革靴の手入れ方法についてまとめてみた Part3
2回に渡って革靴について説明してきました。
前々回
前回
リーズナブルな合皮の靴が存在する中で、なぜ比較的高価な天然皮革の靴を選ぶのか。
その理由はこれから説明するメンテナンス方法に大きく関係しています。
天然皮革の靴を選ぶ理由とは?
長持ちする
天然皮革で作られた靴は合皮や布製の靴と比較するととにかく丈夫であり、通常の利用ではまず破れたり千切れたりすることはありません。
また、ケア用品を使って適切にメンテナンスしたり、ソール(靴底)を交換することで長い年月を共に過ごすことができます。
特に、グッドイヤーウェルトという製法を採用している靴はソールの交換が容易であるため、3-10年もつと言われています。
グッドイヤーウェルトはコバ部分(靴底の外縁)の張り出しが大きくなっているのが特徴です。
使い続けることで味が出る
天然皮革で作られた革靴は、使い続けることによって色合いや手触りに変化が生まれ、所謂”ヴィンテージ”感が出ます。 そういった変化を楽しむことも革靴の魅力と言えるでしょう。
持ち主に馴染む
天然皮革は丈夫である一方で伸びるため、例えば靴であれば使っていくうちに伸びて使用者の足の形に馴染んでいきます。
そういった理由から、購入するときは少しキツめのものを買い、シューキーパーを使ったり、何度も履き続けることで自分の足の形に変形させて合わせていくのがよいと私は考えています。
逆にジャストなものを最初から買ってしまうと、履いているうちに伸びてフィット感が失われてしまいます。
以上3つの理由から、革靴の良さは使い続けていくことにあると言えます。 だからこそ、メンテナンスが重要になってくるというわけです。
メンテナンスの流れ
では具体的なメンテナンスの流れについて説明していきましょう。
クリーニング
まず最初に実施するのはクリーニングです。
クリーニングとは読んで字の如く、靴を綺麗にすること。
過去に塗って古くなったクリームやワックス、通常の利用によって付着したゴミや塵を取り除くことによって、メンテナンスのための土台を作るのが目的です。
ゴミや余分なものが付いた状態でクリームを塗り込むと、ゴミまで一緒に塗り込んでしまうことになるだけでなく、ゴミがが表面の油分や水分を吸収し、乾燥の原因になってしまいます。
したがってクリーニングの工程が最も重要だと言えます。
保湿・補色
次に実施するのが保湿・補色です。
天然皮革も動物の皮なので、人間の皮膚と同様に適度に保湿する必要があります。
そのため、全体に乳化性の保湿クリームを塗り込むことによって、適切な油分・水分を補給するのです。
クリームには色付きと無色(ニュートラル)のものがあり、色が剥げてきた場合や変えたい場合、部分的に違う色を入れたい場合は色付きを、そうでない場合はニュートラルのクリームを塗り込みます。
鏡面磨き
最後は鏡面磨きです。
よく先端がピカピカに光っている靴を見かけると思います。
それを実現するための工程が「鏡面磨き」になります。
あの光沢は蝋でできたワックスを革靴の表面に塗り、水を使って磨きこむことにより実現します。
鏡面磨きの目的は単に靴自体に光沢を持たせて目立たせるだけではなく、靴の表面を蝋でコーティングすることによって、水や傷から護ることもあります。
次回はクリーニングについて詳しく説明します。