Weekendcycler

Cycling, taking photographs, and drinking a cup of coffee on the weekend

厳冬期を乗り切るグッドデザインなサイクルウェアを買ってみた③

前回 weekendcycler.hateblo.jp

今回はCafé du CyclisteのBelgium Capについてレビューしていきます。 www.cafeducycliste.com 公式サイトによると"BELGIUM WINTER CYCLING CAP FOR COLDER WEATHER RIDING"、直訳すると「寒い日のライドための冬用ベルギーキャップ」

ベルギーキャップを敢えて訳さなかったのは理由があります(このくだり前回もあったな)。

このCafé du CyclisteのBelgium Capのようにイヤーフラップ(耳あて)が付いたキャップはどうやらベルギーの伝統的なものらしく、画像検索するとちらほらヒット。

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ベルギーキャップでググった結果
なお、Belgium Capで検索するとベルギーの国旗色のキャップばかり出てくる模様。

よってこのキャップ正式名称は不明。

ググって出てきたイヤーフラップ付きのキャップのが殆ど自転車用であることから、ベルギーのサイクリスト向けキャップで代々受け継がれてきたデザインなのかも。

カラーはGrey MelangeとRed Melangeの2色展開です。私が選んだのはGrey Melange、なんたって色が合わせやすいからね! www.cafeducycliste.com

どちらもやや淡い色をしていますね。このMelange(メランジェ)はフランス語で”混ぜたもの”という意味で、ドイツ語圏ではミルクを加えたコーヒー飲料を指す言葉のようです。

その背景を知ってからこのキャップを見てみると、確かにミルクコーヒーのように淡い、そして濃い色と薄い色が混じり合ったような色をしていることに気づきます。そしてそのせいか温かみも感じますね。

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そしてブランド名は"Café" du Cycliste…なんだか全てが繋がったような気がしませんか? これを被ってコーヒースタンドに立ち寄って仲間と「今日はどこに走りに行く?」みたいな話をするところまで想像しました。実に良い冬だ(実際のところ最近は室内でローラーばかり)。

公式サイトの説明をまとめるとこんな感じです。

  • 三層構造

  • 内膜(Interior Membrane)は防風、耐水、通気性あり

  • 外側(Outer Shell)はメリノ(ウール)混合のストレッチ素材

  • 内側(Inside)はメッシュ

  • リブ編みのウール製イヤーバンドは上げ下げ可能

この訳し方でいいのかわかりませんが、おそらくOuter ShellとInsideに挟まれてInterior Membraneがあるという三層構造になっているのでしょう。外側 -> 内側 -> 内膜という順に見ていきましょう。

外側

外側はメリノウール配合のストレッチ素材になります。

メリノウールについては前回も説明しましたね。メリノ種という羊から取られる、非常に保温性と通気性が高い高級天然素材です。

それに加えてなんとこのメリノウール、伸縮性も兼ね備えているのです。この特色が、帽子というワンサイズで幅広い層に適合しなければいけないウェアに丁度よいのかもしれません。 頭がでかい日本人には嬉しいところ(ちなみに僕も例に漏れず頭はでかい。身長が高いのでごまかせている感はある。。)。

ちなみにRaphaのClassic Capはコットン(綿)製です。 www.rapha.cc 20190131-DSC02547-2 こちらもデザインはかなり好み(MILANO ROMA COLLECTION)で素材の特性故に通気性が抜群で夏は最高なのですが、いかんせん生地が堅いため髪が伸びてくると頭がでかい属には厳しい。 20190131-DSC02549 そしてコットンは洗うと縮むので頭がでかい属はさらにキツい。

その点このBelgium Capは柔らかく包み込みつつもしっかりとホールドしてくれるので非常に良いです。 特に体が固まりやすい冬はこういった伸縮性の高い素材のウェアを選ぶと快適ですよね。

サイクルキャップ選びの際はぜひ素材にも着目していただきたいと思います。

内側

内側はメッシュ構造になっています。 夏のスポーツウェアによく利用される構造ですね。 特徴としては、吸水・発散性が非常に高いことが挙げられます。

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地肌に近い層に配置することで、肌から出た汗をすばやく吸収し外側に発散させることができます。 これにより汗冷えや蒸れを防ぎ、常に内側をドライで快適に保つことができるというわけです。

内膜

さて、一見完璧な外側・内側かと思いきや実は気になる点が一つありました。

外側にメリノウール、内側はメッシュ構造を採用しているため、非常に「通気性が高い」んですね。 じゃあ風通しちゃうじゃん!寒いじゃん!冬なのに大丈夫?となるところ。

そこはしっかりと内膜でカバーしているのがこのキャップのミソでございます。

冒頭で記載したように、内膜が防風・耐水と通気性を備えています

このように相反するような属性を同時に兼ね備えた素材になっていてホントかよと思ってしまうところですが、現実には似たような素材は存在しています。

かの有名なGORE-TEXですね。

GORE-TEXの2層目であるGORE-TEXメンブレンは「防水透湿膜」と言い、内部の水分を外に逃がしつつ外からの水気をシャットアウトするような構造になっています。 www.gore-tex.jp 詳細は不明ですがこのキャップの内幕にも似たような素材が使われているものと思われます。

つまりこの内膜は、内部からの水分は外に逃がしつつ、外からの水や風はしっかりと防ぐということ。

なので、内側のメッシュ素材によって素早く地肌から吸収・発散された汗を、透湿性の内膜を通って通気性の高いメリノウールの外側から逃がす一方、外側からの風や水は2層目の内幕でシャットアウトする。

絵で描くとこんな感じ。

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Belgium Capの構造
よく考えられた構造ですよね。

サイクルウェアの着こなし(内側はメッシュのインナーを着る)でも同じようなことやったりするので割と当たり前の話なのかもしれませんが、こうやって紐解いて理解してみるとなかなか面白いなと。

イヤーフラップ

イヤーフラップはメリノウール製ということもあり伸縮性がかなり高いです。

そして通気性の高さ故に音も通りやすく、フラップを下げていても周囲の音は十分に聞こえるため、道路状況の把握にもほぼ差し支えなしと言っても良いでしょう。 20190131-DSC02559

サイトの説明にもある通り、フラップは状況に応じて上げることができます。 20190131-DSC02560

暑くなってきて耳だけ出したい、なんてときはこれで対応できます。

素材と洗濯表示

続いて素材です。

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  • Shell Fabric

おそらくイヤーフラップ、外側、および内膜の素材と思われます。理由はウールを含んでいるため。 Elastaneはポリウレタンのことです。VOLEROのサイクルウェアを紹介した際に、「ライクラ」という素材が出てきましたが、これもポリウレタン。 伸縮性に極めて優れ、混紡率が低くても(つまりライクラの比率が少なくても)特性を失わないという特徴を持つ繊維ですね。 実際にキャップの両端を持って引っ張ってみるとよく伸びますが、メリノウールだけでなくこいつも一役買っているということでしょうね。

  • Lining

裏地(内側)はポリアミドです。ポリアミドは前回も出てきましたが、非常に吸収性の高い生地。 これをメッシュ構造にすることで更に内側の吸収性と発散性と高めているのだと思います。

洗濯表示としては30℃を限度として水洗いのみOK、アイロン、ドライクリーニングは不可。乾燥は自然乾燥のみOKですね。

実際に使ってみた感触

まだ5-10℃の温度域でしか試せていないのですが、比較的冬にしては暖かい場面でも熱くなりすぎることはなく、変に蒸れることもなく非常に快適でした。 また非常にカジュアルなデザインなので、そのまま飲食店に入っても(まぁ)問題ないかなと言ったところ。 (タイツ履いてる時点でアウトといえばアウトだけど)

より寒い気候での運用は追記していきたいと思います。

実用上の注意

Belgium Capを利用するにあたりいくつか気になる点もあるので書いておきます。

ヘルメットのサイズを選ぶ

Belgium Capをヘルメットの下に被る場合、ヘルメットのサイズを一段階上げる必要があるかもしれません。

三層からなる構造は上記で説明したように理論的には非常に素晴らしい性能を発揮してくれます。 が、いかんせん厚みが増すため、これまで持っていたヘルメットだとキツくなるor入らない可能性があります。

不適切な着用(しっかりと固定されていない、または締め付けすぎ)は思わぬ事故を招く場合があるので注意する必要があります。 所持しているヘルメットと地肌の間に空きに余裕があり、ダイヤルを何度か回して締めているようなケースでは問題ないと思います。

イヤーフラップを上げるにはヘルメットを脱ぐ必要がある

これは全ての耳あて付き冬用キャップに共通の事柄だと思いますが、イヤーフラップを上げる場合は一度ヘルメットの首元のバック具を外し、あご紐を開放orヘルメットを外す必要があります

バックル自体ヘルメットを固定するためにキツめにしているはずなので、バックルを外さない状態ではイヤーフラップを動かす隙間が殆どないと思います。 ヘルメットを外さずにバックルを外しただけでも上げられないこともないですが、中途半端になるためにどうも気持ちが悪いです。

また、イヤーフラップを上げることでキャップ全体の横幅が増えるので、イヤーフラップを上げる運用で行く場合はそれも含めてヘルメットのサイズを選ぶ必要がありますね。

まとめ

いくつか懸念点はあるものの、Café du Cyclisteはデザインだけでなく機能性もしっかりと兼ね備えているウェアを生産しているということがよくわかりました。 主に実用感などまだまだレビューが足りていない部分がありますが、そのあたりは随時追記していきたいと思います。

厳冬期を乗り切るグッドデザインなサイクルウェアを買ってみた②

前回 weekendcycler.hateblo.jp

今回はCafé du CyclisteのALBERTINEジャケットについてレビューしていきます。 片仮名発音だとアルベルティーヌと読むらしいです(ちなみにALBERTINEの意味はググってもわからなかった。。誰か教えて)。

www.cafeducycliste.com

公式サイトのタイトルによると"WINDPROOF CYCLING JACKET WITH PRIMALOFT INSULATION"と書いてあり、「PRIMALOFTの断熱を備えた防風のサイクリングジャケット」ということになります。

"PRIMALOFT(プリマロフト)"は素材名なので敢えて略しませんでした。

こいつがどんなものかは後で詳しく説明したいと思います。

"INSULATION"は断熱という意味です。

簡単に言うと「保温」のことで、魔法瓶(今じゃ言い方的に古いかもしれないけど、保温機能のついた水筒のこと)のように、中の熱を逃さないことによって温度を保つような振る舞いを指します。

例えば魔法瓶は、熱を伝える媒体になる流体(空気)を排除する事で対流(熱の伝わり方の一つ)が起きないようにしているわけですが、 このジャケットも同様に内部の熱を逃さないような機能を持っているため、体温または運動によって発生した熱を外に逃さないことで内部の温度を保つような仕組みになっているということ。

そしてそこに一役買っているのがPRIMALOFTという素材というわけです。

最近はインシュレーション(インサレーション)をサイクルウェアでも多く聞くようになりましたね。Raphaも一年前くらいからインサレーションウェアを売っています。 www.rapha.cc

まずは全景を。前から見ると薄手のダウン(羽毛)ジャケットのように見えます(でも羽毛じゃないんだなぁ、これが)。

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全体的にスリムなシルエットで、バタつくことはなさそうです。しっかりと手首は絞られています。 通常はこの上から冬用グローブをかぶせるので袖から風が入ることはないでしょう。

また、極めつけは袖が十分に長いこと。Mサイズですが、初号機と形容されたこともある私の腕にも十分な長さが確保されています。 日本ブランドじゃこうはいかない。さすが欧米。

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自転車ウェアらしく前は短め、後ろは長めです。 見てわかるように、後ろはダウンというよりはふわふわした素材で作られていますね。

これがミソ。 このダウンぽい部分が完全防風のパネルになっている一方で、

黒いふわふわした部分は高い吸湿発散性を持つ天然のメリノウールのフリース生地を使っています。

メリノウールは保温性に優れるだけでなく、かいた汗を発散させる能力が高いことで有名な素材(ただし総じて値段は高い)。

この前後のパネルが組み合わさることで、「風を防ぎつつも保温し、汗を外に逃がして冷えることを防ぐ」ことを実現しているわけです。

ちなみに裏返すとこのようになっています。

  • フロント裏

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  • バック裏

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全体のパーツについてより細かく見ていきましょう。

ジップはガードがついているため、激しく動いて邪魔になることもなく、裏側が首に食い込んで痛くなることもありません。

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ただこのALBERTINEは色が白なので、汗汚れが気になることがあるかもしれません。 www.cafeducycliste.com

こちらのカラーなら問題なさそう。私はネイビーとゴールドの組み合わせがいいな!と思ったのでこちらは選択しませんでした。

ちなみにダブルジップになっているため、適宜下部を開放して風通しを調節できます。 空気抵抗を抑えたい場合は、敢えて3-5cmほど開けることで前傾時の下腹部の布のたるみを無くすことができます。

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胸ポケットは4.7インチのiPhone 6sがちょうど入るくらいの大きさ。 横はまだ余裕がありますが、縦がこれ以上大きくなると厳しいかも。

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このポケットがあるかないかでジャケットのデザインの良し悪しがだいぶ変わるな、というぐらい可愛らしいポケットです。 下地のゴールドとは異なる色を使っているところがポイント高し!

バックポケットは大きめのものが2つ(タテxヨコが18cmx14cm)。素材が柔らかめかつ大きいので、ライディング中でもモノの出し入れしやすいです。 下部に小さな反射材も付いてますね。

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右のポケットにはサイドジップ付きのポケットが。こちらは縦入れの右ポケットとはしっかりと分断された構造になっています。 20190114-DSC02215

何よりうれしいのはその大きさ(タテxヨコが12cm*14cm)で、私がいつもサイクリング用として使っているCHAMSのコインケースがつっかからずに入る大きさ。

[チャムス]財布 Eco Key Coin Case Black

[チャムス]財布 Eco Key Coin Case Black

Raphaのレースラインであるプロチームシリーズは空気抵抗を意識してかポケットが小さめに作られており(最新モデルで変わってたらごめんなさい)、財布が入ることは入るけどつっかかってストレスがたまっていました。 寒くてあらゆる動作を最小限に済ませたい冬でもスムーズにモノが出し入れできるのは良いですね。

タイトに着れるサイズを選べば、ポケットの中のものもしっかりホールドされるので通常のライドで落とすこともないかな。 心配なものはジップ付きポケットに収納すればOK。

PRIMALOFTについて

冒頭で述べたPRIMALOFTについて説明しましょう。

ジャケットの後部にはメリノウール、前部には防風パネルを配置してあると言いました。 その防風パネルの裏側(胸部と前腕部分)に使われている素材こそがPRIMALOFT(プリマロフト)です。

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"Feel the Performance"(「パフォーマンスを感じろ」) 20190114-DSC02224

簡単に言うと、羽毛のように温かいのに高い撥水性がある素材。 そして羽毛のように軽いところはそのまま。

「ダウンジャケット」の「ダウン」、つまるところ羽毛(正確にはガチョウやアヒルの胸の毛であり、希少)は大変温かい素材ですが、 一度濡れてしまうとその暖かさを発揮できなくなる、また乾きも悪いためスポーツウェアの素材には向きませんでした。

そんな欠点を解決するために人工羽毛として米国のAlbany International社によって開発された化学繊維がプリマロフトです。 様々な太さのマイクロファイバーを組み合わせることで羽毛と似た形状を生み出しているとのこと。

www.d-breath.co.jp

詳しい説明は上記のサイトを参照してください。

何よりも大きいのは「洗える」ことです。

通常、天然素材(動物の毛から作られた繊維)は水で洗ってしまうと縮んだり風合いを損ねるため、水洗いをしないほうが良い(むしろ不可)と言われています。

故に天然毛を使ったスーツやネクタイ、コートなどはドライクリーニングに出して、水ではなく有機溶剤(石油系)で洗うわけですが、プリマロフトは化学繊維なのでガシガシ洗えてしまうわけです(といっても生地自体の強さには限界があるのでおしゃれ着洗いすべきですが)。

よって家庭の洗濯で水溶性である汗汚れも落とすことができるため、プリマロフトはスポーツウェアにもピッタリというわけです(ちなみにドライクリーニングに出しているスーツは有機溶剤で洗うため汗汚れが落ちていないので注意。カビるよ。)

ちなみにALBERTINEジャケットはMACHINE WASH(洗濯機奨励)奨励かつ単体で洗う(WASH SEPARATELY)の非奨励。 20190114-DSC02225 単体で洗うと洗濯機のあっちゃこっちゃにぶつかって毛玉ができるというわけですね。ちなみにウールは毛玉ができやすい素材ということでも有名です。 洗うときはおしゃれ着モードかつネットに入れて洗いましょう。

さて、続いて素材比率と洗濯表示を見てみましょう。 20190114-DSC02229

1st Fabric(全て化学繊維なので、おそらくPRIMALOFTが配置された前面部分を言っている)は以下のようになっています。

  • Shell(表地) PA(ポリアミド) 100%
  • Filling(内部、表地と裏地に挟まれた部分)PES(ポリエステル)100%
  • Body (裏地)PES(ポリエステル)100%

おそらくFillingがPRIMAROFTで、PRIMALOFTは「天然羽毛のもつ繊維構造を、さまざまな太さのポリエステル繊維を配合する独自の技術で再現」ということなので、組成の通りになっています。 ポリエステルとポリアミドの違いについては私もよく知らないので、今度詳しく調査してみようと思います。

続いて2nd Fabric(おそらく背面の発散性を高めた部分)は以下。

  • WV(ウール) 38%
  • PC(アクリル)38%
  • PES(ポリエステル)24%

メリノウールにより保温性と発散性を高めていることは上で述べた通りです。その天然素材であるメリノウールと、化学繊維であるアクリル、ポリエステルを混ぜたような組成になっています。

アクリルはウールと同じで毛玉発生要因になる素材のようですが似た暖かさを持ち、故に混ぜられているといったところでしょうか(コストダウン?)。

ポリエステルについては柔軟性を高めるために入れているものと思われます。また適度に化学繊維を混ぜることによりハードユースや洗濯に耐えうる強度にしているのでしょう。

洗濯表示は以下の通り。

  • 水温30℃を限度に洗濯機で洗える
  • 漂白不可
  • 110℃を限度に、スチームなしでアイロンが利用可能
  • ドライクリーニング不可
  • タンブル乾燥禁止

洗濯可能とはいえウールも縮むので、なるべく縮みにくい洗剤・洗濯法を使うとよいと思います。 自分がいつも使う洗剤はこちら。

洗濯方法としてはおしゃれ着モードですね。

実際に着てみた感想

大変申し訳無いのですが、厳冬期のレビューをするといいつつも寒い日のライドを逃しているためちゃんとしたレビューができないのが現状です。 とりあえず現時点で試すことができたケースについて説明します。

5-10℃かつ無風でのライド(3時間程度)

シューズカバーをつけなくてもぎりぎりなんとかなる程度の寒さ。 インナー一枚(ジオライン)の上にALBERTINEで全く寒さを感じませんでした。むしろ走っている間は大変暖かく、止まっても変に汗冷えすることもなく暖かさが持続して大変快適でした。

0-5℃かつ風速9m/sの中で歩行(30分程度)

風速9m/sは時速に変換すると32km/hということで大体私が自転車に乗っているときの速度域になります。

こちらはALBERTINEの下に薄いシャツとインナー(ジオライン)を着用。結論から言うと、風を前面から受けた場合は全く冷たさを感じませんでした。防風機能がしっかりと働いていることが確認できました。

一方で後ろから風に吹かれたとき(ライド中はほとんどないですが)は少し寒さを感じました。やはり後ろが風通しの良い素材になっている故でしょう。

結論

やはり気になるのは冬場のヒルクライムですね。登りで一気に汗をかき、下りで汗冷えして寒すぎるというお決まりのパターンにどれだけこのALBERTINEが耐えられるのかという部分が決め手になるかと。 また長距離で汗が蓄積してきたときの劣化度も気になりますね。 ということでまだまだ試すべきことは多く結論は出せないですが、少なくともデザインと使いやすさだけ見るとかなり良いジャケットだと思います。

次回は同事購入したBELGIUMキャップについてレビューしますが、ヒルクライムでの検証が完了したら随時こちらに追記しようと思います。

厳冬期を乗り切るグッドデザインなサイクルウェアを買ってみた①

ものすごい久しぶりのサイクルウェアレビュー。 思えばこのブログも海外通販で購入したジャージのレビューから始まったのでした。 weekendcycler.hateblo.jp 久しぶりにVoleroのサイト見に行ったらつぶれてたんですが。。

これまでに紹介したのは夏用ウェアのみでしたが、今回は冬用、それも厳冬期(ここではロードのスリックタイヤでギリギリ走れる-5〜5℃くらいを想定)を快適に走れる(であろう)かつデザインにも優れたサイクルウェアについてレビューしていきます。

今回紹介するのはCafé du Cyclisteというフランスのサイクルアパレルブランド。 日本国内でも一部の店で取り扱いがあるので知ってる人は知っていると思います。 www.cafeducycliste.com

Café du Cyclisteは直訳すると「サイクリストのカフェ」となりますが、 その名の通りフランスの地中海沿岸の上の丘に囲まれた、サイクリストがよく立ち寄る由緒正しきコーヒースタンドで生まれたサイクルウェアブランドです。

春夏秋冬のサイクルウェアに加え、カジュアルウェアなど様々なラインナップを誇ります。 全体的な傾向としては、レーシーというよりはクラシックでありつつもちょっとした遊び心を忘れないデザインがポイント。 (逆に遊び心に振っているのはTenspeed Heroかな) tenspeedhero.com

数あるウェアの中でも特にCafé du Cyclisteらしいな〜と思ったのは、このcats and dogsというレインウェアのライン。 英語に詳しい人はピンときたのではないでしょうか? www.cafeducycliste.com

猫と犬のイラストがプリントされていてなんとも可愛らしいデザインです。特に意味を考えなくても素敵なデザインですが、せっかくなのでこのシリーズの真意に迫ってみましょう。

Cats and dogsは直訳すると「猫と犬達」という意味になりますが(犬猿の仲という意味もあります)、rain cats and dogsのように使うと「土砂降り」という意味になるのです。(語源としては、北欧神話で猫は雨を降らせる力があり、犬は風を起こす力があると信じられていたということらしい)

故にレインウェアラインでこのデザイン・名前になっているということなのです。ん〜なんともニクいセンス!

話を戻しますが、公式サイトのモデル写真を見ても分かる通り、デザインはクラシックな一方でシルエットは全体的に細身です。 普段からタイト目のウェアを好んで着用する、かつ洗練されたデザインのウェアを着たい!というファッションライダーにはなかなか良いブランドだと思います。

またフランス発ということもあり、日本国内のブランドと比較すると袖が長めに作られています。 故にタイトフィットで着るためにサイズを下げたとしても袖丈が足りなくなるということもないです。 このあたりは英国が誇るRhapaと似た感じ。 普段RhapaのMサイズを着用する私(身長183cm体重68kg)はCafé du CyclisteもMサイズでジャストです。

さて、続いて今回厳冬期用のウェアを買った理由について少しお話します。

ロードに乗り始めてなんやかんや5年経つのでサイクルウェアも増えてきたのですが、唯一厳冬期用のジャケットとヘッドウェアを持っていませんでした。

これまで12-2月のブルベやロングライドは以下のウェアを組み合わせてなんとか乗り切っていたのですが限界を感じていました。

  • mont-bell ジオライン中厚手
  • CRAFT 厚手インナー
  • Rapha PROTEAM SOFTSHELL JACKET
  • Rapha PROTEAM TRAINING JACKET

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Raphaのジャケット勢
www.rapha.cc www.rapha.cc これらのRaphaジャケットはカッティングが実に私の身体にフィットするのですが、防寒よりも防風や防雨に重きを置いていることもあり、まったり目のライドでは寒くいという問題がありました(逆に短時間高強度なら向いている)。 冬場カメラを持って止まっては撮り、止まっては撮りとダラダラと長く走るのにもう少し適した、かつデザインにも優れたよいウェアはないのかと探していました。

まず候補に上がったのはRaphaのCLASSIC WINTER JACKETでした。このジャケットは厳冬期でも十分使えそうですが、デザインが好みではありませんでした。 www.rapha.cc 首の反射材?がどうしても目立ってしまいクラシックさを減じてしまう部分と、既に廃版となった旧モデルのCLASSIC SOFTSHELL JACKETの方がデザインが好みだったためどうもコレジャナイ感が拭えず。 www.honten3.com そんな矢先に出会ったのが、シルエットおよびデザイン性、そして機能(これは予測も入るけど)をバッチリ満たしたCafé du Cyclisteのウェアだったというわけです。

そんなCafé du Cyclisteから今回購入したのはこちらの2点になります。 www.cafeducycliste.com www.cafeducycliste.com 冬用のジャケットとキャップです。

注文は冒頭に上げた海外Webサイトから実施し、10日ほどで着弾。 海外通販なのでこんなもんかな。年末年始を挟んでいた割には早い気がします。 なお関税はしっかり徴収されました。これが痛いのよね。。

届いて驚いたのがパッケージ。 高級サイクルウェアブランドよろしく、なかなか豪華です。 しっかりとしたプラスチックのケースに入っています。 DSC02207

ALBERTINE(ジャケット)のケースは金属製のジッパーと縁にフランスのトリコロールカラーが。 DSC02209

BELGIUM(キャップ)の方はプラスチックのジップ。 DSC02211

どちらも表面に模様が描かれています。ブランド発祥の地であるMediterranean(地中海)の文字が。魚はその地方でよく獲れる種類かな?詳しい人いたら教えてください。 DSC02212

普通に日常生活や旅行で使える素敵なケースですね。

さて、今回はここまで。 次回はALBERTINE(ジャケット)について詳しく紹介します。

【写真撮影講座 番外編】構図について語ってみた②

他者の写真を分析すると、良い写真撮影の規則性を導き出せる

前回のラストで、どのような構図が良い写真を作るのかを客観的に判断するには、 他人が撮った写真を見て研究し、そこから規則性を導き出すことを繰り返すのがよいと説明しました。

そこで今回はネットに溢れる素晴らしい写真達を題材とし、写真を分析する過程を実践してみたいと思います。

Chicago Morning by Mitul Shah

Chicago Morning by Mitul Shah500px.com

朝焼けの柔らかい紅色の光がとても美しく、氷のせいで寒いはずなのに暖かさを感じる写真ですね。 これは前回の復習になる写真だと思います。

というのも、水平分割構図・三分割構図を組み合わせているためです。 水平線を水平分割線に置き、右1/3に人、左1/3に氷の端とビル群の端がきているにがわかります。

このように三分割構図の交点に目立つ被写体(人とビル群)と、目立たない被写体(氷)を重ねることにより、構図が美しくなるという例ですね。

The Gate by Nik Phot

The Gate by Nik Phot500px.com

タイトルの通り、海に向かって開くゲート(出入口)のごとく、アーチ状の赤レンガの壁を額縁に見立て、都市の海岸を切り取った作品。 所謂「額縁構図」という、主題の周囲を囲むことでより主題を引き立たせる事ができる構図を上手く使っていると思います。

特に、額縁にビビッドなレンガを使っていることがポイントです。 レンガの赤茶色と海の青、手前の緑のコントラストが大変美しいです。

都市はビルの高さから見てもかなり発達していることが伺える一方、レンガの壁は歴史を感じさせるという対比が面白いです。 レンガから遠くの都市までピントがあっているので、おそらくF値は大きめ。 額縁構図を考えるときには考慮しておきたいポイントです。

Framing up the Empire by s1000

Framing up the Empire by s1000500px.com

メインの被写体を別の被写体で挟み込むサンドイッチ構図です。

特筆すべきは、濃い色(レンガ色)の建造物で薄い色のブリッジを囲むことでコントラストがより際立つようになっているところです。 また、左右の建造物が直線的であるのに対し、中央のブリッジがアーチのような曲線を含むような構造であることもそれを助けていると思います。

印象的なサンドイッチ構図を撮影するためには、挟むものと挟まれるもののギャップが重要であることがよくわかる例ですね。

そして、敢えて曇り空で撮影していることもポイント。 これにより、茶白茶、という2色の縦の三分割が強調されるためインパクトの強い写真になっています。青空で撮影している場合はブリッジの印象が薄くなってしまうでしょう。

Kinderdijk sunrise by Mads Peter Iversen

Kinderdijk sunrise by Mads Peter Iversen500px.com

日の出直後の空の飛行機雲を川面に写し撮った作品です。

日の出というただの日常の移り変わりだけでなく、非日常である飛行機雲をプラスしたことがポイントだと思います。

飛行機雲という非日常を観たときに、それを水面に映すという発想が出てくるかが大事ですね。 毎日同じ場所で撮影していればこのような写真が撮影できるのかもしれないです。

特筆すべきなのは、ただの飛行機雲ではないことです。いくつかの線が重なり幾何学模様を描くようになっています。

この写真では飛行機雲が作る模様をうまく水面に反射させて、ちょうど画面が縦に三分割されるように撮影しているのがミソであり、観るものにインパクトを与えています。 またこれも水平分割構図との組み合わせになっていますね。

Electric Slide by Aaron Reed

Electric Slide by Aaron Reed500px.com

最後は、その意味に気づいたときにあまりの凄さに黙るしかなかった写真です。 構図関係なしに語りたいことを語ろうと思います。

Electric Slideはダンスフロアに整列した全員が一斉に同じステップを踏むダンスの一種だそうです。

それを知らずに最初にタイトルを見たときは、「電気のスライド…?確かにイルミネーションの光がスライドしているように見えなくもないな…」と思ったのですが、 こんな自然な川みたいなところに電気があるか?と。

その正体は意外なものでした。

鯉です。

昼間の長時間露光(長時間シャッターを開けたままにする)により、水中の鯉の動きを軌跡にした作品だったのです。

夜中に自動車や漁船や航空機のライトを軌跡にする作品はよく見かけますが、まさか昼間に、しかも鯉という驚くべき被写体作られた軌跡を見ることになるとは思いもしませんでした。

これを撮影するには、NDフィルターで何段か減光した上で(EXIFを見ると30秒なのでかなり暗くしている)、 PLフィルターによる偏光で水面の反射を無くし、魚影を見やすくした上で長時間露光しているのだろうと予想できます。

また、風が少ないときに撮影したことで以下のような効果が出ています。

  • 周囲の葉などがブレずに写真に締まりを与えている
  • 波が立たないため偏光で透過させた水中の魚影が良く見える

前述しましたがタイトルが素晴らしいです。 electric slideからまず連想されるのはまさに電気の流れ、 カメラマンなら漁船のライトの軌跡を連想すると思います。

しかし、そんなものここにあるはずがないわけです。 その軌跡が鯉であるということに気づいたときにハッとさせられます。

鯉が並んでダンスをしているよう、だからelectoric slideというわけです。

いやはや本当にすごい写真。 生きてるうちにこんな写真撮れたらいいなと思います。

まずは写真をじっくり観察してみよう

今回の記事を読んでみてどうだったでしょうか。 1枚の写真をじっくりと観察すると、実に様々なことがわかってきます。

そこから何故この写真が美しく、綺麗に、よく見えるのか。 そういった規則を見つけ出して自分の中にストックしていくことで、作品の幅が広がっていくと考えています。

まぁ、実際に撮るときにネタが出てくるかというと難しいわけですが笑

【写真撮影講座 番外編】構図について語ってみた①

ロードバイクの撮り方に引き続き、今回は写真撮影の構図の作り方について説明していきます。

1. 主題を決める

写真は、あれも良い、これも良い、と色々入れすぎると逆にごちゃごちゃしてわかりにくくなる(何を伝えたいのか不明瞭)ので、まずは主役を一つに絞るとよいです。

必ず一つです。

主役というのはまさに、その時々で「ときめいた」もので、例えば夕日だったり、雲だったり、山だったり、動物だったり、建物だったり、色々ですね。

目立つもの、つまり主役は写真にひとつだけ、これ鉄則です。 (例外もありますが大抵はこれ)

2. 構図を決める

あとはその主役をどこに配置するか(構図)です。 構図には、

「このように配置するというイイカンジになる、ただし理由は聞かないでくれ」

というセオリーがいくつかあるので、それを説明します。

三分割構図

個人的に使いやすいのは、「三分割構図」ですね。 写真を撮るときはファインダーやモニタを観ながら撮ると思うのですが、 その画面をこんな感じで6等分します。

■■■

■■■

■■■

この分割線の交点に主役を配置する構図が「三分割構図」です。

「三分割構図」を使って撮影したのが、以下の写真です。入間基地航空祭2017のブルーインパルスのアクロバット飛行ですね。

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三分割構図の写真

白い線の交点☆に飛行機が配置されているのがわかると思います。

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実際に線を引いてみる

多くのカメラ本体にも撮影時にこの構図を意識しやすくするシステムが組み込まれています。 ほとんどのデジタルカメラでは、設定からモニタやファインダーのビューに分割線を出すことが可能です。 ぜひ試してみてください(自分はほぼ出したまんまで使ってます)。

水平分割構図

もう一つ補助的に使える構図として「水平分割構図」というものがあります。 これはその名の通り画面を上下に分割するようなもので、図にすると

という形になります。 ここで注意してほしいのが、以下の記事でも述べた「水平」です。 weekendcycler.hateblo.jp きっちりとカメラを地面に対して水平に持ち撮影することで水平分割が強調され全体が締まった絵になります。

構図の組み合わせ

この「三分割構図」と「水平分割構図」を組み合わせた写真が、このイタリアのフィレンツェの鐘楼から撮影したドゥオーモと街並みの写真です。

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三分割構図と水平分割構図の組み合わせ

実際に線を引いてみると以下のようなことがわかります。

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線を引いてみる

1. 主役を「ドゥオーモ」として、縦の三分割の右側に配置(白線の☆)

2. 脇役の「空」と「フィレンツェ」の街並みを水平分割で配置(赤線)

空や街並みは主役ドゥオーモほど目立たない「脇役」なので、構図に入れてOKです。

このように、一つの主役と構図、その他の脇役と構図を組み合わせることでなんとなくいい感じ構図を作っていくのが自分のよくやる方法でございます。

風景写真は引き算

脇役を入れすぎないことが重要です。脇役を入れすぎると主役が目立たなくなってしまうためです。 特に風景写真は引き算とも言われており、入れすぎて主役が目立たなくなってきたら適度に画面から要素を削ってやることでバランスのいい写真になります。

良い構図の組み合わせとは?

どのような構図が良い写真を作るのかを客観的に判断するのは難しいのですが、 そういうときは他人が撮った写真で自分が良いな!と思ったものを見て研究し、そこから規則性を導き出すことを繰り返すのがよいと思います。

次回は、ネットに溢れる素晴らしい写真達を題材に写真を分析する過程を実践してみたいと思います。

【写真撮影講座 番外編】ロードバイクを真横から撮る方法について語ってみた その③

前回はバイク自体のセッティングについて説明しました。 3回目の今回はバイクを真横から撮影する際のカメラの向き・立ち位置について説明します。

今回も前回同様手段ベースで説明していきたいと思います。

水平で撮る

バイクに限らず全ての写真の基本です。 「水平」とは、地面(水平線)に対してカメラのボディが水平になっている状態を表します。

絵で表現すると以下のようになります。

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水平
正確には、カメラの底と水平線が並行になっている状態を指します。

逆にNGな例は以下です。

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水平ではない

すなわち、「水平で撮る」とは、地面に対しカメラのボディが水平になっている状態で撮影するということ。

この状態で撮影する意味は、もちろん「統一感」です。 前回バイクのセッティングの説明にて「クランクを地面に対して水平にする」のが良いと述べました。 水平で撮影すると、写真の枠とクランクやサドルが平行になる(ホリゾンタルフレームの場合はトップチューブも)ため、より統一感のある絵になります。 せっかくそのセッティングをしたのに、カメラが傾いていると台無しです。

もちろん、わざと傾ける場合もあると思いますが、そのときは何らかの意図を持って(写真を見た人に何を伝えたいのか考えて)撮るべきです。 また、坂道などで撮影する場合は水平で撮ってもバイクが傾いた図になります。 こちらはこちらで坂道の険しさなどを表現できるため、別のメッセージがありますね。

垂直で撮る

これも写真の基本です。 「垂直」とは、地面(水平線)に対してカメラレンズの前玉(一番前にあるレンズ)が垂直になっている状態を指します。撮像素子が垂直になっていると言ってもよいと思います。

図にすると以下のようになります。

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垂直
カメラのレンズと水平線が垂直になっている状態ですね。

逆にNGな例は以下です。

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垂直ではない

なぜ垂直が良いのか?もちろんこれも統一感が出るからというのが答えになるのですが、その「何故?」を1分くらいで撮影した適当な写真で説明したいと思います。

まず、こちらが垂直を意識して撮影した写真です。水平も同時に意識しているため、水平・垂直な写真ですね。わかりやすいように赤で線を入れているように、ブロックメモの両脇の線が平行になるので統一感がでるというわけです。

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縦線が平行

逆にこちらはカメラを少し下に傾けて撮影した写真です。見てわかるように、ブロックメモの両脇の線が平行にならず、下に向かってすぼまっていますよね。これだと統一感がありません。

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縦線が平行ではない
しかし後者だから悪いというわけではなく、例えば自撮りで顔を撮影するとき、顔を細く見せたり()、逆にビルなどを下から撮ることで迫力のある写真が撮れるという効果もあります。 耳にタコができるぐらい言いますが、何故その向きから撮るのか?どんな効果があるのか?自分の写真で何を伝えたいのか?それをしっかりと考えて撮ることです。そうすればどんな撮り方をしてもよい。今回は「統一感」に重きを置いているので、「垂直」を意識するということです。

正対で撮る

意外と見落としがちなのがこれです。正対とはすなはち被写体に対して正面から撮影するということ。 もっというと、目の前に見えない壁があるとしたら、その壁に対してカメラのボディを垂直に置くということ。

こちらを絵で説明すると以下のようになります。

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正対

主題は今回でいうとロードバイクですね。 さて、左2つが正対できていない例、そして右2つが正対できている例です。 正対できていないと何がいけないのか。

無論「統一感」です。 主題に対して正対できていないということはつまり、主題の部分部分に遠近法が働くということです。

正対せずに撮った例を以下に挙げます。 DSC02951_2

え?別にいいじゃんと思った方いると思います。確かに。 自転車を敢えて斜め左から写すことで、遠近法の効果で前輪は小さく、後輪は大きく映りなんともダイナミックな絵になっています。

ん?前輪は小さく?後輪は大きく?

そう、統一感がないのです。 この写真が悪くないとしても、今回はあくまで「真横」から「統一感」の出る写真を撮る方法について説明しているのでNGになります。

「統一感」は前輪と後輪の大きさが一致してこそ生まれるわけです。 ですので、しっかりと主題に対して「正対」し、以下のように撮影しましょう。 20181124-DSC00733 こちらは正対だけでなく垂直・水平を意識して撮影されているため、非常に統一感のある写真になっていると思います。 白いパイプ、クランク、ステム、サドル、地面、外枠の全てが平行になっていますよね。

さて、これまでの内容でお伝えした技術を全て使うとどのような写真が撮れるでしょうか? 改めて一番最初に掲載した写真を見てみましょう。

20181208-DSC00861

この写真はロードバイク本体だけでなく、背景となっている町家の壁の木材の隙間、ポストの四辺、排水パイプ、窓など全ての縦横が平行になっていることがわかると思います。 非常に統一感がある絵になっていると思いませんか?(一部曲がっているパイプはそのままですが)

ぜひこの記事を読んだ皆さんもロードバイクに限らず色々な撮影に活かしていただければと思います。 今回は「統一感」にこだわりましたが、最も重要なのは何を伝えたいか、どうすればどう見えるのかを考え抜くことです。 ですので「統一感」にこだわらず自分だけの写真を目指して考えていっていただければと思います。

一方で何も考えずに撮るのも良いと思います。そして思いがけず良い写真が撮れたとき、何故それが良いと感じたのか分析することが上達の近道にもなります。 無論、人の写真を見て研究するのもしかり。

【写真撮影講座 番外編】ロードバイクを真横から撮る方法について語ってみた その②

今日はロードバイクを真横から撮る方法について深めに説明していきます。

前回のブログの内容があまりに短かったため、拍子抜けした方もたくさんいらっしゃったのではないでしょうか?^^; 実を言うと、書く内容に悩みに悩んだ結果何も書けなくなり、苦し紛れにさわりの部分だけなんとかまとめたというのが前回の内容になります。はい。

なぜ内容に悩んでいたかというと、自分の中で自転車を真横から撮るときはこうするのがいい、というポイントはあるものの、 それに対してなぜ「よい」のか、ブログ読者を納得させるための明確な理由付けがまとまらなかったため。

しかし「よい」に始まる何かを好きだという感情は、理由付けできないことも多いとも思うのです。 まず感覚的に「よい」と感じ、だからこそ良いところを探して、自分がそれを好きだという理由付けをする。 理由付けというのは人に説明するためのものであり、「よい」とは本来感覚的なものなのではないかという気がしてきています。

なのでここは自分を一旦許すことにします。 他者を納得させるための理由付けをしなくてもよいことにします。 なので、今回はどう真横から撮ると「よい」のか?という手段ベースの切り口で説明させてください。 (目的は手段を正当化する。よって本来ならば目的ベース、つまり「よい」理由を説明するべきなのだけど。。)

そして書き進めつつ、私自身が感じる「よい」とはどういうことなのか。 その答えに近づいていけたらと思っています。

言い訳が長くなりましたが、今日は撮影時のロードバイクのセッティングについて 説明していきたいと思います。

不必要なパーツを取り外す

ロードバイクは余計なパーツを何もつけない状態が一番美しいです。 なぜなら、それが走るために生まれてきたロードバイクにとって最適な形であり本来の姿だから。

なのでライト、サドルバック、ボトルなどは外しておくと、ハンドル・サドル。フレーム周りがスッキリし、 ロードバイク本来が持つフレームの造形美を際立たせることができます。 余計なパーツを付けたまま撮影するのは、人間に例えるとマスクをしたモデルを撮影するようなものです。

ただし例外的に、BMCのバイクにBMCチームのボトルを合わせるといったように何らかの意図を持たせる場合は別です。

20181124-DSC00722-2

また、自転車旅の最中は敢えてバイクパッキンググッズやライトをつけたまま撮ることで、旅の雰囲気を感じられる写真にすることもできます。

いずれにしてもパーツをつけて撮影する場合は意味付けが必要だと私は考えています。

地面に対してバイクを垂直に立てる

撮影はバイクのセッティングから既に始まっています。 真横から撮るときはバイクを地面に対して垂直に立てましょう。これに関しては誤差1°も許すべきではないと考えています。

ロードバイクは乗り物であり道具なので、それ単体では完成しません。 しかし、ただ一番にゴールラインを切るためだけに生み出されたその姿は単体でも美しい。 そんな自転車を主題に選ぶのだから、しっかりと直立させ、無機物には本来ないような力強さや意思のようなものを表現したいです。

少しでも垂直から離れていると、真横から撮影したときにバイクが壁に寄りかかっているように見えてしまい、 前述した力強さや意志といった表現が半減してしまうと考えています。

ステムとトップチューブを一直線にする

ステムとトップチューブが一直線ではない、つまりハンドルが左右どちらかに曲がっていると、正面から撮った時以下のようになります。

DSC09526

前輪と後輪の形に注目してください。後輪は円に、前輪は楕円に見えますよね。 この不統一感は私的にはNGです。NGとなる理由は、意図が見えないため。

ステムとトップチューブを一直線にすることで、 正面から撮影したとき両方のホイールが真円となり統一感のある絵になります。

ホイールの位置を合わせる

ホイールの位置にも気を配ると更に統一感が増します。特に理由がない場合はバルブの位置を下にしておくのが無難です。

DSC02606 ↑の例は微妙にずれてますが。。

ディープリムホイールの場合は、デカールの文字がどの位置にくるのが一番良いかを考えて位置を決めるのも良いと思います。

DSC05000

また、ホイールにタイヤを取り付ける際も、タイヤの特定の位置の意匠がバルブの上にくるようにするなど工夫しておくとよいでしょう。

クランクの位置を地面に対して平行にする

クランクの位置を地面に対し平行にすると、サドルやステム(17°の場合)、およびトップチューブホリゾンタルフレームの場合)の3つが平行になるため統一感が生まれます。

20181208-DSC00861 ↑の例は微妙にずれてますが。。w

このときペダルの向きも地面に対して平行になるようにセッティングすると良いでしょう。 なぜなら、バイクに乗ってペダルを回しているときペダルの面は常に地面に対し平行になっているため。

他にはシートチューブと一直線にするのも良いでしょう。 いずれにしても、何の意図もない方向に遊ばせておくのは統一感を崩してしまうため避けたほうがよいと思います。

今回はここまでになります。 書いていて、自分はロードバイクの撮影をするとき「統一感」を重視していると感じました。 それが自分にとっての「よさ」なのかもしれません。

今回は真横から撮影する際のロードバイクのセッティング方法について説明しました。 しかし、この方法に沿ってセッティングをしたとしても撮影者の位置やカメラの向きによってはいまいちな写真になってしまうことがあります。 次回はそのあたりについて説明します。