革靴の手入れ方法についてまとめてみた Part2
前回は私が革靴を好きになったきっかけについて説明しました(メンテナンスについて何も話してないし)。
今回は革靴の定義から始まり、種類やTPOについて書いていこうと思います(メンテナンスの話ちゃうんかい)。
革靴の定義
まずは今回のメンテナンスで扱う革靴について定義したいと思います。
本記事では革靴を「天然皮革から作られた靴」と定義します。
天然皮革とは?
天然皮革とは、鞣(なめ)された動物の皮のことを言います。
鞣し(なめし)とは、樹液や薬品を用いて動物の皮に耐久性をもたせる工程のことで、 この工程を経ることで動物の皮膚である“皮”は製品に使用される”革”となります。
皮は生物の一部であるため、このような加工をしないと固くなったり腐敗してしまうというわけです。 所謂「本革」と呼ばれるものは天然皮革になります。
天然皮革になる皮を持つ生物は多種多様で、有名なところで言うと牛、ワニ、蛇、馬、カンガルーなど。
最も有名なのは牛革で、ほとんどの革靴は牛革製です。 仔牛から取るために傷がなくしなやかなカーフ、何度も蝋を塗り込み耐久性を高めたブライドルレザーなど。
ブライドルの表面は白い粉がふいているように見えますが、これは塗り込んだ蝋と油が染み出した「ブルーム」というもの。
一方でカンガルー皮はどうかというと、以前紹介したSPINGLE MOVEから カンガルー皮を使ったスニーカーが出ていますよね。
カンガルー革は牛革とは比べ物にならないほど柔らかく、ストレッチに富んでいて非常に履き心地が良いです。 その性能を活かしてか、自転車用のシューズやサッカースパイクにも使われています。
BONTのシューズは非常に興味があったのですが自分の足とは合わなかったので断念した記憶が。。
また、馬の臀部、早い話がケツの皮から作られた皮革であるコードバン(cordovan)は、一頭から採取できる量が少ないことから希少性が高く非常に高級。
非常に滑らかでしっとりとした質感が特徴的である反面、強度が弱いことから小物や革靴の内側などに利用されてます。
キャッシュレス化が進みつつある昨今ですが、コードバン製の財布を手に入れるのが私の密かな夢だったりします。
あくまで趣味だから、機能とか気にしちゃいけない。
代表的な革靴の種類
前回のブログでブローグ(革靴のアッパーに小さな穴を空けて装飾としたもの)やオックスフォード(最もクラシックな革靴)について少し言及しました。
今回は革靴の種類についていくつか紹介したいと思います。
というのも、実はTPOに応じて最適な革靴のタイプが変わってくるからなんですね。フォーマルのときはこれ、パーティだったらこれ、カジュアルだったらこれ…みたいな感じで。
それをしっかり押さえてこそ紳士なわけです(自己満足だけどね)。 でもせっかくの友だちの結婚式、しっかりキメていきたくないですか?
ストレートチップ(キャップトゥ)
所謂キングスマンの劇中で言うところのオックスフォード(最もクラシックな革靴)がこのストレートチップになります。
爪先に直線(ストレート)のステッチが入ったシンプルなデザイン。爪先(トゥ)にキャップを被せたような見た目なので、キャップトゥとも呼ばれます。
余計なものを削ぎ落としたその姿はとても美しいです。 何より、シワができやすい爪先に一直線が入っていることでシワが目立たなくなっているところがポイント高いですね。
写真で紹介している靴はスペインのMAGNANNI(マグナーニ)というブランド。
クラシックでありながらモダンな遊び心が調和した非常に格好良い靴を作ります。 その証拠に、普通のストレートチップと違って縫い目のステッチが隠されているんですね。
デザインは全体的にイタリア系のシュッとした感じ。
Santoniの革靴欲しいけど予算が。。という人におすすめなブランド。 www.santonishoes.com
ちなみに、このストレートチップは革靴のタイプの中でも最もフォーマルに適しています。
プレーントゥ
プレーン(平坦な、簡素な)トゥ(爪先)の名の如く、爪先に何の意匠もないまっさらなタイプの革靴です。
装飾が一切ないシンプルなフォルムであるために、ベースとなる木型の形や革本来の質感が放つ魅力がより顕著に出るタイプです。
一方で、トゥ部分が一枚皮から作られるために、良い革でないと安っぽくなってしまったり、シワが目立ちやすくなってしまうといった欠点もあります。 故に故最も選び方が難しいタイプと言えるでしょう。
プレーントゥの特徴が最も色濃く出たのが、踵部分以外に継ぎ目がないホールカットです。
鏡面磨きでピカピカにすればかなりドレッシーになり、パーティーで目立つこと請け合いの一足です。
パンチドキャップトゥ
パンチド(穴の空いた)キャップトゥの名の通り、キャップトゥ(ストレートチップ)の一直線に沿って穴あきの意匠が入ったタイプになります。
最もフォーマルである「ストレートチップ」に飾り気が追加されたことで、やや格式が下がりますが、それでもキャップトゥに次いで格式高いフォーマルよりのタイプです。
ビジネスシューズとして選ぶのであれば、キャップトゥまで行かなくともこのパンチドキャップトゥでも十分畏まったスタイルと言えると思います。
ウイングチップ
ウイングチップは、トゥにW字の意匠があるタイプです。
写真のように、ブローグ(穴あきの意匠)が組み合わせられることが一般的です。 このW字が翼のように見えることから、ウイングチップと呼ばれています。
格式としては、パンチドキャップトゥより低いけれど、ぎりぎりビジネスでも履ける一足。 もちろん、穴あきのドレッシーさを活かしカジュアルでも履いていくのも良いですね。
ローファー
これは皆さんもご存知なのではないでしょうか?ローファーです。
今日紹介するシューズの中で唯一レースアップ(紐で結ぶタイプ)ではない革靴、所謂スリッポンです。
loaferという言葉自体が「怠け者」という意味を持つ他(本当の由来は不明)、紐がない(締まりがない)、着脱が容易であるということからビジネスシーンにはそぐわないとされています。
一方でそのスタイルは若さや開放感を感じさせ、カジュアルな場面では大活躍。
ワイルドな男性がフットカバーや素足にローファーを合わせるのはとても格好が良いですね。
またお客様先に行くのではなく、オフィスカジュアルとしてであればアリだと思います。
革靴のタイプを格式順に並べるとどうなるか?
ここまで紹介した革靴のタイプを格式高い順に並べると以下のようになります。
- ストレートチップ(キャップトゥ)
- プレーントゥ
- パンチドキャップトゥ
- ウイングチップ
- ローファー
ここで着目していただきたいのが以下の点です。
- ストレートチップが最も格式高い
- 穴あきよりも穴なしの方が格式高い
- スリッポンよりレースアップの方が格式高い
また、前回少しだけ説明したように「内羽根式」の方が「外羽根式」の方が格式高くなります。
更に、色は黒が最も格式高くなります。
最も格式高い革靴は?
というわけで、これまでの情報をまとめると最も格式高い革靴はズバリ
黒の内羽根式ストレートチップ(キャップトゥ)となります。
これを一足持っておけば、結婚式でも、ビジネスでも、パーティーでも問題なし。
逆にここから外すとなると、場とセンスが問われることとなります。
結婚式の主役が年下や同僚なら黒のウイングチップでもOKとか、若者のパーティーならピカピカに磨いたホールカットとか。 場に合わせて色々という感じでしょうか。
最後に
「こういうシーンではこの革靴を履くべき!」というような言い方をしましたが、外していったからと言って怒られることは殆どありません。
というのも、正直言って日本では革靴のフォーマル度をわかっている人は少ないですし、街を歩くサラリーマンや結婚式で他人の靴を見ても千差万別です。
どちらかと言うと、革靴を選ぶ際の指標にしていただけたらいいなと思って書きました。
「今日は大事な商談だから、気を引き締めて黒のパンチドキャップトゥで行こう!」
とか、
「今日は休みの日だからローファーで少し崩したスタイルにしよう!」
とか。
そうやって考えたら靴選び、もといファッションも楽しくなりませんか?
私はそっちのほうが楽しいと思います。
今日はここまで。次回からは(やっと)メンテナンスに入ります。