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水野学 著「センスは知識からはじまる」を読んでみた その③

前回は、本に書かれた以下について私の所見を述べました。

  • センスとは、数値化できない事象を最適化すること
  • センスのいいアウトプットをするには「普通」を知ることが重要

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今回も引き続き本の内容の気になった部分について、写真撮影の話を交えつつ所見を述べていきたいと思います。

センスは知識からはじまる

センスは知識からはじまる

客観情報の集積がその人のセンスを決定する

本書では、客観情報を知識として集積することでセンスを向上させることができると述べています。

センスの最大の敵は思い込みであり、主観性です。 思い込みと主観による情報をいくら集めても、センスはよくならないのです。

「主観」や「思い込み」の例として、本書では以下の二人の人物を比較対象に上げています。

  • なんてことはないセーターを着ているのに、お洒落に見えるA君
  • 流行りのセーターを着ているのに、お洒落に見えないB君

冒頭で述べたことが解答になるのであれば、A君は客観的な知識を集積していてセンスがある(結果的にお洒落に見える)のに対し、

B君は主観的で思い込みが強いのでセンスがない(結果的にお洒落に見えない)

ということになるわけですが、ここでいう「客観」「主観」「思い込み」は、文中で以下のような例で説明されています

A君はファッションについてよく勉強していて流行について精通しており、 かつ自分の個性や体型、雰囲気など客観的な情報を集積している

したがって、A君は現在のトレンドに合うかつ自分にも合う服を選ぶことができる。結果お洒落に見える。

一方でB君はファッションについて勉強していて流行は知っているが、 「流行しているものがよい」という強い思い込みだけで服を選び、 自分の客観的な情報は無視しているため、結果お洒落に見えない。

つまり、一般的な知識(ここでいうところのファッションの基礎知識や流行)に

現在の状況(自分の体型、雰囲気、TPOなど)という客観的な情報を加味し

より適切な選択肢を取ることがA君にはできている。

つまり、センスの定義である「数値化できない事象」である「お洒落」を「最適化する」ことができているというわけです。 (本書におけるセンスの定義は、数値化できない事象を最適化すること)

写真における客観的視点とは?

これを写真で考えるとどういうことなのかを必死に考えてみました。

写真を撮る上で客観視という観点はかなり重要と感じます。 なぜなら写真もファッションと同様に「人に評価されるもの」であるため。

コンテストに自分の作品を提出する、クライアントの要望通りに写真を撮る、展覧会を開いて他人の目に晒される。

「上手くなりたい」という感情を持ち続ける限り、写真というアクティビティは常に「評価」と闘い続ける宿命を持っていると言えます。 (自分の好きなように撮って楽しむ場合は別にするとして)

私が特にそれを強く感じるのは、自分が全身全霊をかけ良いと思ってアップした写真よりも、 そうでない何気なしにアップした写真のほうが評価が高かったときです。

これは、自分が良いと思い込んだ写真がいつも他人にとって良いわけではないということ。

つまり「思い込み」で続けていたのではいつもよい評価を得られるわけではないことを意味しているわけですね。

だからこそ自分の写真を常に客観視し、評価に晒し、評価される他者と比べて何が違うのかを追求し続けていくことが重要なのだと思います。

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ちなみにこれ、自分ではそうでもないと思ったけれど意外と評価が高かった写真です。

このような写真で何が良かったかを振り返り、客観的な「知識」として集積していくことが自分のセンスを上げる近道になるんだろうなと思います。

これを撮影したときの自分には「解像度」や「ピント」ばかりを追求することが良いという「思い込み」があり(もちろん構図なども考えていましたが)、 この写真はそこまで解像感を感じず、目を見張るほどの奥行きを感じるほどピントが合っているとも感じなかったため自己評価は低い作品でした。

一方でコメントからわかるように、構図右上から射し込む光とそれが作る光芒、そしてそれに照らされて染まった木の葉の鮮やかさが評価されたことがわかります。

光は一瞬、そのときににしかないもの。このことからの学びは、フォトグラファーは一瞬を切り取る者でなければならないということ。

効率よく知識を増やす三つのコツ

さて、既にこれまでの記述でセンスを磨くには「客観的な集積していく」、そして「普通を知る」必要がるとといった抽象的な方針は決まりましたね。 本書ではそれらを進めるコツについて「効率よく知識を増やすコツ」という形で紹介されているので、一つずつ見ていきたいと思います。

①王道から解いていく

「王道のもの」とは、製品によっては「定番のもの」「一番いいとされているもの」「ロングセラーになっているもの」と言い換えることができるかもしれません。

所謂自転車のパーツだと王道は世界一のシェアと信頼性を誇るSHIMANOになると思うのですが、何故王道から始めるのがよいのでしょうか。

本書で定義付けているセンスのよさとは、「数値化できない事象の良し悪しを判断し最適化する能力」。 王道ものは必ず、その最適化プロセスを経た上でいまに存在しています。 ゆえに王道のものを知ることで、そのジャンルの製品を最適化する際の指標ができるのです。

つまり、王道、言い換えれば無難なラインを知ることで、最適化するためのベースを作るということのようです。

しかし、王道を知ろうとした場合、自分のよく知っているジャンルのものならすぐに頭に浮かびますが そうでないジャンルで考えるとなかなか難しい気がします。

その商品が王道たり得る根拠を求め、調べるプロセスにおいて、いくつもの取捨選択をします。 結果、「王道」を見つけたときには、そのジャンルにまつわる幅広い知識も得ており、 その商品を王道とした理由だけでなく、「なぜ別のBという商品を王道として認定しなかったのか」についても語れるようになっているはずです。

これが意味するのは、「王道を見つけるのに近道はない」ということなのではないでしょうか。

「王道」を見つけるために様々なものを調査し、知識を吸収し、あるとき立ち止まると自分の中ではそのジャンルにおける「王道」、つまり「普通」(文中では名言されていませんが)がわかる状態、つまり数値化できない対象を最適化できるようになっているということなのかと。

例えばあるジャンルの写真(ポートレートとか。ちょっと幅が広すぎるけど。。)が上手くなりたいと思ったら、ひたすら他人の撮ったその写真を観てみる。 本を読んでみる。人に聞いてみる。といったことを繰り返し、集積していくしかないということでしょうか。

どうすればそれを継続できるのか、具体的な方法論はまた別の話になると思います。

この本はどちらかというと、マインド的な部分について語っていると言えるでしょう。

②今、流行しているものを知る

流行しているものの多くはたいてい、一過性のもの。 しかし、王道と流行のものの両方を知っておくことで、知識の幅を一気に広げられます。

流行を知ると知識の幅が広がるということですが、どう広がるかは書かれていませんでした。

しかし流行を知ることは非常に重要だと私は考えています。

なぜなら、前述したように写真は常に評価に晒されるものだから。

流行というのは発端がどうあれそれだけ多くの人が追っているということ。

ということは、それだけ多くの人に見られるということでもあり、評価の機会を増やす、もしくは得やすいということでもあるわけです。

写真で流行の例を挙げるとすると、一つは季節柄毎年来るもの、春の桜やネモフィラがありますよね。

またそれとは別に何かが起因となって爆発的に流行になった一過性のもの。 例としてはよろしくないですがノートルダム大聖堂が全焼したことで、その前の綺麗な姿の写真をアップする人が増えたとか。。

そういったものはSNSを追っていれば自然と目にしますが、目にしたときにどのように自分に記録しておくかが重要な気がします。 ◯月はネモフィラ、◯月はチューリップとか。 あとはこういう事件が起きたとき人は行動するという人間の心理をメモしておくとか(これは賛否両論だと思うけど)。

③「共通項」や「一定のルール」がないか考えてみる

分析したり解釈することで、自分なりの知識に精製するというプロセスです。

これは割と書いてあるままのことですね。

写真で考えると、流行している写真だとか、王道たる写真、長く愛され続けたり多くの人に撮られ続ける写真には何らかの「共通項」や「ルール」があるということ。

以前このブログでも取り上げたテンプレ構図もその最たるものだし、

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ライブハウス撮影方法やパート3で止まっている工場夜景撮影の方法なんかもある意味向上を美しく撮影するための「ルール」なわけです。

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これらを知ることで、自分の中で「普通(王道)」や「流行」を定式化して活用できるようになるということだと思います。

これについては、ある目的に従い(例えばこのジャンルの写真を上手く撮れるようになりたいというモチベーションのもと)、 「共通項」や「ルール」を見つけるつもりで様々なものを見るとより一層習得が早まる気がします。

おわりに

この本を数週に渡って読みこみながら、書かれているマインドがどう写真撮影に昇華できるのか考えてきました。

結果思ったのは「やるしかない」部分が大きいなということ。何にしてもそうかなと思います。 けど、意識して取り組めばセンスは身につく。

あとはこれらのコツをどう実践していくか、具体的な落として考えなければいけないですね。。