のパケ絵は社長ちゃうん?」とか言ってしまったわけだが、ちゃんと社長でしたごめんなさい。
それにしてもあまりに耽美すぎるオズワルドに驚いたものだ。確かにこの顔なら口からポエムが出てきてもおかしくない。


ついついこの二人はアップで撮影してしまう。ティトレルの指輪(と思われる)をはめられた手を上げ、視線を空に這わせるグウェンドリン、青い鳥。
動揺しているの?
ラグナネイヴルに指輪を届けに行く途中なのか、それとも妖精の国から帰ってきた後なのか。
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ちなみにこのキャンバスアート、なんと購入が可能。一枚\150,000なり。
購入した猛者はいるのだろうか…部屋が広かったら是非とも飾りたいが…


更に中に進んでいくと、劇中の屋根裏部屋を再現したセットが!
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改めてゲーム画面を見てみると、なかなかの再現度である。
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椅子の横の古時計は1:14を指しており、これはレイヴスラシル発売日である1/14にちなんだものだそうな。さりげないこだわりが見え隠れしている。
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本は実際に置いてあるわけではなく壁紙なのだけれど、背景をぼかすとなかなか良い雰囲気に。
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ちなみにこの椅子、ファンとしてはアリスのごとくボフッ!っと思いっきり座りたいところではあるのだが…
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自分にはできなかった。今回は思う存分写真を撮りたいという気持ちから一人で行ったので、なんか恥ずかしくてな…
大の男が一人でなにやってんのかっていう…
というかわざわざ遅い時間を選んだのに人結構いるし…いやそれ自体はオーディンスフィアがものすごく人気だからってことで喜ばしいんだけどな!


とりあえず、この椅子に座らなかったのはただ一つの後悔。恥ずかしがってる場合じゃなかった。い、いいんだよ!そのうちマイホームを建てたら自分で屋根裏図書館作るんだよ!
そしてそこで頭ぶつける未来まで視える。


兎の喫茶店を模したセットも。
っておい!紅茶入ってないじゃないか!俺が淹れたるわ!とか思ってたのは内緒。
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写真だとボケていてよくわからないが、あのメニュー是非欲しいというか家に置きたい…


フィギュアも展示されていた。中央のベルベット&コルネリウスは未発売。
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というか、真ん中にナパームあるやんけ!
ちなみにここで写真を撮っていたら、「邪魔だったらどけましょうか?そのNとか笑」などとスタッフさんに声をかけられるものの、
むしろナパームを撮影したかったので「あ、全然だいじょうぶです!」と言ったまである。
むしろ動かしたら爆発して危ないぜ…フゥ…


ベルベットはマクロレンズで撮影。
マクロはとにかく手ブレに弱いので、ISOを1600まで上げ、F値も低めで撮影…おかげでコルネリウスがボケボケになってしまったし全体的にノイジーに…
ま、そのうちベルベットに穴が空くまで撮れる機会もあるでしょう。
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ここに載せた以外にもかなりの量のキャンバスアートが展示されており(ちなみに撮影禁止)、中でもちっこいオズワルドとメルヴィンの微笑ましい?イラストはこれ買うぞ!と思ったんだけど購入対象外だった…幸か不幸か…


そしてグッズ!
古城夫婦キーホルダーと記念のマンドラゴラクッキーを購入!
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これ食べるのめちゃくちゃもったいないなぁ。
キーホルダーはどこにつけるか迷いどころ…こういうのって意外と付けるとこないよね!


ところで当日会場ではマンドラゴラを探せ!という、会場に隠れた隠れミッキーならぬ隠れマンドラゴラを全て探し当てれば景品プレゼント!なイベントもやっていたわけだけど、なかなか見つかんねーんだ、これが!
みなさんはちゃんと見つけられたでしょうか?もちろん見つけてますよね、ヴァニラファンなら!
結構みなさん迷っているようで、きょろきょろしながら右往左往している印象でしたな。
複数人で行かれた方は人海戦術が使えてイージーモードだったのではないだろうか?
というか、景品で貰えるクッキーがアリスとソクラテスの二種類あった(自分はソクラテス)わけで、そこらへんもトレードできたりしたんだろうな…うらやま…
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ちなみにコミュニケーションノートには長々と自己満足もいいところな文章を書いてしまった…お目汚し失礼と言わざるを得ない。いや本気で。


と、そんなこんなでセットを撮影したり食い入るようにキャンバスアートに魅入っているといつの間にか1時間半も経過していた…恐ろしきオーディンスフィア
原作の雰囲気を再現しようとしたセットの素晴らしさもさることながら、何よりもオーディンスフィアの展示会が開かれたということ自体が嬉しかった。


そしてこの雰囲気をいつでも味わえるようにするため、いつか是非とも自宅に自分だけの屋根裏図書館を開きたいと強く思った…そこで飲む紅茶はきっと格別だろうなぁ。


何はともあれ、オーディンスフィア レイヴスラシル発売本当におめでとうございます!

PSVITA版朧村正(DLC含む)を縛りプレイでクリアしてみた

朧村正というゲームをご存知だろうか?
ゲーム制作会社であるヴァニラウェアによって生み出され、2009年にマーベラスよりWii向けに発売された2DアクションRPGだ。
www.marv.jp

史実で名刀として有名な「村正」があるが、タイトルの通りこの朧村正も刀が深く関係している。
様々な妖刀や名刀を巡る2人の主人公が、元禄時代の将軍綱吉施政の時代の日本を舞台に、西に東に冒険を繰り広げる。
特筆すべき点は美しいグラフィックとサウンド、そして簡単なボタン操作で多彩なアクションを繰り出せる爽快さだろう。

朧村正の制作会社であるヴァニラウェアは、今やコンシューマーRPGの世界において殆ど失われてしまった(と思われる)2Dグラフィックのゲームを作り続ける会社だ。
ヴァニラウェア有限会社
かつてSFCやPSで聖剣伝説ファイナルファンタジーといったRPGの金字塔を遊びまくった世代としては、2Dグラフィックには言葉に出来ない良さを感じる。
ちょこちょこ動くディフォルメされたキャラクターの細かい動きのコミカルさ、可愛さ。そんなキャラクターたちが暮らす箱庭のようなファンタジックな世界。
2Dというのは自分たちの住んでいる世界とは程遠いにも関わらず、彼らの一挙一動に一喜一憂したのを覚えている。
それは一種の懐かしさだけではなく、少年だった自分に夢を与えてくれていた。
そんな夢を、3Dグラフィックが一般的となった今も体現し続けようとしてくれているのがヴァニラウェアなのかもしれない。


絵の知識が皆無な自分が語るのはまったくもっておこがましいことではあるのだが、
そんなヴァニラウェアの社長である神谷盛治氏やスタッフの方々が描く画は非常に美しい。
そしてその魅力はゲームの中でも変わることはなく、ヴァニラウェアが作るゲームをプレイしているとまるで絵本を読んでいるかのような錯覚を覚える(朧村正に関しては絵巻物と言った方がいいかもしれないが…)。

朧村正 プロモーションビデオ

そして何よりも飯のグラフィックである。今にも香りが漂ってきそうな美味そうな飯を、キャラクターが「うめえうめえ」「五臓六腑に染みるわい」とか言いながら食べるもんだからたまらない。

PSVita「朧村正」食事動画
間違っても深夜にヴァニラウェアのゲームをプレイしてはいけない。


そんな美しい世界にさらなる彩りを加えるのが、ベイシスケイプが作るサウンドの数々である。
ベイシスケイプと言えば、タクティクスオウガFFT、そしてFF12のメインコンポーザーで知られる崎元仁氏が社長を務めるゲームミュージック制作会社である。
崎元氏の音楽と言えば、「崎元節」と呼ばれる独特な旋律が特徴で、聴けば一発で「あ、これ崎元さんだ!」とわかるくらい。
音楽的な知識も皆無なのでこれまたおこがましいのだが、崎元さんの曲は色々なサウンドを混ぜて束ねたような曲なのだけれど、それぞれの楽器がそれぞれのよいところを前面に出していて、なおかつ一つのまとまった曲にも聴こえるという印象を受ける(もはや何を言っているかわからないが)。
そんな崎元さんを筆頭に作られた楽曲の数々はとても流麗で幻想的であり、絵本のような世界観に見事にマッチしている。
特に朧村正では、元禄が舞台ということでそれこそ音楽も「和」が感じられるものになっている。しかし単に和楽器だけ使いました~というわけでもなく、エレキなんかも導入されているのだ。
それでいて「和」の雰囲気を全く損なっていないところが作曲陣のすごさかもしれない。「和」というと落ち着いたイメージが先行するが、このゲームはアクションRPG、軽快で爽快なシーンも数多くあるわけだ。
このエレキの導入なんかが「爽快さ」にとてもよくマッチしていると思う。


…さて、話が大分脱線してしまったが、とにかくヴァニラウェアのゲームは良い!ということが伝わってくれていたら幸いである。


ところで、この記事の冒頭のリンク先やPVをご覧になった方々の中には「おいおい、WiiじゃなくてPSVITAじゃねーか!」と思われた方もいるだろう。
それもそのはず、朧村正は2013年にPSVITAに移植されたのである。ググるとこのVITA版のサイトがまずヒットする。
Wii版のサイトをヒットさせるにはちゃんと「朧村正 Wii」と入れないと出てこない。
これから買う人もVITA版を買ったほうがいいよ、ということでこちらのURLを乗っけておいた。


というのもこのVITA版、新しいストーリーを追加したDLC付きで発売されたのだ(正確には本編を先に発売、DLCは後から配信、さらにそのあとでDLCのコード付きが発売)。
自分としてはWii版を数年前にプレイしてクリア済みなので、買うことを渋っていたのだけれど(VITA代+メモリーカード代+ソフト代で諭吉が三人くらい飛ぶ)、
知り合いの「DLCめっちゃ良かったです!」みたいな声を聴いているうちにやりたいという意識が募っていき…気付いたらVITA毎購入していた。残業代こわい。


そんなこんなで手元にVITAとソフトが届いてからさぁプレイするぞ!となったときに、ふと悪魔が耳元で囁いた。
「縛りプレイやっちまいなよ!」と。
ちなみにここでいう縛りプレイとは、決してSMプレイの類ではない。

ゲームをプレイする際、本来ゲーム側からは設定されていない制限(縛り)を自ら科す事によって、より難易度の高いゲームをプレイする事。
from ニコニコ大百科 縛りプレイ

自分にとって不利な状況でプレイするというもので、ある意味SMのMとも言えるのだが…
この制限プレイの楽しさを所謂クリアしたときの達成感であろう。
苦労して、苦労して一つのことに取り組み続け、やっとそれをクリアしたときの達成感というのは筆舌に尽くしがたい。
特にあと少しでクリアできそう、つまり殺るか殺られるか瀬戸際、極限状態での命のやり取り、そういったものを感じた時にものすごい脳汁が出てくるのだ。
結局は負けてしまうこともあるのだけど、負けたあともこれがあるからゲームはやめられん!と思って結局なんどもやってしまう。
…病気かもしれない。


他にも理由はある。
VITA版発売から2年以上経っていたということもあり、ネットには沢山プレイ動画が上がっている。
実はWii版をクリアした時は最低難易度で下手くそプレイしていたので、密かにこういったプレイ動画での「魅せるプレイング」に憧れており、自分もいつかそうなりたいと思っていた。
また、知り合いが最高難易度を安々(ではないかもだけど)でクリアしているのを観て、自分のユニークスキル「負けず嫌い」が発動したというも大きい。
それに、前と同じようにプレイしてもつまらんだろうと。


ともかく、そんな経緯もありVITA朧村正は縛りプレイをすることに決めた。
その縛りプレイの内容とは…


すばり、流儀修羅 奥義および道具使用なしで全てのエンディングを見る


である。

まず流儀に関してだが、これは朧村正でいう難易度のこと。
朧村正には以下の3つの流儀が存在する。

  • 無双
  • 修羅
  • 死狂

流儀無双は最低難易度であり、自分がWii版をクリアしたときの難易度である。
次に難しいのが今回選択した流儀修羅である。無双と修羅の大きな違いは、攻撃中に「受け流し」が自動で発動しないこと。
朧村正では、攻撃ボタンを連打している限りは敵の攻撃を「受け流す」ことによって無効にできる。
例えそれが背後から来た攻撃であってもだ。所謂攻撃中にオートガードが発動するという仕組み。
つまりボタンを連打している限りは死なない…かというとそうでもない。
朧村正に登場する刀には霊力ゲージというものが存在し、これがゼロになると刀が折れる。
刀は三本まで持つことができるのだが、全て折れてしまうと敵の攻撃を受け流すこともできなくなるし、攻撃力も極端に低下してしまう。
もちろんガードも出来ない。つまり話にならない。
敵の攻撃を受け流したりガードしたりすると、刀の霊力ゲージを消費してしまうため、多用しすぎると折れて何もできなくなってしまうというわけ。
とはいえ、無双は修羅と比べるとガード時の霊力の削れ具合が1/3~1/2倍程度のため、攻撃連打で押しきれてしまうケースが多い。

他にも以下の違いがある。

修羅は無双と比べて

  • 敵の攻撃力や体力が高い
  • 敵の反応が早い(攻撃間隔が短い)=攻撃が激しい
  • 敵が仰け反りにくい(連続攻撃中に反撃されやすい)
  • 敵からの経験値が少ない=LVが上がりにくい
  • 戦闘中にメニューから回復できない

というかこんなに違いがあるなんて知らんかった…
これWikiからのコピペなんだけど、違いはてっきりオートガードの有無くらいかと…道理でキツいわけだ…


ちなみに、流儀死狂と他の2つとの違いは、「HPが1固定」であること。
つまり一撃喰らったら終了である。ハンパねぇぞ…
マリオとかも一撃喰らったら終了だが、朧村正の敵はクリボーとはわけが違う。

ただ、HP以外に関しては無双ベースなため、攻撃中はオートガードが発動してくれる。
正確には刀が折れたら試合終了というわけ。
そして死狂は一度修羅でクリアしないとプレイすることができない。

さて、難易度の説明は以上だ。
前述の通り自分は修羅を選択した。
そもそも未クリアでは死狂は選択できないということ、そしてそもそも死狂はクリア不可能(ではないが、俺には無理だ…とビビっていた)だと思ったからである。
しかし少しでも死狂に近づきたい…死狂をクリアできるための技術を身に着けたい…ということで、今回の縛りプレイの要素として、「道具使用なし」「奥義使用なし」を追加した。


まず「道具使用なし」に関して。
道具にも刀の霊力を回復するためのものや、HP回復のものがある。これらは全部使用不可。
回復アイテムが使えないので、どれだけダメージを受けても戦闘中に回復することができない。
更に、刀の霊力も回復できないので、必然的にガードを使える回数が減る。
(一応戦闘中でも使わない刀は自動で霊力が回復するし、敵を倒した時やボスに一定ダメージを与えた時にHP、霊力ともに微々たる回復ボーナスがある)

次に「奥義使用なし」に関して。
朧村正では、刀の霊力を一定量消費して奥義を繰り出すことができる。
奥義は通常攻撃よりも強力なだけではなく、発動時はなんと無敵である。
つまり、攻撃だけではなく防御にも使える攻防一体の技というわけだ。
ヤバい!と思ったらとりあえず奥義出しておけば問題ないというやつ。
奥義が使えないので、ひたすら通常攻撃で削りつつ、避けるしかない。

これとは別に、「ほうとう」使用禁止も縛りプレイの要素に加えた。
ほうとう - Wikipedia
ほうとう」とは山梨県の郷土料理である。
朧村正には料理のシステムが存在し、道中で手に入れた食材を使って料理を作り、それによって回復効果や攻撃力アップなどの効果を付与できるというもの。
中でも「ほうとう」は一度HPがゼロになった後にHP1で一度だけ復活できるというとんでもない効果を持っている。
現実の「ほうとう」にもそんな効果があったらいいのに…
とにかく、これを使うと結構楽になってしまうということでナシに。


これらの縛りにより、「敵の攻撃パターンを把握してヒットアンドアウェイする」ことが必須となった。


そんなこんなで縛りプレイを開始し、結論から言うとタイトルの通りクリアできたものの…ものすごく長かった。しんどかった。
いざクリアしてプレイ時間を見ると100時間にも及んでいた。
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期間にすると約半年弱もかかっている。


ネタバレ含めた感想に関しては後述するつもりだが、特にボス戦がつらすぎた。
特に本編の小夜とラスボス、そしてDLC1,3,4のラスボス。
敵の体力ゲージがあと一本削れない。
あと一撃のところでやられて涙を飲む。
回復アイテムさえあれば倒せるのに…奥義さえあればこの攻撃絶対に避けられるのに…
何度も何度も考えた。


恥ずかしいことにプレイ中はかなりイライラしていたと思う。
ゲームとは本来楽しい物なのに自分は一体何をやっているのかと。
自分の実況を観続けた方にとっては申し訳ない限りである。


とはいえ、かなりの達成感があったのも事実。
それも諦めずにプレイし続けたからだと思っている。
その気持ちは、自転車でしんどい坂を登った先に絶景を観たのと同じ気持だったかもしれない。
当たり前だが、縛りプレイによって得られるトロフィーはない。そこには栄冠もなければ証明もない。
しかし、その「見えないトロフィーの先に見える景色」こそがきっと自分だけの宝物になるのだ。
だからなんだかんだ言いつつも、これからも縛りプレイを続けていくんじゃないかな…と思っている。

以降、ネタバレの感想

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京都に写真を撮りにいった part1 (0日目)

そうだ 京都、行こう。」


気付いたら3泊4日で宿を予約していた。


何年も前からCMでのおなじみのフレーズ、まさか自分が真にそういう気持ちを抱くに至るとは、一週間前には思いもしなかった。
でもよくよく考えてみると、京都っていうのはそういう場所なのかもしれない。
差異はあれど、誰しも京都には一種のあこがれのようなものがあり、普段から行きたい、行きたいとなんとなく朧気に思っている場所なのではないだろうか。
そして、ふとある時「そうだ」と思い立つのである。


今回の自分がまさにそれだった。


この一年色々なことがあった。
今年は風邪ひかない!を目標に掲げながら何度も体調を崩し、挙句の果てに入院。
思うように自転車に乗れず、写真も撮れず、悶々とした日々を過ごしていた。
そんな想いを抱えつつ、今年もいつもと同じようにダラダラと年末を過ごし、
結局今年も大変だった来年はいい年にしたい…そんな1年で終わってしまっていいのだろうか。


それは嫌だった。
せめてこの1年が終わる前に何かをしたいと思ったのだ。


何するか、と考えた時にまず思い浮かんだのが自転車だった。
いっそのこと大阪あたりまで行ってみるか?とか考えるも、残業続きの寝不足気味で万全の状態とは言い難い。
また無理して風邪ひいても困るし。。(ビビリ)


となるとあとは写真か。


思えば退院した直後は体調が安定しないことが多く(もう調子は回復したけれど)、いつのまにやら出不精気味になってしまっていた。
あそこに撮りに行きたい、ここに撮りに行きたいと言いつつ思いつつ、結局何も出来ずに日が過ぎていた。
改めてFlickrを観てみても、室内で撮った写真ばかりが並んでいた。
ああ、これはまずいなと。


はて、まずいとは?
部屋の中に閉じこもっていたからと言って、別に誰かに怒られるわけではない。
むしろ他人に迷惑をかけないし、まずくもなんともない。
それに僕はどちらかといえばインドア派だ。
楽しみは家の中、もとい机の上からやってくると思っているフシもある。
だからそれはそれで自分のしたいことなのでは?とも思う。
別にわざわざ外に出て、寒い思いなんてしなくたっていいじゃないかと。


だがしかし、思い切って外に出ないとこには何も変わらんぞと。
前述したが、中途半端な気分で年末を迎えたくはない。
ダンバンさんの言葉を借りるならこういうこと。

退かなきゃ死ぬが、退けば未来は掴めない
なら掴もうぜ未来。
by ダンバン


そうして天気予報を見ると、年末は晴れの予報らしいということがわかった。
それなら、今回はどこかに自分が満足のいくような写真を撮りにいこう。
満足できる写真を撮ってこの一年を終わろう。そう決めた。
撮れるかわからないけど…まずは行ってみないことにはわからない。


そう考えた時に、まず頭に浮かんだのが京都だった。
京都と言えば、神戸への出張中に一回だけ写真を撮りに行った。
かの有名な伏見稲荷大社の千本鳥居に、一年に一度だけ行灯が灯される本宮祭。
その幻想的な光景を写真に納めたかったのだ。

DSC00659

今や超絶観光スポットになり、日本中どころか世界各国から観光客が訪れる伏見稲荷大社だが、この日は特にすごかった。
所謂コミケ状態というやつである。人が多すぎて千本鳥居に入ることすらままならない。
しかしそんな伏見稲荷も裏側から少し登っただけで人が一気に減る。
そこにはまるで俗世からは切り離された雰囲気があり、さながら異世界に迷い込んだようであった。


伏見稲荷だけでなく、京都はそんな魅力に溢れた場所なのではないかと思う。
他にこう思うようになったキッカケには、森見登美彦氏の本(夜は短し歩けよ乙女、四畳半神話大系、宵闇万華鏡、有頂天家族などなど…)を一時期読み漁っていたこともあり…
そういえば森見氏の本に出てくる登場人物って関西弁で喋らないような?


それはともかく、行ったら何かに出会える気がするのが京都である。
そんなこんなで「そうだ 京都、行こう。」となったわけだ。


そうと決まれば善は急げ。
まずは宿がなくてはどうしようもないということで、楽天トラベルで検索をかける。
と、意外と空いていることと宿泊費が安いことに驚く。
年末は旅行というよりも皆実家に帰るから、人の移動は多いものの宿はすいているのかも。
京都駅から徒歩5分の旅館を思い切って、12/27から3泊4日の16000円で予約した。
ちなみに予約したのは12/26であるが、まだどこに行くかも決めていない。
こういうのはノリが重要である。


あと、写真を撮りに行くには専用のバッグが必要だ。
今までレンズを3本も買っておきながら、カメラ用のバッグを1つも持っていなかった。
色々ありすぎてよくわからないのが理由の1つ。
でも今回は本気で撮りに行こうと思ってたので、これを機に購入することに。
Amazonプライムなら出発前に届きそうだし。


ということで、こいつをポチ。


少々値は張るが、致し方ない。返ってきた入院費を存分に使わせてもらう。
何より、もう心は引き返せない。


その日はたまたま僕のカメラの先生であるM氏とメッセージのやり取りをしていたのだが、
京都に行くことを伝えると撮影のおすすめスポットを色々と教えてくださった。
ここで重要なのが、カメラマンに聞くということである。

というのも、今回は京都の静謐さを撮りに行きたいと思ったからだ。
そのためにはなるべく人は少ないほうが良い。もっと言ってしまえば居なくても良い。

既に人が沢山いるところに行き、僕が奇声を上げながら腹踊りでもすれば人がいなくなるのは明白だが、
まず一般の旅行者の方々には迷惑だし、カメラマン=素直に旅行を楽しもうとしていない邪魔なやつ という悪印象を植え付けてしまい、全てのカメラ好きに迷惑をかけてしまう。
皆のために、もそうだが、自分が楽しめる環境はまず自分で意識して作っていかなければならない。これは自転車も同じ。
何より、20代で変なことをして捕まるのは早すぎる。まだ俺達の物語は始まったばかりだ!


そんなこんなで行く場所に大体検討を付け、旅行当日を迎えた。
この日はAmazonプライムを待ってから出る予定だったので、旅行の準備をしながらヤマトの到着を待つ…も、来ない。
向こうのチェックインが21時ということを考えると、大体新幹線を使うルートでで3時間かかるとして、18時には来てほしいところ。
が、来ない。
寮の一回に何度も何度も荷物が届いているかどうかを観に行く。その度に寮の管理人さんに怪訝な顔をされる。何やってんだこいつはと。
仕方ねぇとコンビニ行って夕飯を買ったりしていると、Amazonのアプリから配達完了の知らせが!
早速届いたカメラリュックに荷物を詰め、このとき既に19:30、どう考えてもアウトである。
3時間という見積もりも怪しいので、門限である23時に間に合うかどうかも怪しい。


ちょっとこれは連絡した方が良いなということで、旅館に電話をかけるも繋がらず。
仕方ないので、行くことに。最悪漫喫かな…
そんな想いを抱きながら新幹線へ搭乗。


やはりというか、下りは混んでいる。
まだ27日、翌日が平日ということもあり、人が溢れそうとまではいかない。
しかし自由席はMAX状態である。
仕方ないので通路にスーツケースを置いてそこに腰掛ける。
行儀が悪いが、今から疲れていたのでは話にならないので…


車内ではVITA朧村正をプレイしつつ宿に電話をかけるのを繰り返す。あっと言う前に時間が過ぎていく…
ちょうど元禄怪奇譚の白蛇の中ボスで詰まっていた。
結局時間内に倒せなかったものの、なんとなくコツは掴めたような?


宿の電話はチェックインのリミットである21:00を回ったところでようやくつながり、遅れることを伝えると大丈夫とのこと。
というか今まで何で繋がらなかったんだろ…公式に遅れる場合は連絡しろって書いてあるのに…ご飯の支度かな?


ともかく京都駅に到着。
改装されてから来るのは3回目だろうか。
この京都駅の構造は結構特徴的で、なかなかに面白い。さながら秘密基地のようである。
こいつを超広角レンズで収めるのも今回の旅の目的の1つだ。
ただ今は階段をのぼる気力が起きなかったので後回し。なに、まだあと3日もあるのだ。


そして、ひとまず京都に来たぞアピールするために京都駅を正面から撮影。
DSC02113

ちなみにこのとき、三脚を立てて構図を作っていると…
「テレビですかー?すごい三脚ですねー!」と、謎テンションのお姉さんに絡まれる。

期待させて申し訳ないが、僕はただの旅行者である。
謎テンションにやられつつたどたどしい言葉を紡ぎだす。

「あ、いえ、これは趣味で。旅行者です。ええ。」

そしてすぐ近くに「ほらー、早く行くよー!」とか言ってる連れの人が。
酔ってんなこの人…


これだけで判断できるわけじゃないが、神戸とは結構人の雰囲気が違う気がするなぁ。
そんなことを考えながら宿へ。


チェックインが遅れたものの、快く迎えてくれた。
部屋に入るとまずお菓子を探しちゃうのが僕の癖。
DSC02118
やはり安定の八つ橋。京都来たなぁという感じ。


それから色々と支度をして、寝る前に翌日のスケジュールを考えることに。
本当は早朝から嵐山に行きたかったのだけれど、時間が時間(23時ぎりぎり着)ということもあり、
しっかり睡眠をとりたいということ、そして遅く出た場合の混雑を考えて別の日にすることに。
その代わり、ちょっと時間が遅れても人が少なそうな以下のルートで回ることに決定。


円通寺下鴨神社三十三間堂→あじき路地→石塀小路→花見小路通(ライカストア京都)→京都駅


さて、完全にノリだけできた京都写真修行の旅、果たして満足のいく写真は撮れるのか…

part2に続きます。

会社の同期をクロスバイクに乗せてみた part2

ひとまず鎌倉あたりまで走ることは決まったものの、
天気予報を見ると、当日は朝8時くらいから曇り(降水確率30%)、15時から雨。


若干不安な雲行きであり、ここのところ出不精気味の自分なら避けるところだが、
この日には走らねばならぬ理由があった。


何故なら帰省などの関係もあり、この日を逃すとKと走れるのが来年になってしまうからだ。
試乗した当日にウェアまで買い揃えてしまうこの勢いにここで待ったをかけるのは勿体なさすぎる。


そんな思いもあり、若干の不安はあるが決行することに。
朝早く出れば雨を躱せそうだし、往復100kmなら休憩含めて6時間くらいあれば帰ってこれるだろうしね。

というわけでスタート時間の候補を2つ決めて、前日の23時までにどちらかに決めることにした。

  • 3:00
  • 6:00

え?3時?頭おかしいんじゃないの?そう思った人も多いはず。
しかしこの時間には意味がある。
3時に出るとちょうど江ノ島あたりに6時前に付くので、日の出を見ることができるのだ。
自分の力でたどり着いた先に見る日の出ほど感慨深いものはない…というかそれが自転車の醍醐味である。
あと風呂と飯。


…が結局、Kは深夜まで残業、僕は忘年会で帰宅が0時くらいになってしまい、
さすがにキツいという判断から、間を取って5時発に決定。
不測の事態に備えて、なるべく早く出た方がいいということでちょっと早めに設定。


今だから言うが、ライド前日は風呂には入らなかった。
というのも、風呂に入って髪を乾かして~とかやってるとそれだけで1時間消費してしまうからだ。
どうせ明日汗をかくわけだし、風呂に入るぐらいなら少しでも早く寝て体力回復に務めた方が良いと判断。
いずれにせよ3時間くらいしか寝れないわけだし…


軽くデオドラントシートで身体を拭き、濡れたタオルでワシャワシャ頭を拭き、その日はベッドに入った。
ちなみにこのシートで股を拭いた時の新世代の幕開け感がベッドに入った後もしばらく持続したせいでしばらく寝付けなかった。
これなら風呂入った方が良かったんじゃ…
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翌朝目が覚めると、3時間くらいしか寝てないのにも関わらず頭がすっきりしていた。
いつもの平日の、7時間寝て起きてから出社するまでダルさとは大違いである。
やはり今から走りに行くという状況が自分の精神を駆り立てている。


前日全く準備をしていなかったので、大急ぎで準備をして待ち合わせ場所のセブンに向かう。
大急ぎで準備をすると何か忘れ物をしそうな気がするが、そうならないためにいつも実践していることが自分にはある。
それは、外に出る直前に1日のライドを頭の中でシミュレーションすること。
まずは乗っている時の自分の格好はいつもどんな感じか、上から順番に想像していく。
ヘルメット、サングラス、グローブ、ビンディングシューズ…
そして次に、実際に乗っている時のことを考える。
トンネルを走るにはライトが必要、信号待ちではボトルから水分補給をする。
パンクしたときのために必要な道具はこれとこれとこれ…
記念撮影するからカメラが必要、早朝で人もいないからゴリラポッド(小さい三脚)が必要かな…てな具合に、一日の自分の行動をイメージしていく。
そしてイメージしながら自分の記憶を振り返り、目の前のバイク、身体を確認、問題がないことを確かめる。


これをするようになったのは理由があって、一度大学4年のときにやってはならない忘れ物をしたことに起因する。
当時大学でスキー部の主将をやっていたとき、レース当日にブーツを忘れてしまったのである。
主将としてはあるまじきミスである。
それから二度とそういうミスをしないように、出発するときはシミュレーションをするようにしている。
アルペンスキーも板、メット、ストック、ブーツ、ワンピース…といろいろ持っていく物が多い。
(といいつつもたまに忘れるんだけど…というかいつもそれでからかわれるわけだが)


どうやらセブンには自分が先に到着したようだ。しばらく外で待っているとフロントライトを点滅させた自転車が近づいてくる。
Kである。
どうやら彼も自分と同じく3時間くらいしか寝ていないようで、2人で「実質3時間しか寝てないからなー実質3時間だからなー」
とか言いながら朝飯を食べる。
あまりにも寒かったので僕はおでんを購入。具はいつも決まってちくわ、大根、はんぺん。
補給食もここで購入した。本当は羊羹が良かったが、売ってないのでウィダープロテインバー。
これ美味くて結構好きで、たまに箱買いしてる。

ウイダーinバー プロテイン ベイクドチョコ (12本入×1箱)

ウイダーinバー プロテイン ベイクドチョコ (12本入×1箱)


そして出発直前に道をググり始める僕。
普通は経験者の自分が事前にググっておくべきだが、そういえばすっかり忘れてた。
鎌倉に行くルートは何本かあるのだが、うまいこと道を選ばないと
バイパスにぶつかりまくって思うように進めなかったりすることを失念していた。
選び方によっては美味しい坂も登ることが可能。


時間も押してる(雨から逃げなきゃいけない的な意味で)ということで、
Google Mapがサジェストする最短ルートで向かうことに。


そこからしばらくこいで、20km地点で小休憩。
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ここまでは平地で特に問題なし。今日はさすがにロードで来たわけだけど、クロスバイクのK、全く遅れないあたりさすがである。
とここで驚くべき事実に気付く。


さっき買ったはずのチョコバーが無ぇ。


冷静に記憶を辿ると、リュックに入れた記憶すらないことに気付く。
リュックを背負っているのでバックポケットは使用していない。
そこで導き出された結論は1つ…


最初のセブンでゴミと一緒に捨てた。


間違いない。
忘れ物をしないためのシミュレーションについてドヤ顔で語っておいてこの有様である。
おでんを食べるのに時間をかけすぎて、焦って出発したのが悪かった。
全くもったいないことをした…次からはコンビニでの行動もシミュレーションしなければ。
しかし何か腹に入れないことには仕方ないので、あんぱんを買って口に放り込む。
ついでに羊羹も買い、今度はちゃんとリュックに入れた。


気を撮り直してスタート。しばらく行くと途中で見覚えのある分岐に到達。
そういえばここを右に曲がったらいい感じの坂があったような…
そんなおぼろげな記憶を頼りに右に曲がり、しばらく行くも坂は無し。
というかむしろ道に迷った…


Google Mapを頼りになんとか起動修正、すまんと謝るも、
Kとしては距離が増えたことによる喜びの方が大きかったようだ。
どこまでもストイックな男である。
鎌倉までのストレスフリーなルート、ちゃんと整理しとかないとな…


そしてトータル40kmくらい漕いで朝の8時くらいに鎌倉に到着。
いつもはかなり混んでいてストレスしかない場所だが、流石にこの時間帯はすいていた。
鶴岡八幡宮で何枚か写真を撮影。こんなに朝早いのにやたらと制服を着た学生がやってくる。
そういえばもうすぐセンター試験か…あの試験はもう二度と受けたくないね。
2次試験よりも緊張した記憶がある。


ここまでだと往復100kmいかないということで、そのまま江ノ島まで行くことに。
海岸線を走る。結局太陽は出ずなので、くもったままだが、やはり海沿いを走るのは気持ちいい。
あっという間に江ノ島に到着。


そろそろ腹が減ってきた。江ノ島と言えば生しらすが有名だが、さすがにこの時間にやっている店はない。
見回してみてもどこも準備している最中である。
どうすっかーみたいな話をしていると、Kが朝でもやっている店を見つけてきた。
江ノ島小屋である。
enoshima-koya.com

朝からやっているとはなかなか珍しい。
自転車乗りうってつけだなあとか思いながら入ると、後から何グループから自転車乗りがやってきた。
やはりそうか。


残念ながらその日はしらす丼を出していないようだったが、
正直腹が減りすぎているので何でも美味い。
ホロホロ丼を注文した。


ホロホロってなんだろう。ホロホロと聞くとコロボックルが持霊のツンツン頭のアイツしか思いつかないが。
そんなことを考えていると実に美味そうなどんぶりが運ばれてきた。
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DSC01450

ネットによると、旬の魚のくんせいをほぐし身にし、バター醤油をかけたご飯の上にのせた江ノ島グルメ。とのこと。
ううむバター醤油、実にいい香りがする。

写真では切れていて見えないが、むちゃくちゃでかい海苔が刺さっており、
こいつをちぎって散らしてもよし、巻いて手巻き寿司風にしても良し。


さらにおかわりし放題のだし汁がついており、〆にこいつをかけて、
山葵や味噌を入れて混ぜてお茶漬け風にも頂くことができる。


なんとも自由度に富んだどんぶりである。


食べる前からわかってたことではあるが、美味い。
バター醤油の濃厚さに、時折こっそりと仕込まれたしその爽やかさが頭を覗かせる。
今ブログを描きながら想像してよだれが出るまである。
お茶漬けもまた美味。山葵がたまらん。
無論だし汁はおかわりした。単体で飲んでも美味く、体が温まる。

そこそこいい値段はするのだが、朝早く起きて自転車に乗ったときのご褒美としてこれほど嬉しいものがあるだろうか。いや、ない。


そんな感じで満足な食事を終え、帰路についた。
帰りもまた道に迷ったりして無駄にアップダウンを繰り返すことになってしまった。
坂好きの僕としては願ってもないところ、それはストイックなKにとっても同じことだったらしい。
むしろ、坂で置いて行かれまくったことで闘争心に火がついたのか、始終「坂登りてー!」とか言ってた。
ヒルクライムでチーム戦を組むのもそう遠くない未来かもしれない。

そして迷いつつもなんとか家の近くまで帰ってきた。
時計を見ると14時、ここまでの走行距離は99.7km。
残り300mを埋めるために無駄に走ることにしたKと別れ、帰宅。


さすがに3時間睡眠だったこともあり、
腰を下ろした瞬間にどっと疲れが出てきた。
しかし悪くない疲れだ。
身体を動かした後の疲れというのは、どうしてこうも気持ちいいのだろうか。

SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS を2週間ほど使ってみた

ずっと欲しかった中望遠マクロをついに手に入れました。
半年前くらいから買おう買おうとずっと狙っていたのですが、
いざ買うぞ!とポチろうとした矢先に入院費で10万以上飛んだ(結局保険で半分以上控除されたけど)ので、
しばらくお預け状態をくらっていました。
そして12月になってボーナスが入り、こりゃもう行くしかねぇと満を持して購入。
DSC02070
www.sony.jp
この記事を書いているのは12/26なのでクリスマスプレゼントみたいになってますが、
実際に購入したのは2週間前です。
こっそりと(わざと)無言で写真をアップしていたのですが、誰もFlickrまで飛んでExifなんぞみないのか
全くツッコまれずに2週間経ってしまいました。


ま、そんなもんですかねw


ちなみにマクロレンズがどういうレンズかわからん!という方のために説明しておくと、
早い話がモノを大きく写せるレンズのことです。
よく動物の目や昆虫をものすごい綺麗に写している写真がありますが、
ああいったものはこのマクロレンズで撮影しています。


さらにこの「中望遠マクロ」の「中望遠」ですが、
これはちょっと被写体から離れて撮ることを想定したレンズとなっています。
例えば虫とか動物なんかは近くで撮影しようとするとすぐにどこかに行ってしまいますよね。
トンボ捕まえようとするとすぐ逃げてしまうのを想像してもらえればいいと思います。
そういう時に使うのがこの「中望遠」マクロなわけです。


さてレビューする、と言ってもカメラ初心者(一眼歴一年)なので、大したレビューはできないですし、
そもそもマクロレンズが初めてなので比較しようもないわけですが…
1つ言えるのは、兎にも角にもこのレンズ、今まで使っていたレンズに比べるとものすごい解像力です。


例えば2段絞ってISO100、三脚にて撮影したこの茶葉ですが、拡大すると表面の毛が見えるぐらいまでしっかりと解像しています。
DSC02036

そしてこちらは以前から持っていたSEL55F18Zで同じ茶葉を撮影し、適当な形にトリミングしたものです。前者との差は歴然で、拡大すると葉の表面のテクスチャがボケてしまっているのがわかります。
DSC01238
おそらくこの差はブログのサムネイルではわからないと思うので、サムネイルをクリックしてFlickrに飛んで、それから写真をクリックして拡大の上、ご確認ください。
お手数お掛けして申し訳ないです。


さて、なぜトリミングするかというと、まずカメラには被写体に近づける距離、つまりピントが合うギリギリの距離があります。
マクロではないレンズだとモノを大きく写せないと言いました。
これがどういうことかというと、ピントが合う限界の近さまでレンズを近付けてもマクロほど大きく被写体が写らないため、
例えばモノを真ん中にドーンと置いたような今回の茶葉のような構図の写真を通常のレンズで作るには、
ちょっと被写体から引いたところか撮影してトリミング(切り取る)しかないわけです。


では次にトリミングが悪いことなの?という話ですが、
簡単に言うと、トリミングした写真とそうでない写真を同じサイズで観た時に、
トリミングした写真の方が荒く見える、という問題が起きます。
例えば、同じ絵をB5とA3の紙に同じ構図でそれぞれ書いて、B5の紙をA3と同じサイズに拡大すると
B5に描いた絵は線が荒くなるのが容易に想像できるかと思います。
トリミングではそれと全く同じ現象が起きるわけです。

もちろん、肉眼でわからんレベルだと言えばそれまでですが。。
でも、なんとなく「綺麗」と感じる写真って、そういう細かい部分が塵として積もって出来ているのかなぁとも思っています。


ちなみにこちらも今回のSEL90M28Gで撮影したもの。スノーマンの毛一本一本までしっかりと見えます。
DSC02081


ところで、普段我々はモノを見る時に毛一本がどうのこうのなんてこと気にするでしょうか?
少なくとも僕は写真を始めるまで気にしていなかったと思います。
だけれど、マクロレンズを使うとそういう目には見えない世界が浮き上がってきます。
今まで見えなかった、もしくは見えるけど気にも留めてなかった世界をこいつが教えてくれるわけです。
そういうところがマクロの面白いところだと思います。
早くこいつを携えて動物を撮りに行きたい…

会社の同期をクロスバイクに乗せてみた part1

先日、会社の同期であるKと江ノ島まで走りに行ってきた。
江ノ島というと、僕の住んでいるところから往復で100kmくらいあるわけだけど、なんとKは今回が2回目の自転車ライド。
ただなんていうか、「こいつなら余裕でいける」そう思わせてくれるものが彼にはあった。


そもそものキッカケは、最近MTBを購入したこと(これについてはそのうち書く)。
これによって6畳の部屋に自転車を三台置くような状況となり、
部屋を移動するたびにハンドルに服やカバンをひっかけイライラし、
そもそも床ではなくベッドの上を移動するなど物理的な意味で生活が厳しくなり、
これは…一刻も早くなんとかしなくてはイカンなと。
そう考えたときに真っ先に頭に浮かんだのは、「クロスバイクを手放す」だった。


街乗りだけなら坂なんて無いわけだからサスペンションが付いてるMTBのが快適だし、
MTBは重いので坂がキツい)
むしろ買い物だけなら折りたたみ自転車にするとかいう手もあるわけです。
最近はオシャレな折りたたみも沢山出ているし、何よりそっちのがスペース取らないしね。


何より、僕の部屋でちょっと形のいびつな洗濯物ハンガーになっていたクロスバイク(ひどい扱い)にとっては、
そっちのが幸せになれると思いました。間違いない。


そんなこんなで、適当に募集をかけてみるとまずは同期のSからメッセージが。
しかしSには譲れない理由があった…あまりにも僕と身長が違いすぎるのである。


スポーツ自転車にはママチャリと違って「サイズ」が存在し、
適切ではないサイズが合ってない自転車に乗ることは奨励されていないし、僕も奨励していない。


何故か。
皆さん、子供の頃はどういう自転車に乗っていただろうか?
子供用の自転車に乗っていたのではなかろうか。
なぜそんな自転車に乗っていたかというと、子供の身体には大人用の自転車が大きすぎるからだ。
脚が届かないのでそもそも漕げない。漕げたとしても脚が吊りそうだ。
逆に今子供用の自転車に乗ったらどうだろう?
乗れないことはないが、窮屈すぎて逆に漕ぎにくさを感じるのではないだろうか。
少なくとも、1時間も漕いでいたら身体のいろいろなところが悲鳴を上げるだろう。


これは極端な例だが、つまるところサイズの合わない自転車に乗り続けるということは
身体が無理をするということであり、これでは長時間漕ぎ続けることができない。
自転車で楽しく痩せよう!身体を鍛えよう!というのも無理な話である。
僕もそんなことで自転車を嫌いになってほしくない。


そんなこんなでSにはスマンと誤り、「身長178cm以上」を付け足して再度募集をかけた。
Sも自分の身体に合うサイズの自転車を購入してほしいところである。
そしてその募集に「身長180cmあるよ!」と飛びついてきたのがKであった。
譲った後で「自転車つまらんわ…」となっても仕方ないので、ひとまずは乗ってもらうことにした。


試乗会当日、いきなりロードで行くと差がつきすぎてしまうかなぁと思いMTBで同行した僕だったが、
そんな心配が杞憂だったことがすぐに明らかになった。


というのも、こいつ予想以上に走れる。
スリップストリーム入ってるのもあるかもしれないけど、30km/h出しても普通についてくるし、「めっちゃ楽しい!俺今生きてる感じがする!」とか言ってる。
ちなみに彼は私服。僕はガチの格好。
それもそのはず、間違いなく心肺機能と単純な脚力で言うと彼は自分を遥かに上回っているだろうことを忘れていた。


静岡の研修時代、あまりにも周りに何もなかったためランニングが流行っていたわけだが、
その中でも軍を抜いておかしな走り方をしていたのが彼だったのだ。
朝5時に起きて10km走り、定時退社後10km走るという毎日を繰り返していたと記憶している。
そのストイックぶりは関東に配属した後も変わることはなく、
ハーフマラソンフルマラソンに出場し、
さらには会社まで半分歩き(1時間くらい)で通勤するなど
こちらの頭がさがるレベルのストイックな男である。


そんな彼が自転車に乗って速くないはずがなかった。
試乗会は20km程度で終了したが、最近走っていなかった僕の方が疲れていたまである。
どうやらかなり楽しかったらしく、「これなら自分の力でどこまでも行けそうな気がするわ…ていうか行きたいわ!」
などど言っていたので、とりあえず近いうちに100kmくらい走る約束をして、
その日は別れ…なかった。


なんと、そのままノリでサイクルウェアを買いに行くことになったのだ。
彼曰く「ボーナス出たっしょ!」とのこと。
思い切りよすぎでしょ。
僕が放っておいても勝手に買いに行きそうな彼だが、
せっかくならば新たなサイクリスト誕生の場に立ち会いたいということで僕もアドバイザーとして同行することにした。


結局、その日のうちにヘルメット、ビブタイツ(何故かビブにこだわっていた)、アンダーウェア、グローブを購入し帰路についた。
結構金使っててビビる。
夕飯は関内のRAMAIでスープカレー
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(ちなみにKはスープカレーフリークであり、スープカレーのことならまず彼に聞けば間違いない)
RAMAIは北海道にもあるスープカレー屋で、濃い目のコクのあるスープが特徴。
スープ大盛りとライス大盛りが無料なのがうれしいし、何より美味い。
僕もスキーの帰りに何度行ったかわからない。
横浜に行く機会のある人は是非行ってみて欲しい。


その日の会話で100km走る日は12/23の天皇誕生日、行き先は鎌倉あたりということにしたのだけど、
天気が芳しくなさそうな雰囲気。
果たしてどうなることやら…(ちなみに彼が100km走り切れるかどうかに関してはもはや全く心配していない)


と、だいぶ長くなってきたので続きはまた今度。
part2を書かないことに定評がある僕だけど、次はちゃんと書きます…たぶん…